新たに採用ページを作るメリット
自社サイトとは別に、新たに採用ページを作るとなると、それなりのコストと時間がかかります。それでも採用ページを作るのは、いくつかのメリットがあるからです。
◆モチベーションの高い求職者からの応募に繋がりやすい
「採用情報は自社のサイト上に掲載すれば充分では」という意見もあるかもしれませんが、自社サイトだけでは求職者が欲しい情報が端的にまとめられていないケースが多いものです。というのも、企業サイトは採用者にターゲットを絞って作られるものではなく、顧客やステークホルダー、株主など各方面に配慮して作成するのが一般的だからです。
求職者が求める情報のみが掲載してあるわけではないため、求職者はその会社で働くイメージがわかなかったり、具体的な仕事内容がわからなかったりという理由で応募に至らないケースがあります。逆に言えば、求職者にターゲットを絞った採用ページを作成すれば、より優秀な求職者からの応募を見込めることが考えられます。
採用ページに載せるべきコンテンツとは
それでは、具体的にどのようなコンテンツを採用ページに盛り込めばいいのでしょうか? 「2020年卒 就職活動・採用活動に関する振り返り調査 データ集」(調査:就職みらい研究所)によると、就職活動を行う学生が知りたい企業情報の上位10項目は以下のようになっています。
(1)社内の人間関係
(2)採用選考の基準
(3)所定外労働時間(残業など)の実績
(4)具体的な仕事内容
(5)有給休暇の取得日数・取得率
(6)社風・企業文化
(7)勤務地
(8)離職者数または離職率
(9)昇格・昇進・仕事評価の基準
(10)オフィス環境、設備
これらの情報は新卒・中途採用に限らず、求職者にとって必要な要件と考えられるため、採用ページに盛り込むと良いでしょう。その上で、より求職者にリーチできるコンテンツの作り方をご紹介します。
◆経営方針、事業戦略は代表や部門長のメッセージを
経営方針や事業戦略については、会社の代表である社長や、部署ごとであれば部門長などが顔を見せるかたちでメッセージを発信すると良いでしょう。社風や企業文化、トップの想いを真摯に伝えることができれば、求職者の心を動かすことができるはずです。
◆会社の歴史や歩みを紹介
これまで重ねてきた会社の軌跡に惹かれ、応募を決める求職者もいます。会社の歴史、歩み、これまで取り組んできた事業などもわかりやすく掲載すると良いでしょう。
◆仕事内容は、社員の仕事ぶりや1日のスケジュールなどとともに紹介
採用ページの必須項目といえる仕事内容も、羅列して記載するだけでは求職者に仕事の魅力が伝わりません。求職者が入社してからの働き方を具体的にイメージできるようなコンテンツが必要不可欠です。
たとえば、ベテラン社員や若手社員の仕事ぶりを紹介したり、社員自身に仕事への熱い思いを語ってもらったりするのも良いでしょう。社員同士が対談した様子を載せるというのもおすすめです。このほか、1日の仕事の流れについての紹介があると、より求職者は入社後の姿をイメージしやすくなります。
◆写真や動画、数字データや社員ブログなどで会社の雰囲気や風土を伝える
採用ページでは文章だけでなく、ビジュアルで情報を訴求することも大切です。オフィスの風景、社員の仕事ぶりなどの写真をたくさん掲載し、「ギャラリー」というカテゴリを作ってみるのも良いかもしれません。写真だけで伝えきれない内容は、動画にして掲載するのも手です。
また、社員の男女比や年齢層、有給取得率や平均勤続年数など、あらゆる数字データをインフォグラフィックでわかりやすく掲載するのもおすすめです。外からは会社の実態が見えにくいため、しっかり開示されていると求職者は安心感を覚えて応募につながる傾向にあります。
このほかにも会社の雰囲気や風土を伝える上で有効なのが、採用ページにリンクするかたちで社員ブログを掲載することです。人事や現場社員のリアルな声を発信することで、入社しないと分からない情報を求職者に伝えられます。
◆教育、研修制度やキャリアアップ例を紹介
教育、研修制度が充実している会社であれば、それも忘れずにアピールしたいものです。合わせて求職者が気になるキャリアアップ例も掲載できると良いでしょう。男性/女性、各雇用形態、各年齢層に合わせたキャリアアップ例があると、求職者も入社後のビジョンを描きやすくなり、応募へとつながるはずです。
コンテンツを作るときの注意事項
採用ページを作成する上で、掲載が必須の情報や注意点もあります。改めて確認しておきましょう。
◆明記すべき労働条件を網羅する
採用ページに欠かせない募集要項は、厚生労働省が定める「労働条件の明示」に従ってしっかり記載する必要があります。以下の項目は記載が必須です。
- 雇用形態(正社員、契約社員、パート、アルバイト、登録型派遣、請負など)
- 就業時間(残業の有無など)
- 休日等(週休二日制、年末年始休暇、夏季休暇などの特別休暇。有給休暇制度など)
- 賃金(賃金形態、金額、昇給、賞与、各種手当など)
- 就業場所(正確な勤務地や転勤の有無など)
- 各種保険適用の有無
その他の詳細については、厚生労働省が開示している情報をしっかりと確認しましょう。
◆労働条件を載せるだけではもったいない! 採用ページの目的とターゲットを明確に
労働条件が中心となる求人票とは違い、採用ページは会社の特性や魅力、求職者にとって働くメリットがわかるようなコンテンツを盛り込むことが大切です。
また、優秀な求職者に対して効果的にアプローチするためには、事前に採用ページを作る目的やターゲット像を明確にしておくことも重要です。採用ページの制作に取りかかる前に、改めて確認するようにしましょう。
採用ページでは、求職者に求められる情報を網羅すること
採用ページをただ作るだけでは、良い人材は集まりません。求職者が十分な情報を集められるようなページでなければ、応募の辞退や採用後のミスマッチにつながる可能性があります。採用ページは求職者の不安を解消し、安心して応募してもらうためのものです。求職者から求められている情報を網羅し、より良い採用活動へとつなげましょう。
参考:
就職みらい研究所『2020年卒 就職活動・採用活動に関する振り返り調査 データ集』
https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2020/04/hakusho2020_data_01.pdf
厚生労働省『労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index.html