ESGとは

持続可能な世界の実現のために企業が行う、

Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)を

考慮した投資活動や経営・事業活動のことです。

「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス=企業統治)」
ESGとは、持続可能な世界の実現のために企業が行う、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)を考慮した投資活動や経営・事業活動のことです。2006年、当時の国連事務総長が金融業界に向けて提唱したPRI(Principles for Responsible Investment:責任投資原則)において登場しました。

長期的成長を望む企業にとって、気候変動問題や人権問題など、世界的に多くの課題が顕在化している社会の中で、ESGの観点での配慮をすることが重要とされています。なぜなら、そういった配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値を損ねるリスクを抱えているとみなされ、投資対象から除外される恐れがあるからです。

社会への取り組み

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あらゆる人々が自分に合った仕事を見つけられるような社会の実現を目指して、

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ライフマガジン「BE」

ライフマガジン「BE」みなさんが持つ“声”から生まれたライフマガジン

『Indeed Rainbow Voice 2022』に集まった様々な『声』をもとに、ライフスタイルマガジン『BE』を制作して、6月に発刊。全ての人たちに声を届けます!
仕事・人生・はたらく理由

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ESGを理解する

E(Environment:環境課題)とは
ESGのEとは、さまざまな環境問題の解決に向けての課題を指します。

具体的には、二酸化炭素(CO2)や温室効果ガス(GHG)の排出量削減、再生可能エネルギーの利用促進、廃水による水質汚染の改善、化学物質の削減、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進などが挙げられます。気候変動への対策や生物多様性の確保など世界規模の課題も多く、日本だけではなく世界的な課題解決に向けた取り組みが求められます。
S(Social:社会課題)とは
ESGのSとは、社会全体で解決しなければならないとされる課題を指します。

適正な労働条件や男女平等など職場での人権保護、多様性(ダイバーシティ)の尊重、ワーク・ライフ・バランスの実現、児童労働・強制労働問題への対策、地域社会への貢献など、多くは人々の「働き方」にまつわる課題です。児童労働や強制労働のような人権問題は、海外にサプライチェーンを持つ企業にとっては見逃せない問題でしょう。

また、過重労働やセクハラ・パワハラ、ジェンダーの不平等、非正規労働者への待遇格差などの問題は、すでに多くの企業で身近な問題となっています。
G(Governance:ガバナンス課題)とは
ESGのGとは、透明・公正な経営を行うための仕組み作りにおける課題を指します。

リスク管理のための情報開示や法令(コンプライアンス)の順守、業績悪化につながる不祥事の回避、内部監査など、すでに多くの企業で重要視されている「管理体制」に関する課題です。

ガバナンスはあらゆる企業に例外なく認識される課題であることから、機関投資家の間では、ESGの3つの要素のうちGが最も重要視されています。
ESG経営とは
環境課題や社会課題への対応、コーポレートガバナンスの遵守など、ESGの3つの観点に配慮した経営スタイルのことをESG経営と呼びます。
ESG投資とは
ESG投資とは、ESGの3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先の企業等を選ぶ方法です。投資先に対してESG課題への継続的な配慮を促す意味もあります。

ESG投資はサステナブル投資と呼ばれることもあります。
ESGが注目される理由とは
ESGが注目される背景としては、世界各地で利益追求型の経済活動が発展していく中で、環境・社会・企業統治の面での「持続可能性」についての懸念があります。

今後、企業が長期的な成長をしていくためには、ステークホルダー(株主・経営者・従業員・顧客・取引先のほか、金融機関、行政機関など企業の利害関係者)への配慮としてESGの観点が重要であるという認識が広がりました。

これは、2006年に国連が発表した「PRI(国連責任投資原則)」で、世界の機関投資家に対してESGの観点を持つように促したことが大きく影響しています。日本においては、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名したことから、ESGに対する注目が高まりました。
ESGに取り組むメリット
企業がESGに取り組むメリットは、大きく2つあります。
  • 企業イメージと収益の向上につながる 環境、社会、ガバナンスにおける課題に取り組む企業は、社会の要請に応える技術やサービスを提供することができます。結果として企業イメージの向上や、収益の向上にもつながるのです。短期的な利益は見込みにくいかもしれませんが、長期的な視点で考えれば投資機関や投資家からの評価が向上して資金調達がしやすくなる可能性が高いでしょう。
  • 経営リスクを軽減できる また、ガバナンスの強化や労働環境の改善に取り組むことで、企業の抱える経営リスクを軽減でき、企業としての生産性が向上して離職率の低下や人材の確保にもつながります。社会の要請に応じた自社の商品やサービスを追求した結果、新規事業の開発に繋がる可能性もあります。ESGに取り組むことで、今までにない視点からの新たなビジネスチャンスを掴むきっかけになるかもしれません。
反対に、ESG関連の非財務情報開示が義務化される世界的な流れが進むなか、ESGに取り組まないことが経営上のリスクとなります。短期的利益だけを追求しESGに消極的な企業は市場から淘汰されてしまう可能性もでてくるのです。
ESGの課題
  • 国際的に標準化されていない ESGの評価指標が、国際的に標準化されていないという課題があります。

