知っておくべきこと
世界保健機関 (WHO) は新型コロナウイルスによるパンデミックを宣言しました。このウイルスは接触による伝染性が高いため、世界各国の政府は主要なイベントのキャンセル、学校の閉鎖、外出禁止令による隔離措置の実施により、混雑を避け、人々の接触を制限しようと試みています。一部のビジネスでは顧客数の減少が予想され、ウイルスの脅威が収まるまで、政府が実店舗や職場の閉鎖等の自粛を要請する動きも始まっています。
新型コロナウイルスは世界中で急速に拡大しています。事業主は次のような信頼できるニュースや保健医療関連ソースを定期的にチェックすることで、計画を立て、実際に行動を起こすことができます。
- 厚生労働省―新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け): 新型コロナウイルスに関する健康、安全、雇用などに関する雇用主向けのQ&A。
- 経済産業省―新型コロナウイルス感染症関連: 新型コロナウイルスによる企業への影響を緩和し、企業を支援するための施策。
- WHO―新型コロナウイルス・パンデミック情報(英語): 世界保健機関 (WHO) が提供する、新型コロナウイルスに関する世界の最新情報と指針。
企業の中には、業務の中止や変更を検討・開始しているところもあるでしょう。社員や顧客が不安にならないよう、ビジネス慣行の変更について、わかりやすくこまめに伝えましょう。
臨時休業に備える方法
企業の中には、個々の決断または行政の要請により、一時的に休業を決定する場合があります。すぐに臨時措置について検討し、事業を一時的に停止する必要がある場合に、社員と顧客がこの先どうなるのかを十分理解し把握しておく必要があります。次の手順で実行計画を作成します。
1. 先のことを考える
まず、休業の観点で考えられる選択肢について検討します。日本商工会議所ではコロナ渦において企業や小売業者が直面する課題を軽減するために、様々な情報や支援策を提供しています。自社の財政状況、社員の健康、顧客の安全を考慮しつつ、自社にとって最適な選択肢もしくはそれらの組み合わせを見つけましょう。
例:コストベネフィット分析を行い、一時的な休業が可能かどうかを判断します。社員の健康、財務の安定性、顧客維持などの関連要素をすべてリスト化し、これを元に休業の時期と期間を決定します。
2. お客様にありのままを伝える
一時的に事業を停止する場合は、停止する理由、連絡を維持する方法、事業再開が見込まれる時期を、顧客に常に明確に伝えます。企業の Webサイトや SNS を更新することで、顧客と簡単に連絡を取ることができます。何よりも、正直に伝えてください。
メッセージの例:「お客様各位 弊社にとって、お客様および従業員の健康と安全が最も重要です。新型コロナウイルスの拡大を抑えるために、弊社は今後2週間、事業を停止するという苦渋の決断を下しました。再開についての最新情報は、Web サイトとSNSで更新いたします。皆さまの健康と安全をお祈り申し上げます。」
関連記事: 新型コロナウイルス危機の間のビジネスコミュニケーションのヒント
3. 従業員と共に計画する
臨時休業について従業員と話し合います。従業員は疑問や不安を感じるはずなので、彼らと話し合い、できる限りの質問に答えられるよう準備をします。従業員との連絡手段を確保しておき、事業の再開時に最新情報を伝えられるようにします。
例: 各内容を事前に通知して Q&A を設定し 、従業員に情報を分析して質問を準備する機会を提供します。会議で従業員に提供するための情報とリソースを収集します。
4. 会計上の助言を求める
会計士に連絡し、臨時休業のための税務書類などを準備します。一時休業中の財務および法的なベストプラクティスについて、会計士が方針を示してくれるでしょう。
例: メリットとデメリットについてまとめたリストを作成し、担当の会計士に評価してもらいます。経済的に実行可能な方法で短期的な休業に対処するための、財政的な助言と方針を求めます。
参考リンク:
5. 従業員に選択肢を提供する
可能であれば、臨時休業中の従業員の雇用状況に関する選択肢を提供し、行政のリソースと情報にアクセスできるようにして、休業中の従業員が選択できるようにします。
参考リンク:
- 厚生労働省―新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け): 新型コロナウイルスに関する健康、安全、雇用、育児などに関する労働者向けのQ&A。
- 厚生労働省―こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省)
- 国税庁―新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ:国税の猶予制度について
- 総務省―特別定額給付金
時間の短縮に対処する方法
一時的に休業するのではなく、営業時間の短縮を選択するビジネスもあります。店舗をもつ企業では、店舗の営業時間を短縮すると間接費が削減される上に、企業にある程度の利益がもたらされます。一時休業の準備と同様に、企業の今後に備え、時間の短縮によるマイナス面とプラス面を検討します。次の手順で、営業時間の短縮に関するベストプラクティスを確立します。
