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マーブルワークスタイルの正式導入から1年、MIXIが考える働く場所とパフォーマンスの関係【連載:これからの採用人事部】

オフィスのイメージ

企業の先進的な取り組みや人事施策を取材する、連載「これからの採用人事部」。今回は、株式会社MIXIの事例を紹介します。
 
新型コロナウイルスの感染拡大状況がひとまず落ち着いた現在、リモートワークを継続するかオフィスワークに戻すか迷っている企業もあることでしょう。
 
そんな中、株式会社MIXIでは2022年4月、従業員の多様なライフスタイルや価値観を大切にしながら生産性を最大化することを目的に、リモートワークとオフィスワークを融合した新しい働き方「マーブルワークスタイル」制度を正式導入しました。その発案から現在までを振り返り、このスタイルの利点や制度上の工夫について同社の労務部労務企画グループ西花菜さんにお話を伺いました。

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生産性を最大化する新しい働き方を目指して

――まずはマーブルワークスタイルの概要を教えてください。
 
マーブルワークスタイルは、リモートワークとオフィスワークを融合した新しい働き方を実現する制度です。制度のポイントは大きく3つあります。

 

  1. 部署ごとに月や週単位で最適な出社回数を選択でき、フルリモートワークも可能
  2. コアタイムを従来の10時〜15時から12時〜15時に変更(※)
  3. 12時までに出社できれば全国どこにでも居住してよい

また、それに伴って交通手段と交通費の規定も見直し、従来は電車・バスの定期券代を支給していましたが、現在は電車、バス、飛行機、新幹線、高速バス、フェリーの利用が可能となりました。交通費も都度払いで1カ月あたり上限15万円まで支給されます。
 
(※)2023年4月よりコアタイムを撤廃しフルフレックスを試験導入しています
 
――マーブルワークスタイルを始めたきっかけについて聞かせてください。
 
当社では柔軟な働き方について以前から検討を重ねており、2019年からリモートワーク制度の導入に向けて検証を進めていました。当時は全社員に広くというよりは、介護や育児といった特定の事由がある社員の利用を想定した拡大制度と考えていました。
 
ところが、検証を経て規程なども整え、いざ正式導入をしようという段階でコロナ禍に突入しました。当初の想定と異なり全社員がリモートワークを経験することになった中、多くの社員から「オフィスワークもよいが、リモートワークも想像以上によいと感じた」との声が挙がりました。それであれば、双方のよいところをうまく生かして「コロナだから」ではなく「生産性を最大化する新しい働き方」が持続的にできる制度をつくれないかと考えたのです。
 
――そうして生まれたのがマーブルワークスタイルなのですね。そこから正式導入までの経緯を教えてください。
 
試験運用を2020年7月に開始しました。この段階では現在の制度と異なり、リモートワークは全社一律で週3日まで、居住場所は通勤可能範囲に限り、交通手段も電車またはバスに限定するという暫定ルールでした。
 
正式導入の2022年4月まで2年近くありますが、この期間は新型コロナウイルス感染拡大状況に大きく影響を受け、政府からの要請により全社員リモートワークを行った期間と、マーブルワークスタイル試験運用に戻す期間を繰り返しました。そのため、マーブルワークスタイルの検証ができたのは実質1年程だったと思います。

自律した考えを持ち、組織としてのパフォーマンス向上を追求できる仕組みへ

――試験運用を経てわかったこと、それを踏まえて正式導入に反映させたことは何ですか?
 
社員にアンケートやヒアリングを行ったところ、適切な出社回数は各部署の事業フェーズやタイミングによって異なるとわかりました。
 
たとえば入社間もない社員がいる部署や編成されて日が浅い部署などは、チームビルディングの観点から当面は出社の比重を多くしたいというニーズがあります。事業が企画フェーズにある部署も、アイデアを出し合ったり意見をまとめたりするには一定の対面時間を設けたいという希望があるでしょう。逆に社歴が長いメンバーが多い部署や、既に長く運用しているサービスを扱う部署などはリモートでも問題なくコミュニケーションが取れ、効率的な場合もあります。
 