    その中で、ESGの「E(Environment:環境)」の分野については、国際的な標準化が進みつつあるといえます。例えば、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、企業が発行する年次の財務報告において、財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する報告書を2017年6月に公表しました。

    企業が気候変動のリスク・機会を認識し経営戦略に織り込むことは、ESG投融資を行う機関投資家・金融機関が重視しており、TCFDの報告書においても、その重要性が言及されています。

    このTCFD提言に沿った情報開示は、一般にTCFD開示と呼ばれます。機関投資家等にとって、企業のTCFD開示への積極性も重要な投資判断の基準となります。

    また、気候変動リスクに加え、最近では「人的資本」に関する情報開示も義務化される流れが進んでいます。

    例えば日本でも、2021年6月に改定が行われた東証のコーポレートガバナンスコードの改定によって人的資本の情報開示について義務化されました注1。さらに政府により、上場企業が2023年3月期決算から有価証券報告書において、従業員向けの研修やダイバーシティ配慮、健康・安全管理の状況等の人的資本情報を開示する義務が求められています注2

    しかしながら、比較的標準化が進んでいるのは環境等一部の分野に限られています。体系的かつ標準化され、企業間でESGパフォーマンスの比較が可能な指標群が構築されていないという問題は、依然として存在しているのです。
  • 短期的な企業利益にはつながりにくい ESGは長期的な目標であり、短期的な企業利益にはつながりにくい側面があります。

    成果を判断するのに時間がかかる上、取り組みに対するフィードバックを得ることにも時間を要することはデメリットとも言えるでしょう。環境に配慮した設備を導入したり、従業員の待遇を見直したりすることで、短期的にはコストが増加する可能性もあります。
SDGsとは
SDGsとは、2015年9月に国連がまとめた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の頭文字を略してできた言葉です。2016年から2030年までに世界で達成すべき目標として、17項目に分けて提示されています。
ESGとSDGs との違い
SDGsの対象が国や自治体等の公共セクター、企業等の民間営利セクター、NPO・NGO等の民間営利セクター、各個人など世界全体の多様な主体であるのに対して、ESGの主な対象は投資家や民間企業です。

SDGsは開発途上国のみならず先進国も含む世界全体の共通目標であり、ESGは、企業が長期的に成長をしていく上で取り組む課題であると言えます。企業がESGの観点に配慮して事業活動を展開していくことが、結果的にSDGsの目標達成につながっていくでしょう。
SRIとは
ESGと類似した言葉として、SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)があります。

企業の社会貢献的な取り組みを考慮して投資を行う投資行動、または株主として企業の社会貢献活動を促す行動をとる株主行動を通して、持続可能な社会の実現に貢献することを指します。
ESGとSRIとの違い
ESGとSRIは、社会貢献活動や企業の社会的責任への取り組みに熱心な企業に投資するという点では非常に似ています。

しかしながら、SRIは1920年代に教会の資産運用の際に倫理的規範として、宗教的価値観に反する武器やギャンブル、アルコールやタバコなどに関わる企業を投資対象から排除したこと(いわゆる「ネガティブ・スクリーニング」)が起源だとされている背景があります。

投資判断に企業の社会性や倫理性を組み込むこと自体は画期的でした。しかし、経済合理性の観点から社会的責任と企業の収益性とを両立させる視点が弱く、2000年代初頭にはSRIファンドのパフォーマンスが市場平均を下回ったため、投資家が離れていった経緯もあります。

それに対してESGは、企業の経済合理性を前提に、財務的な企業価値の向上と非財務価値の配慮とを関連付けて、より価値創造的視点から投資が行われる傾向があります。
CSRとは
ESGと似た言葉として挙げられるCSRは、「企業の社会的責任」という意味の「Corporate Social Responsibility」の頭文字からとった言葉です。企業が利益を追求するだけでなく、ステークホルダーをはじめとした社会からの期待や要請に、事業を通じて応えることを意味しています。

CSR研究で著名なアーチ・キャロルは、企業の社会的責任(CSR)を重層的なものとしてとらえ、「経済的責任」「法的責任」「倫理的責任」「フィランソロピー(裁量的)的責任」と4つに分類しています。
  • 経済的責任:利益を獲得し企業業績を向上させるという企業としての当然の責任
  • 法的責任:法令を遵守して企業活動を行う責任
  • 倫理的責任:法律が求める水準を超えて、より倫理的に企業活動を行う責任
  • フィランソロピー的責任:よき「企業市民」として社会貢献に取り組んでほしいという社会からの期待にこたえる責任
ESGとCSRの違い
国内では、2000年以降に頻発した食品の産地や消費期限の偽装表示、粉飾決算などの企業不祥事を契機にCSRが注目を集めるようになりました。企業の生産活動に伴う環境破壊が深刻化したことも背景として考えられています。

さまざまなステークホルダーの利益を考慮して経営判断を行い、事業を通じて社会課題の解決に貢献するという部分ではESGと共通しています。CSRには法的責任、倫理的責任、フィランソロピー的責任なども含まれることからも、着地点が経済的な利益を獲得する責任だけではない点が異なります。

本項目の監修

明治大学 経営学部 専任教授 
塚本一郎 さん

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