中小企業がBCP(事業継続計画)をつくるメリット


自然災害や設備の故障などが起きたときに、会社が事業を継続または早期復旧するための対策や手続きをまとめた「BCP(事業継続計画)」。中小企業がBCPを作成するメリットについて、株式会社TWS総合研究所代表で上席コンサルタントの打川和男さんに伺いました。

 
 

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BCPとは


自然災害や感染症、設備や装置の故障、火災・爆発事故など様々なリスクにより、会社が事業を継続できなくなる可能性があります。
 
こうしたときに会社が受けるダメージを最小限にし、事業を可能な限りすぐに復旧し、継続するための具体的な対策や手続きを文書にしたものを「BCP(事業継続計画)」といいます。

 
 

BCPを作成する理由と、メリットや効果


企業を取り巻く市場環境は、劇的に変化しています。とくに、以下のような変化によって、新しいリスクの登場や、既存のリスクの変化(規模の増大や発生する確率の増加)が考えられます。そのような有事の際の備えとして、BCPの作成が必要です。

 

  • 地球環境の変化によるもの(地球温暖化に起因するものなど)
    地震や風水害に関するリスクの増大:規模が大きくなり、発生する確率が上がった
  • 市場環境の変化によるもの
    経営のIT依存度の増加:サーバーやシステムの停止が、事業の停止につながりやすくなった
    サプライチェーン(※1)の広範囲化:一部分でも途絶えると供給停止リスクが高まりやすくなった


※1…商品や製品が消費者に届くまでの一連の生産・流通プロセス。製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までを指す

 
 

◆防災対策との違い


地球環境の変化に対しては、「防災対策」を講じている企業もあります。しかし、防災対策は災害時に顧客や従業員の生命を守ることや避難場所の確保、備蓄食料の確保などがメインであり、あくまで本社や支社などの場所単位での取り組みです。製品やサービスに主軸を置いた対策でなかったため、事業の継続や速やかな業務の復旧に対応するには限界があります。
 
従来の防災対策に加え、事業の継続や業務の復旧にも重点を置いた対策として、BCPの必要性が高まっています。

 
 

◆BCPを作成するメリットと効果

 

  • 災害や事故などへの対応力がつく
    中小企業の場合、これらのリスクに対して何も対策をしていなければ、事業の縮小や廃業に追い込まれる恐れがあります。BCPを作成することで、有事の際に、事業を可能な限りすぐに復旧し、継続することが可能になり、事業縮小や倒産を防ぐことができます。
  • 企業価値を高められる
    災害や事故などが起きた際に事業継続できるための対策を行なっている会社として評価され、取引先からの信頼度が高まります。

 
 

BCPがカバーできる範囲


BCPには、次のような種類があります。

 

  • 発生事象型BCP:特定の災害や事故などが発生した場合の手続きを規定する
  • 結果事象型BCP:事故や災害の内容に関係なく、事業を支える”重要な活動”が停止した場合の手続きを規定する


現在は、あらゆる不測の事態に対応できるよう「結果事象型BCP」の考え方が主流です。結果事象型BCPを運用する際は、事業が停止した場合の影響度を評価する「事業影響度分析」を行います。

 

  1. “重要な活動”を支える経営資源を特定し、その資源が利用できなくなった場合の影響を評価する
  2. 1の結果、人の依存度が高いと判断された場合は、”人”という資源が利用できなくなる脅威(※2)を特定する。
    ※2…感染症や事故などが該当
  3. ”人”という資源が利用できなくなった場合の手続きを規定する


たとえば、上記を踏まえて策定されたBCPで、コロナ禍に下記の措置を講じた企業があります。

 

  • 重要な活動を担う担当者が感染した場合の、代替要員による事業継続
  • 代替不能な有資格者の感染防止装置(テレワークなど)

 
 

社内の誰がBCPを作成するべきか


企業の規模や特性によって、誰がBCPを作成するかが変わります。
 
基本的には、企業の危機管理室や内部統制室、リスクマネジメント部門などの危機管理を行う部門が行います。
 
一方、下記に当てはまる会社の場合、各部門からメンバーを招集したBCP作成チームやリスクマネジメント委員会などの全社横断的な組織を構成するケースが見受けられます。

 

  • リスクマネジメント部門などの社内の危機管理を担う部門を持たない組織
  • 営業、設計、購買、製造など機能ごとに分類している組織(例:中小製造業)
  • 本社、支店、工場などの所在地が複数の地域に散在している組織


従来は、「地震や火災発生時のBCPは工場部門、ITの問題が発生した場合のBCPは情報システム部門」など、主管部門が複数存在していました。しかし、「事業継続は主管部門だけが実施する活動ではなく、会社全体として取り組む課題」と会社の認識が変わった結果、全社横断的な組織でBCPの策定や推進を行うようになったのです。

 
 

◆BCPを策定する上での注意点


BCPを策定するにあたり、まずは自社の特性を理解することが大切です。下記の情報を整理し、それらの情報に基づきBCPを策定します。

 

  1. 自社の活動のうち、復旧優先活動となる“重要な活動”は何か
  2. “重要な活動”が停止した場合、どのくらいの時間であれば許容できるのか(最大許容停止時間)
  3. 2で定めた事業が停止しても耐えられる時間内で、どのレベルでどのくらいの時間までに復旧し、継続する必要があるのか(目標復旧時間)
  4. “重要な活動”に依存する経営資源は何か。その資源が利用できなくなった場合の影響やその資源を停止させる脅威は何か


「BCPを策定する必要があるから」といきなり着手するのではなく、自社に必要なものは何かを理解した上で、実効性の高いBCPを策定しましょう。

 
 
 

<取材先>
株式会社TWS総合研究所 代表 上席コンサルタント 打川和男さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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