効果的な「フリーアドレス」のあり方とは? 企業側のメリットと導入時の注意点


社内で自由に着席場所を選んで仕事をする「フリーアドレス」。業務のデジタル化を推し進める企業では、固定席の必要性を感じなくなるケースもあり、最近は業種を問わず取り入れられています。フリーアドレスのメリット、導入の注意点やコツはどんなところにあるのでしょうか。
 
オフィスのデザインやファシリティマネジメント業務を手掛け、年間2,000件以上のオフィス移転やレイアウト変更工事を行う株式会社コスモスモアファシリティ事業部の中村正典さんと、八木悠平さんに伺いました。

 
 

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導入することで作業効率が高まり、生産性もアップ


――固定席を定めない「フリーアドレス」を企業が取り入れ始めたのは、いつからなのでしょうか?
 
中村さん:フリーアドレスの歴史は意外に古く、最初に流行ったのは1980年代後半といわれています。その後、パソコンの軽量化やスマートデバイスの普及、ペーパーレス化などの環境の変化に後押しされ、様々な企業で導入されるようになりました。
 
2000年頃までは、フリーアドレスといえば「自由に座れる大きなテーブルを設置する」などの導入方法が多く見られましたが、その後は形式が多様化。近年は、複数人で話せる大きなテーブルをはじめ、一人で集中できるような小さな机、社員同士のコミュニケーションが生まれやすいスペースを設けるなど、バリエーション豊かなカフェのようなスタイルも主流の一つとなっています。
 
最近では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ワークスペースはオフィスだけにとどまりません。自宅やカフェなども働く場所に加えた、自由度の高いアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)というワークスタイルの導入も進んできています。
 
――フリーアドレス導入に対するメリットを教えてください。
 
中村さん:一番のメリットは、気軽に気分転換ができることです。数人で資料を広げながら話をしたいときは、大きなテーブルのある席で、一人で集中したい場合は、窓際の小さな机で作業するなど、席を変えて目線が変わるだけでも気分が違います。状況に適した場所で作業すると、生産性アップにもつながります。
 
米国カリフォルニア大学アーバイン校の調査によると、人間は集中した状態から一度注意をそらされると、集中力を取り戻すまでに約23分かかると言われています。また、一方でオフィスでは話し掛けられるなどして11分に一度はコミュニケーションが発生し、集中が途切れてしまいます。自由に場所を選べるフリーアドレスは、そうした作業の中断や非効率な時間を減らすことにも役立てられます。
 
さらに、健康面での効果も期待できます。人間の頭は体重の10%もの重さがあると言われ、同じ姿勢でパソコンなどの作業を続けると首に大きな負荷がかかります。また、長時間座りっぱなしの状態も筋肉の代謝や血流の悪化を招くため、体に悪いと言われています。それらを軽減するために、立って作業できるスペースを使うなどして姿勢を変えられるのもフリーアドレスの利点です。
 
八木さん:組織づくりの観点では、座る場所が自由だと、部署の垣根を超えたコミュニーケーションが生まれやすいのも、大きなメリットになります。

 
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――導入にあたり想定されるデメリットはありますか。
 
八木さん:フリーアドレスにはデメリットはほとんどないと考えていますね。ただ、すべての企業でフリーアドレスを導入した方が良いとは限りません。例えば、外出する人が少なく、従業員のほとんどが着席した状態で仕事をするオフィスでは、人の流れが生まれず導入するメリットは極めて小さいのでお勧めはしません。

 
 

成功のコツは、稼働率などのデータや従業員の要望を踏まえて改善すること


――フリーアドレスを導入する際に、抑えるべきポイントはどんなことでしょうか。
 
中村さん:フリーアドレスは導入したら終わりではなく、弊社では導入後も机やいすにセンサーを付けるなどして席ごとの稼働率のデータを取っています。また、データでは測ることができない使い心地や要望は、従業員の皆さんにアンケートを取るなどして集めています。これらの結果から改善点をあぶり出し、常に改善を繰り返すことがフリーアドレス成功のコツです。
 
八木さん:失敗しないためには、従業員の意識改革も重要です。私たち第三者が事前に説明会を開き、オフィスをより効率良く活用する方法や考え方も伝えています。企業によっては部署横断的にメンバーを募って、フリーアドレス導入のプロジェクトチームを結成すると、よりスムーズに導入を進めているケースもあります。
 
中村さん:逆に、「2時間経ったら席を変えなければならない」などのルールは取り入れないほうが良いです。そもそもフリーアドレスは自主性を尊重するものなので、行動を強制してしまっては本末転倒。共用の資料や文具の扱いなど、整理整頓のためのルールを設定する程度で十分です。
 
――フリーアドレスを導入するタイミングで社内環境を見直す必要もありそうです。
 
中村さん:フリーアドレスに取り組むならば、社内のペーパーレス化は必須です。引き出しや棚にしまってある資料は、たいていが紙である必要がなく、ある種「思い出」のように保管されている物が多いと感じます。契約書など、どうしても紙でなければならないものを除き、データ化をして整理するといいでしょう。
 
また、個人の荷物を置く場所がなくなるので、荷物やコートなどを置く個人ロッカーも必要です。近年は多くの企業で整備が進んでいると思いますが、ネットワーク環境やモバイルPCなどの機器類を整備することもフリーアドレス導入に欠かせないポイントです。

 
 

働く場所により一層の柔軟性が求められる時代に


――フリーアドレスは、今後どう変化していくと思いますか?
 
中村さん:働く環境が急速に変化するのに伴い、フリーアドレスのあり方も今後さらにフレキシブルになっていくと思います。会社だけでなく、サテライトオフィス、自宅、カフェなど、働く場所はさらに広がっています。そうなればなるほど、企業として何を大切にするのか、オフィスで従業員にどう働いてほしいかを追究するべきです。
 
――「自由な席のあり方」を考えた結果、リモートワークの導入が進む可能性もあるのですね。
 
中村さん:働く場所をどのように整備するか、本社機能をどう維持するかは、企業にとって重要なポイント。今後、働く環境をより真剣に考えられる経営者は増えると思います。逆に、オフィスの環境整備を疎かにする企業は、社員のニーズに応えられず、ゆくゆくは業績に影響が出てくるのではないでしょうか。

 
 
 

<取材先>
株式会社コスモスモア ファシリティ事業部 中村正典さん 八木悠平さん
 
TEXT:岡崎彩子
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 +ノオト

 

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