Indeedの検索ワードランキング上位30を抜粋(2014年・2019年)
Indeedの検索ワードランキング上位30を抜粋(2014年・2019年)
2014年と2019年の検索ワードランキングでは、主に3つの変化が見られました。
(1)職種ニーズの変化
(2)シニア世代の就労意識の高まり
(3)働き方の変化
(1)職種ニーズの変化
まずは「職種ニーズの変化」です。「事務」(2014年、2019年ともに6位)のように常に人気の職種や、「看護師」(2014年︰10位→2019年:15位)のように転職者が多く、一定の検索ニーズのある職種もありますが、そのなかで、特に順位変動が顕著だったのはIT関連の職業です。
「プログラマー」というワードは2014年ではランキング外(999位以下)だったにもかかわらず、2019年には581位にランクインしています。「システムエンジニア」や「社内SE」というワードもランクアップしていますし、「IT」は検索数が4倍以上に増えました。これは、IT技術の進歩により、企業の求人ニーズが増え、求職者に「将来にわたって活躍できるフィールドだ」という認識が広まった結果といえそうです。
少し変わった職種では「運転代行」(2014年:550位→2019年:345位)というワードが、この5年間で検索数が2倍に増えています(「タクシー」は微増)。これは、自動車運転代行業を営む企業が増え、急激に求人ニーズが高まってきたというのが理由として考えられます。
地方ではこの5~10年で、自家用車で飲み会に参加した運転手が「代行」を利用するのが当たり前になりました。その背景には、全国で発生しているさまざまな悲しい自動車事故をきっかけに、2014年5月20日に施行された、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷処罰法)という、悪質で危険な運転者に対する罰則の強化が考えられます。
(2)シニア世代の高い就労意識
2つ目は、「シニア世代」に関するキーワードの上昇です。
「シニア」(44位→9位)
「中高年」(32位→11位)
「50代」(27位→20位)
「60歳以上」(416位→25位)
「65歳以上」(ランキング外→47位)
と、上記のようなキーワードの検索数が伸びています。要因は、企業側と求職者側それぞれに考えられそうです。
企業にとっては、下記のような理由が挙げられます。
- 人材不足を解消できる点
- 経験やスキルがあるので、即戦力が期待できる点
- 働く目的が明確なため、意欲のある人材を採用できる点
- 65歳超雇用推進助成金(高年齢者雇用環境整備支援コース)などの助成金を受給できる点
一方、求職者は、「社会とのつながり」「自分の活力のため」といったやりがいを求めるケースだけでなく、「健康維持」や日々の生活費のためといった「経済的な理由」も多いようです。
(3)働き方の変化
この5年の間で、下記のような働き方に関するワードの検索数が伸びています。
「副業」(921位→201位)
「Wワーク」(353位→281位)
「在宅ワーク」(124位→37位)
これらのキーワードが注目されるのは、2016年頃から政府で検討されていた「働き方改革」に関連する施策によって、人々の意識がどんどん変化してきたからでしょう。
「副業」「Wワーク」のワードは2018年、厚生労働省が「働き方改革実行計画」の一環として、モデル就業規則(※1)に「副業・兼業」に関する新たな規定を追加しました。この年を機に、従業員の「副業・兼業」を認める企業が増加。多くの人が「副業」や「Wワーク」を考え始めるきっかけになったのではないかと推測できます。
(※1)企業が就業規則を定める際に参考にする、厚生労働省が作成している規則
また、2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」のテーマの1つ、「長時間労働の是正」の施策として注目されているキーワードが「在宅ワーク」です。現在は新型コロナウイルス感染拡大を防止する1つの対策として、多くの企業が急遽導入し、社会に定着しつつあります。
「働き方改革」の推進によって従業員の労働時間短縮を図る一方、企業は従業員の生産性向上とともに、人手不足を解消する施策を打つ必要が生まれてきました。そこで、政府は企業が新しい労働力として「外国人の採用」を積極的に行えるよう、2019年4月に改正出入国管理法を施行し、外国人の就労資格を緩和しました。
具体的には、介護や農業、産業機械製造業、外食業など人手不足が顕著な14業種を対象にした在留資格「特定技能(1号・2号)」を新設。「外国人採用」(477位)が2019年に新しくランクインしたのは、法改正によって新たなニーズが生まれた結果だと考えられます。
世の中の変化をつかみ、求職者のニーズを反映する
このように、求職者が仕事探しで検索するワードは、価値観の変化や産業構造の転換、法改正などの様々な要因によって年々変化していきます。企業はこうした世の中の動きや人々のニーズを敏感にキャッチしながら、求人情報をアップデートしていくことが大切です。
求職者はいま、どんな検索ワードを打ち込んでいるのでしょうか。そのニーズをきちんと予測し、先回りしながら自社の魅力を伝えるコンテンツを揃えておけば、より一層効果的な採用活動につながっていくでしょう。
TEXT:キャリアコンサルタント 西谷忠和
EDITING:Indeed Japan + ノオト