20〜30代の若手が活躍する深夜シフト
――深夜営業では、どんな人たちが働いているのですか。
大学生やフリーターを中心に、20〜30代の比較的若い世代が働いてくれています。2019年12月現在で、深夜営業のスタッフ数は全員で8名です。
――世代が近いと仲間意識も生まれやすそうですね。
そうですね。弊社ではチームワークを活かした働き方を推進しているのですが、深夜アルバイトは日勤に比べてより仲間意識が強いかもしれません。昼間は店長が在籍していますが、深夜の時間帯はアルバイトだけで店舗を回してもらっています。
アルバイト同士で気さくにコミュニケーションしやすい環境だからか、深夜シフトの方が長く働いてくれるスタッフが多いと感じています。大学に入学してすぐに働きはじめ、卒業までの4年間在籍してくれた人もいますね。
――主な仕事内容はどんなものになるのでしょうか。
接客対応をはじめ、施設内の清掃やドリンク作りなど、軽作業がほとんどです。
2019年9月から、入店時の受付管理に自動チェックイン機を導入しました。そのため、お客様への対面でお話しするフロント業務が大幅に減りました。接客業が苦手でも安心して働けることが、求人の強みにもなっているかと思います。
当店では深夜シフトは23時~翌8時です。そのうち必ず1時間の休憩が入ります。福利厚生としてフードメニューの社割販売もあるので、お腹が空いても大丈夫です(笑)。
シフト管理は「公平」を大切に、紙だけでなくLINEグループも活用
――アルバイトスタッフのシフトは、毎月どのように管理していますか?
基本的には、勤務の合間に翌月のシフトを紙に書いて提出してもらいます。しかし、学生さんは試験や長期休みによって、しばらく勤務ができない場合もよくありますよね。確実に全スタッフからシフトを回収して翌月の予定を立てられるよう、従来の方法に加えてLINEを活用してシフトを提出してもらうこともあります。
LINEの使い方としては、日勤と深夜勤でそれぞれLINEグループをつくっています。さらに、私と各アルバイトスタッフが個別にLINEでやり取りできるようにしています。
――学生とフリーターではそれぞれ予定も違いますし、いまはみんなスマホを持っているので、アプリなどのwebサービスを効果的に活用するのは有効ですね。シフトを組む際は、何に気をつけていますか?
公平性は一番に考えています。個人的に気に入っているスタッフのシフトを多めに入れる、といったことを絶対にしないのが大事です。
アルバイトスタッフは、扶養内控除の範囲でできるだけ稼ぎたい人、学業に穴を空けたくない人など、それぞれ事情が異なります。皆が1カ月にどれくらい働きたいのか、ヒアリングを重ねた上でシフトを組むよう心がけています。
研修制度で一人前に、人事評価には自己採点も
――アルバイトスタッフの研修制度などは設けていますか?
はい、もちろん研修制度は設けています。はじめての勤務日から4〜5日間程度は研修ですね。研修中は、研修期間専用の給与になります。
メインの仕事である清掃業務だけでも、一人前になるまでには3カ月くらいはかかります。個室のインターネットカフェスペースから、ダーツ・ビリヤード・カラオケ・卓球などの遊具、ドリンクバーまで、覚えていただくことはそれなりにありますので。仕事の全体を理解してもらうには、ある程度の時間が必要ですね。
――昇給など、待遇面の制度は整えていますか?
はい。キャリアアップの制度はしっかりとあります。アルバイトでも勤続年数やスキルによってランク分けをしています。
――具体的に、人事評価や昇給をどう行っているのでしょうか。
評価基準を各項目に分け、仕事への取り組みが望ましいレベルに到達しているどうか、点数化しています。その点数を満たしているかをチェックし、昇給を判断する流れですね。ただし、これは店長が一方的に決めるわけではなく、まずはアルバイト本人に自己採点をしてもらっています。自己採点は自分の仕事を省みる機会にもなりますから。
その後、店長が採点し、互いの採点結果をもとに面談を行います。自分自身と店長の評価にどのような差があるのか、自他ともに向上しているのはどの項目なのかをすり合わせることで、キャリアアップを決定する仕組みです。自己評価と他者評価を組み合わせているので、アルバイトスタッフ自身の納得感が高まります。
深夜ならではのトラブルとその解決方法は
――深夜営業の店舗では、団体客やお酒を飲まれる方も多いので、トラブルに遭遇しそうですが……。
やはり夜の営業では、お酒を飲んでいるお客様が多く、しかも10人や20人の団体でいらっしゃる場合も少なくありません。特に春先は卒業式や会社の人事異動が控えているので、送別会や歓迎会でお店はとても忙しくなります。
当店をご利用いただくお客様は、綺麗に施設を使っていただく方が多いのですが、なかには酔って気が大きくなっていらっしゃる方もいます。さまざまなお客様がひとつの空間で楽しんで過ごしていただけるよう、アルバイトスタッフの対応が必要な場面もあります。
――酔って気が大きくなったお客さんへの対応は、どのように指導しているのでしょうか。
お客様が聞かれたことにハキハキ答え、視線をあわせて話すよう伝えています。これは昼夜に関係ないコミュニケーションスキルではあるのですが、酔客の多い深夜営業の場ではこうした「しっかり話す」技術が特に求められます。
そのため、深夜勤務のアルバイトの面接時には、この点をよくチェックします。こちらの質問に明確にハキハキ答えてくれるか、下を見たりせずに目を見て話してくれているか。採用の際、このあたりは大切なチェックポイントですね。
実務経験が備われば、対応力も自然と身についてきます。とはいえ、話す力を面接時から持ってくれている人は頼もしいですね。
<取材先>
スペースクリエイト自遊空間 NEXT京都新京極店
店長 三村幸一郎さん
TEXT:ヒラヤマヤスコ(おかん)
EDITING:Indeed Japan + ノオト