ビジネス書担当の書店員に聞く 採用人事担当者へのオススメ本5選


採用や人事の業務には、労働基準法や職業安定法など法規の知識をはじめ、社員の個人情報保護やSNSの活用で生じるメディアリテラシー問題まで多岐に渡る情報や知識が必要です。
 
採用や人事に関する書籍を選ぶときに、どのような点に注意を払うとよいのでしょうか。八重洲ブックセンター本店、ビジネス書コーナー担当者の柏明美さんに、採用や人事に関する書籍の選び方やオススメ本についてお話を伺いました。

 
 

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採用人事向けのビジネス書 どれを読む?


——毎年さまざまな書籍が出版されていますが、2020年のビジネス書のトレンドはどのようなものでしょうか?
 
1年ほど前から、教養を身につけることを目的とした書籍の出版が増えており、美術・歴史・哲学・思想・心理・人類史など、ジャンルを横断した「ビジネス教養」といわれる書籍が人気です。過去から現在までの歴史を探ったり、人間らしい考え方とは何かを哲学的に見つめ直したりと、仕事をする上で教養の必要性を感じる人が増えているのではないかと思います。
 
というのも、インターネットが社会に浸透した現在、あらゆる情報が瞬時に目の前を通り過ぎるという印象を受けています。情報を処理することに精一杯になってしまった多くの人が「深く考える時間」を確保するために書籍を選ぶのかもしれません。
 
——人事や採用担当者が読むべきジャンルや、おさえておくべき書籍はありますか?
 
採用活動や人員配置、人材育成といった人事・採用領域では、法律に従って行う業務とご自身の判断に委ねられる業務があると思います。そこで、実務にすぐ直結しなくとも、組織を最適化するための「考え方」を拡げてくれるようなジャンル・書籍を選んでみるのはどうでしょうか。マーケティングや経営戦略を理解すると、自社をはじめ企業の考え方や社会の動きを把握できるようになりますから。
 
——たくさんの書籍の中から、自分が読みたい本を探すことが難しい人もいるようですが、書籍を選ぶポイントはありますか?
 
本を読む習慣がないという方におすすめしている方法が下記の3つです。

 

  • 書店の新刊の棚から自分に合いそうなものを探す
  • 実際に書店を歩いてみて目にとまったものを手に取る
  • 書店のWebサイト上で紹介されている「今週のベストセラー」から探す


知りたいことがはっきりしている場合は、気になる本を見つけたら、下記の3カ所を確認してみましょう。必要としている情報が書かれた一冊に出会えると思います。

 

  • はじめに
  • 目次
  • 著者プロフィール


書籍の最初に書かれている「はじめに」は、この本を通じて伝えたいテーマや著者の熱い想いがまとめてあります。目次からは、章の構成や小見出しを通して具体的な内容や詳細度を推測することが可能です。
 
また、著者プロフィールをチェックすると、どのような立場で執筆された本なのかがわかり、知りたいことが書かれているかどうかを判断しやすくなると思います。例えば同じテーマの本でも、著者が企業の採用部門出身かコンサルティング出身かといったキャリアや、取得している資格などによって内容が異なります。

 
 

採用・人事ビギナー必読のおすすめ書籍3冊


まずは、採用・人事初心者の方におすすめの書籍3冊を柏さんに選んでいただきました。

 
 

◆「THE TEAM 5つの法則」


麻野耕司/幻冬舎
2019年発売。著者は、現代において「組織を最適化」するのに必要なのは有能なリーダーではなく法則だと述べています。チームを束ねて良い結果へと導く5つの法則を通して、個と個をつなぎチームを創る力の磨き方のヒントを教えてくれる一冊です。

「THE TEAM 5つの法則」麻野耕司/幻冬舎
 
 

◆「会社を強くする人材育成戦略」


大久保幸夫/日本経済新聞出版社
著者は、1999年にリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。人材マネジメントや労働政策、キャリア論を専門としています。入門書の中でも、人事の全体像をつかみやすく、採用から初級管理職・ミドル・シニア期と各々の段階の施策を解説し、人材育成の全体像を掴むことができます。コンパクトサイズなので場所を問わず持ち歩けるのもおすすめポイント。

「会社を強くする人材育成戦略」大久保幸夫/日本経済新聞出版社
 
 

◆「条文の読み方」


法制執務用語研究会/有斐閣
法律において大前提となる知識がやさしく解説されています。「法制執務用語編」では似ている法律用語の違いが取り上げられていて、自己解釈になりがちな法令上の言葉の正しい意味を知ることができます。薄くてコンパクトなので、必要な時に開けるように職場のデスクなど身近な場所に置いておきたい一冊です。

「条文の読み方」法制執務用語研究会/有斐閣
 
 

人事・採用担当者に役立つ変化球的な2冊


続いてご紹介いただいたのは、ビジネス書選書のプロである柏さんならではの変化球的な2冊。分野に特化した実用書と小説を選んでもらいました。

 
 

◆「ソフトウェア・ファースト」


及川卓也/日経BPマーケティング
MicrosoftやGoogleで世界基準の製品開発に携わってきた技術者である著者が、ソフトウェア技術を理解し活用できる人材の必要性を説いています。これからさらに重要となる人材の採用を考える上で、採用・人事担当者の方にはぜひ読んでいただきたいです。

「ソフトウェア・ファースト」及川卓也/日経BPマーケティング
 
 

◆「戦略参謀」


稲田将人/日本経済新聞出版社
ここまで紹介したビジネス書とはアプローチが異なり、主人公が困難を乗り越えていく姿がストーリー形式で展開される小説です。マッキンゼーや日本コカコーラなどで社員がやる気になる人事制度作りに取り組み、社長や役員を務めた著者だからこそ描ける「企業変革ノベル」です。主人公を自分と重ねて読み進めることができる物語形式なので、自分の持っている知識を再確認したり、ケーススタディを学んだりすることができます。

「戦略参謀」稲田将人/日本経済新聞出版社
 
 

ビジネス書を有効活用して、質の高い情報収集しよう


状況が日々変化する採用人事の現場では、経験を積んできた担当者にとっても、様々な情報が求められます。新年度が始まり、新しい部署でのスタートを切る人にとっても、業務に関する情報収集はとても大切です。今回紹介した本をチェックして、これからの採用現場に対応していきましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社八重洲ブックセンター 柏 明美さん
株式会社八重洲ブックセンターに入社以来、現在までビジネス書コーナーを担当。数多くのメディアにてビジネス書の選書を行っている。
 
TEXT:ユウミ ハイフィールド
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 

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