1. 従業員と話す
営業時間を短縮する計画があることを従業員に知らせます。労働時間の短縮の理由と、働き方や給与への直接的な影響について話し合います。また従業員からの質問にも回答できるように準備します。
メッセージの例:「従業員の皆様へ 来週の月曜日より営業時間を短縮します。これにより、すべてのスタッフ、特に現場で働いているメンバーに影響が生じるでしょう。この件について質問があると思いますが、まずは配布した概要に目を通してください。すべての情報を確認後、不明な点がありましたらいつでも質問してください。」
2. 透明性を確保する
営業時間の短縮を公表する際は、顧客に説明します。自社が時間を制限する必要がある理由と、従業員と顧客を新型コロナウイルスから守るために講じる予防策について説明します。Web サイトやSNSを通じて、オンラインで企業と連絡を取るためのリソースを提供します。これらのソースでは、時間やその他のビジネス上の変更を定期的に更新します。
メッセージの例:「お客様各位: 来週から営業時間を短縮いたします。月曜日より、店舗の開店時間は午前10時、閉店時間は午後4時となります。お客様と従業員の健康が弊社の最優先事項です。その他の変更については、企業サイトやSNSをご確認ください。」
3. 柔軟に対応する
従業員とのコミュニケーションは柔軟に対応できるようにしましょう。 可能であれば、従業員に勤務時間の選択肢を提供します。 従業員の中には、子供の休校のため、通常の労働時間に影響が出る場合があります。 短縮された時間枠で最適な時間を従業員に尋ねます。
メッセージの例:「チーム各位: 学校と保育園の閉鎖のため、通常の時間帯で働けないスタッフもいると思います。 勤務時間の変更を希望する場合は、今週末までにお知らせください。 スタッフの皆さんの希望に最大限お応えし、一緒に働けるように最善を尽くします。」
4. オンライン店舗に移行する
小売店での営業時間を制限している場合は、業務のオンラインへの移行を検討しましょう。 ブランドの認知度を高め、新規顧客を獲得できるチャンスでもあります。 オンライン販売は対面でのやり取りが発生しないので、従業員にとっても顧客にとっても安全です。
例: 主な販売を店舗で行っている場合は、オンラインに移行する旨をできるだけ早い段階で店舗で通知します。 メーリングリスト、SNS、Webサイトを使用して、オンライン店舗に関する情報を広く周知させます。
5. 在宅勤務を検討する
可能であれば、在宅勤務の選択肢を従業員に提供します。 従業員用のオンラインコミュニケーションシステムをセットアップします。 報告義務および作業管理システムを構築しておくといいでしょう。
メッセージ例:「チーム各位: 在宅勤務の希望がある場合は、今週水曜日のオンライン研修に参加してください。 自宅でうまく仕事ができるかどうかわからない場合は、声をかけてください。個別に方法を相談しましょう。」
職場の変更に関するヒント
新型コロナウイルスの影響によって、多くの企業が一時休業や営業時間の短縮など変更を余儀なくされています。また通常どおりの業務の継続のいずれに決定した場合でも、通常の業務に何らかの変更が見られることが予測されます。
この期間の自社の準備と管理のために以下を参考にしてください。
- 出張のキャンセル: 重要でない出張はすべて中止します。 代わりに、ビデオチャットを通じてオンラインで関係者とコミュニケーションをとるか、出張を数か月先に延ばします。
- バーチャル会議を開催する: 対面会議ではなくバーチャル会議を開催します。 オンラインでの大規模なグループ会議専用の Web サイトやアプリで、プロセスを合理化できます。
- 職場をきれいにする: 定期的に職場をすみずみまで清掃し、消毒します。 これには、顧客が訪れる正面エリアとすべての社員施設が含まれます。
- サプライチェーンと話し合う: サプライチェーンと連絡を取ります。さまざまな場所で混乱が生じ、製品を作り消費者に届ける過程に影響がでる可能性があります。
- 事業中断に関する保険契約を確認する: 多くの企業は、業務上の困難に直面したときのために、事業保険契約に加入しています。伝染病やパンデミックを対象外としている保険会社もあるので、契約内容を入念に確認してください。 新型コロナウイルスによって利益に影響がある場合、どのような選択肢があるのかを保険会社に確認します。
- 特別チームを編成する: 新型コロナウイルス関連の問題発生時に対処する社員のチームを編成します。 事業の変化に先立ってチームを編成することで、緊急時計画を作成し、必要に応じて即時の行動に備えることができます。 (「新型コロナウイルス危機の間のビジネスコミュニケーションのヒント」もご覧ください)
- 状況を毎日監視する: 厚生労働省や経済産業省、地方自治体などの信頼できるソースをチェックして、ビジネス慣行と隔離措置に関するポリシーの最新情報を確認します。
- 人事と話し合う: 人事部門と連携をとり、新型コロナウイルスによる業務の変更に伴う給与、時間、福利厚生の変更に関して確認します。
- 透明性を保つ: 従業員や顧客と頻繁にコミュニケーションをとり続けましょう。 透明性を保ち、できるだけ頻繁に最新情報を更新します。