5年前に比べて求人検索ワードのランキングはどう変わった?


価値観やライフスタイルが多様化している現在、求職者の仕事探しのニーズや意識にはどのような傾向があるのでしょうか。Indeedで抽出した「求人検索ワードランキング」1位〜999位を参考に、2014年と2019年の検索ワードの違いについて分析しました。その一部をご紹介します。

 

求人を掲載

Indeedの検索ワードランキング上位30を抜粋(2014年・2019年)

Indeedの検索ワードランキング上位30を抜粋(2014年・2019年) 2014年:1 正社員、2 ハローワーク、3 パート、4 アルバイト、5 一般事務、6 事務、7 保育士、8 医療事務、9 短期、10 看護師、11 内職、12 管理栄養士、13 栄養士、14 英語、15 受付医療事務、16 歯科衛生士、17 日払い、18 主婦歓迎、19 運転手、20 フォークリフト、21 工場、22 ドライバー、23 社会福祉士、24 歯科助手、25 製造、26 受付、27 50代、28 カフェ、29 介護、30 准看護師/2019年:1 正社員、2 パート、3 ハローワーク、4 アルバイト、5 一般事務、6 事務、7 主婦歓迎、8 短期、9 シニア、10 医療事務、11 中高年、12 主婦パート、13 土日祝休み、14 保育士、15 看護師、16 日払い、17 内職、18 ドライバー、19 単発、20 50代、21 短期アルバイト、22 英語、23 工場、24 フォークリフト、25 60歳以上、26 オープニングスタッフ、27 清掃、28 歯科衛生士、29 製造、30 正看護師

Indeedの検索ワードランキング上位30を抜粋(2014年・2019年)

2014年と2019年の検索ワードランキングでは、主に3つの変化が見られました。
(1)職種ニーズの変化
(2)シニア世代の就労意識の高まり
(3)働き方の変化

 
 

(1)職種ニーズの変化


まずは「職種ニーズの変化」です。「事務」(2014年、2019年ともに6位)のように常に人気の職種や、「看護師」(2014年︰10位→2019年:15位)のように転職者が多く、一定の検索ニーズのある職種もありますが、そのなかで、特に順位変動が顕著だったのはIT関連の職業です。
 
「プログラマー」というワードは2014年ではランキング外(999位以下)だったにもかかわらず、2019年には581位にランクインしています。「システムエンジニア」や「社内SE」というワードもランクアップしていますし、「IT」は検索数が4倍以上に増えました。これは、IT技術の進歩により、企業の求人ニーズが増え、求職者に「将来にわたって活躍できるフィールドだ」という認識が広まった結果といえそうです。
 
少し変わった職種では「運転代行」(2014年:550位→2019年:345位)というワードが、この5年間で検索数が2倍に増えています(「タクシー」は微増)。これは、自動車運転代行業を営む企業が増え、急激に求人ニーズが高まってきたというのが理由として考えられます。
 
地方ではこの5~10年で、自家用車で飲み会に参加した運転手が「代行」を利用するのが当たり前になりました。その背景には、全国で発生しているさまざまな悲しい自動車事故をきっかけに、2014年5月20日に施行された、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷処罰法)という、悪質で危険な運転者に対する罰則の強化が考えられます。

 
 

(2)シニア世代の高い就労意識


2つ目は、「シニア世代」に関するキーワードの上昇です。
 
「シニア」(44位→9位)
「中高年」(32位→11位)
「50代」(27位→20位)
「60歳以上」(416位→25位)
「65歳以上」(ランキング外→47位)
 
と、上記のようなキーワードの検索数が伸びています。要因は、企業側と求職者側それぞれに考えられそうです。
企業にとっては、下記のような理由が挙げられます。

 

  • 人材不足を解消できる点
  • 経験やスキルがあるので、即戦力が期待できる点
  • 働く目的が明確なため、意欲のある人材を採用できる点
  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者雇用環境整備支援コース)などの助成金を受給できる点


一方、求職者は、「社会とのつながり」「自分の活力のため」といったやりがいを求めるケースだけでなく、「健康維持」や日々の生活費のためといった「経済的な理由」も多いようです。

 
 

(3)働き方の変化


この5年の間で、下記のような働き方に関するワードの検索数が伸びています。
 
「副業」(921位→201位)
「Wワーク」(353位→281位)
「在宅ワーク」(124位→37位)
 
これらのキーワードが注目されるのは、2016年頃から政府で検討されていた「働き方改革」に関連する施策によって、人々の意識がどんどん変化してきたからでしょう。
 
「副業」「Wワーク」のワードは2018年、厚生労働省が「働き方改革実行計画」の一環として、モデル就業規則(※1)に「副業・兼業」に関する新たな規定を追加しました。この年を機に、従業員の「副業・兼業」を認める企業が増加。多くの人が「副業」や「Wワーク」を考え始めるきっかけになったのではないかと推測できます。
 
(※1)企業が就業規則を定める際に参考にする、厚生労働省が作成している規則
 
また、2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」のテーマの1つ、「長時間労働の是正」の施策として注目されているキーワードが「在宅ワーク」です。現在は新型コロナウイルス感染拡大を防止する1つの対策として、多くの企業が急遽導入し、社会に定着しつつあります。
 
「働き方改革」の推進によって従業員の労働時間短縮を図る一方、企業は従業員の生産性向上とともに、人手不足を解消する施策を打つ必要が生まれてきました。そこで、政府は企業が新しい労働力として「外国人の採用」を積極的に行えるよう、2019年4月に改正出入国管理法を施行し、外国人の就労資格を緩和しました。
 
具体的には、介護や農業、産業機械製造業、外食業など人手不足が顕著な14業種を対象にした在留資格「特定技能(1号・2号)」を新設。「外国人採用」(477位)が2019年に新しくランクインしたのは、法改正によって新たなニーズが生まれた結果だと考えられます。

 
 

世の中の変化をつかみ、求職者のニーズを反映する


このように、求職者が仕事探しで検索するワードは、価値観の変化や産業構造の転換、法改正などの様々な要因によって年々変化していきます。企業はこうした世の中の動きや人々のニーズを敏感にキャッチしながら、求人情報をアップデートしていくことが大切です。
 
求職者はいま、どんな検索ワードを打ち込んでいるのでしょうか。そのニーズをきちんと予測し、先回りしながら自社の魅力を伝えるコンテンツを揃えておけば、より一層効果的な採用活動につながっていくでしょう。

 
 
 

TEXT:キャリアコンサルタント 西谷忠和
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
“マンガで解説 

求人を掲載
準備はできましたか?求人を掲載

*ここに掲載されている内容は、情報提供のみを目的としています。Indeed は就職斡旋業者でも法的アドバイスを提供する企業でもありません。Indeed は、求人内容に関する一切の責任を負わず、また、ここに掲載されている情報は求人広告のパフォーマンスを保証するものでもありません。