現役採用人事の本棚 私の3冊(第2回:インフォバーン)


企業によっては採用や人事の業務を1人もしくは少人数で担当していたり、他業務と兼務していたりすることも。スキルアップのヒントを探す読者に向けて、現役の採用人事担当者が業務のスキルや心構えを培うおすすめ本3冊を紹介する、連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」。

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第2回

 
第2回目に登場するのは、株式会社インフォバーングループ本社の田汲 洋(たくみ ひろし)さんです。

 

【プロフィール】
田汲 洋さん
所属:株式会社インフォバーングループ本社
採用人事の業務歴:3年目
担当業務:新卒採用、中途採用
 
広告代理店の営業職、出版社の宣伝部を経て、2014年8月に同社へ入社。デジタルコンテンツの企画・制作を行うコンテンツディレクターを務める。2017年10月より社内公募で新卒採用担当となり、採用設計、母集団形成、面接設定、内定者フォローなどを行う。現在は新卒採用のほか、中途採用の人材要件策定、媒体・エージェント活用、面接設定なども担当し、同社の採用全般において多岐に渡る役割を担う。
 
経営資源のひとつである“人”に深く関われることが、採用担当としての喜び。新卒入社で関わった社員との縁や絆を感じられる瞬間にやりがいを覚える。良いことも悪いことも共有できる関係性を持ち続けたい。

 
 

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

 
 

◆『人事と採用のセオリー』

(曽和利光著/ソシム)
 
人事・採用業務の基本が押さえられる一冊。担当になりたての若手におすすめです。著者は株式会社リクルートで人事採用部門の責任者を務めた後、数社の人事担当を経て人事・採用コンサルタントに転じた人物。経験を踏まえた解説によって、組織運営の原理原則を体系的に学ぶことができます。
 
私は社内公募に手を挙げて新卒採用担当になりました。採用業務に関わり始めた頃は「人事」という視点が著しく欠けていたんですよね。そんなレベルの頃に上司にすすめられて本書を読み、思考や行動が「採用マン」から「人事マン」へと変化しました。
 
「人事担当者は、自社の構成員の可能性を誰よりも深く把握できるはず」というフレーズが特に印象に残っています。
 
業務で困った時や「これってどういうことだったっけ?」と迷った時、腑に落ちない時は、今でもこの本を読み返すようにしています。自分にとって人事の教科書といえる本です。

 
 

◆『プライド』

(金子達仁著/幻冬舎)
 
この世で一番素晴らしいエンタテインメントは、総合格闘技イベントのPRIDEだと私は信じています。本書はPRIDE創成期の当事者・関係者への徹底した取材をもとに、知られざる逸話を綴ったノンフィクションです。
 
後輩に「向いているんじゃないですか」と言われ、軽いノリで立候補して新卒採用の担当になったものの、思っていた以上に業務量や調整・交渉ごとが多く、外部へ発信する機会も頻回。採用担当になった直後は、重大な責任を感じてハードな毎日でした。そんな中、書店で見つけたのがこの本です。
 
自分は、本書に出てくる格闘家の安生洋二さんのように血まみれでもなければ、柔術家 ヒクソン・グレイシー戦の対策として、「寝るな、殴るな、蹴るな、組むな」とコーチに突き放され、為す術がなかったプロレスラー高田延彦ほどの絶望もない。所属企業の枠を超えて世紀の一戦を実現しなければならないという、当時は一介のテレビマンだった榊原信行さんが背負っていたプレッシャーもありません。彼らと比べて、「まだまだ自分はやれるぞ」と奮起しました。「このくらいで困っていてはダメだ」と自分に言い聞かせると、だいぶ気持ちが楽になりましたね。
 
その後、採用業務の真っ盛りに2回入院したり、予想だにしないコロナ禍に見舞われたりと困難はありましたが、本書の登場人物に比べればマシだろうと思い、乗り越えられました。ちなみに、全然運動していなかったけれど、腕立て伏せくらいからやってみようかという気分になったのも、この本のおかげです。

 
 

◆『クローズ 26巻』

(高橋ヒロシ著/秋田書店)
 
1990年から1998年まで月刊少年チャンピオンで連載された不良漫画の王道的作品です。本作に登場する鈴蘭高校27期生“ゼットン”こと花澤三郎のセリフ、「たかが最強程度で最高に勝てるわけがねーだろうが!」が非常に印象的。皆さんご存じの名言ですね。世界中で大人気の冒険漫画『ONE PIECE』の「支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が 海賊王だ!!!」というセリフも同義だと思っています。前述した、最強を目指した最高な人たちの話『プライド』にも共通するのでは。そのぐらいこのセリフは、自己実現の本質を突く概念だと思うのです。
 
新卒採用をしていると、「最強」を目指す学生に多く出会います。でも我々が漫画や小説などから教わってきたのは、「最高>最強」だったはず。学生には“業界ナンバーワン”、“給料がめちゃくちゃいい”、“福利厚生が充実している”など一部分だけを見て就職先を決めるのでなく、「自分にとって最高の環境」に出会ってほしいです。
 
我々が働く会社や所属するチームは、ひょっとすると「最強」ではないかもしれません。でも今置かれているこの状況が「最高」だと思いながら、もしくは「最高」を目指して仕事に取り組めば、何事も楽しめるのではないでしょうか。

 
 

【新たに採用担当になった方へメッセージ】何事も面白がって取り組んでみよう


自分は手を挙げて新卒採用担当になりましたが、中には予期せぬ異動だった人もいるかもしれません。たとえそうだとしても、新しい知識とスキルが身につく好機だと前向きに捉えてほしいですね。採用業務に携わると、会社全体のことを考えられるようになり、視野が広がります。
 
採用業務の特徴は、経営資源のひとつである“人”にがっつり関われること。難しさはありますが、それがやりがいでもあります。採用で関わった社員との縁や絆を感じられる瞬間は最高です。そんな社員たちと、ライブに行ったり、釣りに行ったり、競馬に行ったり、お見舞いに行ったり、お葬式に行ったり、面談をしたり。楽しいこともつらく悲しいことも共有できる関係をこの先も続けていきたいですね。
 
私が以前就いていたコンテンツディレクターという職は、クライアントの情報をターゲットに届ける仕事で、採用職は自社の情報を学生や求職者の方に届けるのが仕事でした。どちらも情報を「届ける」という意味で、それまでやってきたことの延長線上にあると思っています。
 
ちなみに、採用担当になって初めて気付いたこともあります。それは、「常に見られていると意識しなくてはならない」ということ。というのも、新卒採用の説明会に来てくれた学生に言われたんです。「A社の説明会で隣に座っていた学生が“インフォバーングループの採用担当はかなり変わった人だった”って言ってましたよ」と。そう話す学生はマイケル・ジョーダンなみの真っ直ぐな眼差しをこちらに向けていました。
 
自分では変だと思っていませんでしたが、爽やかな印象の他社の担当者に比べて、私はロン毛にヒゲという風貌なので、雰囲気が違って見えたのかもしれません。私の格好や言動が企業の印象として数多くの学生に広まってしまうのだと痛感しましたね。身が引き締まる思いでしたが、私の振る舞いでインフォバーンに興味をもってもらえるなら面白いなと。
 
何事も面白がって取り組めば、困難に直面しても乗り越えらえるのではないでしょうか。

 
 
 

TEXT:合戸奈央
EDITING:Indeed Japan +ノオト

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