就業規則とは
就業規則とは、賃金や労働時間など労働条件に関すること、職場内の規律などについて事業場ごとに定めたものです。雇用側と従業員の双方が就業規則を守ることによって、トラブルを防止しながら安心して働ける職場環境をつくることができます。労働者数が10人以上の事業場は、就業規則の作成と届出が義務づけられています。
就業規則の記載事項
就業規則に記載する内容は法律によって定められています。必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、定めがある場合に記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。
◆絶対的必要記載事項
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、並びに昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
◆相対的必要記載事項
- 退職手当に関する事項
- 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
- 食費、作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰、制裁に関する事項
- その他全労働者に適用される事項
人事が行う届出手続きの流れ
10人以上の労働者を雇用する事業場は、就業規則を作成・変更した場合、所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません。就業規則の届出をする義務があるにもかかわらず、そもそも作成していなかったり、届出をしていなかったりする場合は労働基準法違反となるので人事担当者は注意が必要です。
◆届出手続きの流れ
就業規則を作成する
→過半数組合または労働者の過半数代表者の意見書を作成する
→就業規則(変更)届を作成する
→意見書と合わせて届出をする
就業規則を作成する際には、労働者の過半数代表者の意見を聞くことが定められています。意見書は代表者の声を聴取した証明となります。就業規則とともに合わせて聴取・作成しましょう。
また、作成した就業規則は労働者への周知が必要です。労働者がいつでも内容を知ることができる状態にしておく必要があります。作業場の見やすい場所に掲示したり、書面を配布したりするなど、周知を徹底してください。
規則は、正社員だけでなく全従業員が対象です。正社員とアルバイトで別の条件にするならば、それぞれの就業規則を作成して適用範囲を明確にしましょう。
人事担当者は就業規則の都度改定を
就業規則は一度作成したら完了するわけではなく、都度改定していく必要があります。人事・労務担当者は作り方を理解した上で、労働法の改正や会社の経営体制を変更するタイミングなどで就業規則をしっかり見直しましょう。
※記事内で取り上げた法令は2020年2月時点のものです。