そこで正式導入の際には、出社回数を全社一律ではなく部署ごとに決めるルールとし、フルオフィスワークからフルリモートワークまでを選択可能としたのです。
 
――リモートワークとオフィスワークの在り方については試行錯誤されている企業も多いと思います。
 
当社では、かねてより対面コミュニケーションを大切にする文化がありましたので、フルリモートを許可するかどうか、全社一律と部署ごとのどちらにするかなどについて様々な意見が挙がり、慎重に検討を進めてきました。その中で軸となったのは、あくまでも目的は組織のパフォーマンスを上げることだという考え方です。出社とリモートのどちらがよいかといった表面的なことではなく、本質を見据えて判断ができる自律した組織をつくりたいという思いから、厳格に縛らず部署ごとに決める規定に着地しました。
 
また、リモートワークを経験したことで、住環境が業務のパフォーマンスに影響を与えることもよくわかりました。生活の場が整い、健康的に過ごすことができると、生産性も向上します。社員それぞれの需要に合わせて柔軟に居住場所を選択できるようにすることが会社にとってプラスになると判断し、正式導入の段階から「全国居住可能」というルールに変更したのです。
 
――正式導入開始から1年が経ちました。振り返っていかがでしょうか。
 
初めての試みでしたが、おかげさまで大きな問題や業績低下といったネガティブな影響は発生しておりません。社員からは「リフレッシュや健康維持に使う時間を持つことでモチベーションが向上した」「居住場所にとらわれないことで仕事が続けやすくなった」などポジティブな声が届いています。
 
まだ1年ですので定量的な成果が見られるのはこれからだと思いますが、今後はパフォーマンス向上のほか、採用や社員のエンゲージメント向上の面にも効果を発揮するものと見込んでおります。
 
――そんな中でも、課題と感じられたことがあれば教えてください。
 
マネジメント層から挙がった声として、マーブルワークスタイルの考え方を部下へ指導するときに難しさを感じるというものがありました。ルールを伝えるだけなら簡単ですが、全社員に同じ価値観や考え方を共有し浸透させるのは、確かに口頭だけでは無理があります。
 
そこで今年の4月、マーブルワークスタイルの考え方を明文化したルールブックを新たに作成しました。ルールそのものだけでなく、なぜそのルールを設けたのか、そもそもなぜこの制度があるのかを示したものです。全社員が同じものを閲覧することで共通認識が形成でき、上司から部下への指導も行いやすくなると思います。

目的をぶらさず、制度のブラッシュアップを続ける

――リモートワークとオフィスワークの融合を検討している会社が大事にすべきことは何でしょうか。
 
まず、目的をぶらさないことが重要です。目指すべきなのは、単に働きやすくすることや社員個人の希望をかなえることではなく、自律的な働き方を通じて組織のパフォーマンスが向上することだと考えています。当社でも「部署では週2回の出社と決められたが、自分はフルリモートにしたい」との声が聞こえてきたことはあったのですが、そこはマーブルワークスタイルの趣旨を改めて説明し、あくまでも部署ごとに決めるというルールに従ってもらっています。
 
そのためにも、企画の段階では会社としてどうありたいか、どういう人に活躍してほしいのかという社員像を改めて明確にし、そこからぶれない制度を設計することが大事だと思います。
 
また、試験運用を行う際は、検証項目を全社員に可視化することが重要です。もし検証の内容や目的がブラックボックス化すると「人事が何かやっているな」と他人事に思われ、検証が意味をなさなくなりかねません。検証項目を丁寧に社員へ説明して自分事として捉えてもらうこと、試験運用後はアンケート、ヒアリング、データ収集といった方法で定量的および定性的な視点で検証を行い、正式導入の可否や内容を決めていくのがよいでしょう。
 
――最後に、御社が次のステップとして考えていることを教えてください。
 
働く時間や場所の柔軟性をさらに高めることでより多様な人材が活躍できるのではないかという仮説のもと、今年4月から新たな施策を始めました。1つはコアタイムをなくしたフルフレックスの検証です。2つ目は、一定期間、実家やホテルといった第3の場所での就業も認めるマーブルロケーションと称する制度です。マーブルワークスタイルは現在のかたちで完成ではなく、今後もブラッシュアップを続けていくものと考えています。

 
 
 

<取材先>
株式会社MIXI
労務部 労務企画グループ 西花菜さん
 
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + ノオト

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