若者を中心に、朝まで遊びたい人が集う店舗
――「スペースクリエイト自遊空間」は全国各地に店舗があり、娯楽やビジネスなどでいろんな方が利用されているかと思います。まずは、施設とサービスの概要について教えてください。
店舗によっても差がありますが、カラオケやダーツ、ビリヤード、卓球などの遊具で遊ぶことができるスペースと、インターネット&コミックカフェの個室ブース、オープンカフェスタイルでのドリンクバーなどを展開する複合型施設です。たとえばこちら、新京極店は京都市内で一番の繁華街にあり、24時間営業になっています。
――24時間営業の場合、深夜営業と昼営業にはどういった違いといいますか、それぞれの特徴みたいなものはありますか?
もっとも大きな違いはお客様の層ですね。お昼時、とくに平日の日中は比較的静かで常連のお客様が多いです。おひとりでドリンクバーを利用して飲み物を飲みながら漫画を読んだり、熱心にダーツの練習をしたり。夜は学生さんなど、複数人で賑やかに過ごしたい方が多いです。
――特にここスペースクリエイト自遊空間 NEXT京都新京極店はそうかもしれませんね。京都市は大学生がとても多い街ですし。
そうですね。この店舗に赴任する前、私は九州の店舗にいたのですが、お客様の年齢層はここよりも上でした。
エリアによって多少の差は出てくるかもしれませんが、深夜営業の時間帯は、やはり夜通し遊びたいというお客様がメインでしょうか。これは全国の店舗で共通して言えることかもしれません。
深夜スタッフの採用は“協調性”を重視
――深夜営業の時間帯に働いているスタッフは、どんな方が多いのでしょうか?
学生さん、そしてフリーターの方が多いですね。私の経験上、日勤シフトよりも深夜シフトで働く人の方が長く在籍してくれる傾向にあります。
店長が在籍している日勤と違って、深夜はアルバイトスタッフだけで店舗を運営することもあるため、一体感が生まれやすいのかもしれません。年齢も20~30代と若い人ばかりなので、より仲間意識が芽生えやすいというのもあると思います。
――なるほど。採用にあたっては、どういった人材を求めていますか。
協調性のある人だとうれしいですね。深夜はアルバイトだけで営業することがどうしても多くなるので、指示されたことだけをこなすのではなく、お互いの連携、つまりチームワークが必要です。
当店は、2019年9月から自動チェックイン機を導入したおかげで、フロント業務が大幅に減りました。ですので、仕事は清掃がメインになります。接客業が苦手でも安心して応募してもらえるようになりました。
履歴書は、丁寧に書かれているかをチェック
――採用時に基準としている諸条件はありますか?
複数人の応募があるなかで1人を選ぶ時、採用側は長く働いて欲しいという思いは当然ながらあります。ですので、「卒業間際の4回生」か「入学したての1回生」を天秤にかけるとしたら、後者を選びたい気持ちはあります。
しかし、採用基準はそれだけではありません。協調性がありそうか、シフトの融通をどれくらい考慮してくれそうか、じっくりと面接をすることで、お互いに納得のいく形で採用できるのが理想だと考えています。
弊社のアルバイト選考は、学歴を求めているわけではないので、他社と比べて特別に厳しいということはありません。とはいえ、面接で推し量る部分はあります。
――それはどこでしょう。面接時にどこを見ているか、教えてください。
少なくとも私は面接で「この子とは会話が弾んだから採用しよう」という選び方はしません。チェックするのは、第一印象はもちろんですが、履歴書を丁寧に書いているかどうかを注視しながら面接をしています。
――履歴書を丁寧に書いている?
今時は手書きで書類をつくる機会も減りましたし、字を書くことが苦手な人も少なくないでしょう。字が汚くても構いません。大切なのは内容を丁寧に書いているかどうか、です。
採用面接って、自分がどういう人間なのかを相手に伝える必要がありますよね。それを伝えるフォーマットが履歴書です。丁寧に書かれた履歴書からは、人となりも伝わるんじゃないかなと僕は考えています。
質問にはっきりと答えられる・目を見て話せる人かどうか
――履歴書をチェックしながら、面接では具体的に何をチェックしているのでしょうか?
面接では、質問にきちんと答えてくれるか、目を見て話してくれているかをチェックしますね。聞かれたことに答えられる、視線を合わせてコミュニケーションできるというのは、特に深夜営業では求められますので。
――それはどういった理由でしょう。
やはり夜の営業では、お酒を飲んでいるお客様が多いんです。なかには酔って気が大きくなっている方もいます。そういう時こそ、物怖じせず目を合わせてハキハキと会話できる人が場を上手に回せますから。
――確かに、酔って短気になる方もいますし、店員が萎縮してまごついていると余計に増長させることにもなりそうな……。
お客様への対応が粗野になることは絶対にNGですが、不特定多数のお客様に等しく楽しんで過ごしていただけるよう、状況に合わせた接客のスキルはやはり必要になりますね。
若い人が多い街だからこそ、人の繋がりでの採用もある
――求人の出し方について工夫しているところはありますか。
ウェブでの求人は、ダーツやビリヤードなどどんな遊具があって、どういった施設であるかを明記するとともに、業務内容を細かくきちんと伝えるようにしています。
また、チームワークを重視している点ですね。個室のインターネットカフェスペースをはじめ、ダーツやビリヤード、カラオケ、卓球など、様々な遊具が3つのフロアで展開していますので、皆で力を合わせてお店をつくり上げていく必要があります。
あとこれは、ちょっと特殊な話なのですが……数年にわたって働いてくれた学生のアルバイトさんが、卒業するタイミングで後輩を紹介してくれることも結構あるんですよ。
――なるほど、それは学生の多い街ならではの特徴ですね。新たな求人をする手間も省けます。
やはり長く働いてくれた人が、「自分の代わりに」と紹介してくれる人は、事前の信頼度が上がるので安心です。学生が多い街だからこそ、若者のあいだで生まれる人間関係や人の繋がりにお店が助けられるといいますか。そういった採用もありますね。
大人数のお客様を迎えることが多い深夜営業では、それに対応できる人材の採用が不可欠です。アルバイト募集の選考はもちろん大事ですが、採用した深夜勤務のスタッフと良好な関係を築いていくことも同じくらい大切だと感じています。
<取材先>
スペースクリエイト自遊空間 NEXT京都新京極店
店長 三村幸一郎さん
TEXT:ヒラヤマヤスコ(おかん)
EDITING:Indeed Japan + ノオト