採用イベントを実施するメリット
採用イベントが盛んになったのは、企業合同説明会が導入されはじめた1980年代です。企業の魅力を求職者へダイレクトに発信できる採用イベントは、採用プロセスの一つとして広く浸透していきました。
採用イベントを実施するメリットは、やはり多くの求職者と出会う機会があることです。本格的な選考前に様々な人材とコミュニケーションを取れるので、効率的に採用活動を進めることができます。一見、会場や対応する社員の手配でコストがかさむように思えますが、採用プロセスにおける“戦術”として計画的に取り入れていくことで、トータルで見た時の採用コストダウンにつながることもあります。
採用イベントを運営する際のポイント
では、採用イベントを有意義なものにするためには、企画・運営の際に何が求められるのでしょうか。
◆心構え・準備
採用活動は、企業が一方的に求職者を選ぶものではありません。求職者も企業との相性を見極めているので、採用イベント時には企業側も「自社の魅力を発信しよう」という心構えが求められます。当日のプレゼンテーションやオリエンテーションの内容には、「この会社に入社したら、どんな仕事ができるんだろう」と、求職者がポジティブな未来を想像できるような要素を盛り込んでいきましょう。
採用イベントを通じて入社後のイメージを膨らませてもらうためには、プレゼン資料やオリエンテーションの“主役”を求職者に設定することが効果的です。たとえば、企業理念を紹介する際、単純に説明するだけではなく、「企業理念である~~~~を実現すべく、当社では若手社員(求職者に近しい存在)が早くから◎◎業務に携わる機会や、グローバルな経験を積める環境を整えています」などと付け加えると良いでしょう。そうすることで想像しやすくなり、共感性もグッと高められます。
◆当日の進行
採用イベントは、求職者と企業とのマッチングの場でもあります。恋愛関係や友情を築く過程と同様に、採用イベント中は求職者とのコミュニケーションを重視しましょう。自社の情報をできるだけ多く発信しようとするあまり、一方的な説明が中心になってしまうケースもしばしば見受けられます。説明に主軸を置いてしまうと、“企業→求職者”の一方通行となってしまう場合も多いので注意しましょう。
採用イベントのタイムテーブルは、「説明:面談や質疑応答=2:1」のバランスを意識すると良いでしょう。仮に説明会を1時間実施するのであれば、その後に30分程度の面談時間を確保しましょう。
直接的なコミュニケーションを取ることは、相互理解を深める最大の近道です。入社後にミスマッチが生じてしまうと早期退職につながり、結果的に多大なコストと手間が発生してしまいます。採用イベントの段階からお互いに相性を確かめておくことは、ミスマッチを防ぐ効果もあるのです。
◆アフターフォロー
採用イベントは、参加者を集めることがゴールではありません。選考フローに進んでもらうための準備段階であると理解したうえで、イベント後はメールや電話などを使って継続的なアプローチを続けていきましょう。
また、優秀な人材が就職・転職活動に迷いを感じている場合には、サポートする旨を伝えるのも効果的です。相手がどんなところを不安視しているのかを考慮したうえで、気軽に話ができる機会を設けられると良いでしょう。
採用イベントを通じて、優秀な人材を確保しよう
終身雇用制度の限界や若い世代の減少など、今後も様々な要因によって採用活動が困難になると予測されます。限られたコストと時間のなかで求めている人材を確保するためにも、採用イベントはこれまで以上に重視すべきものになるはずです。採用イベントを選考フローのひとつと捉えて、求職者とのコミュニケーションを大事にしながら積極的に取り組んでいきましょう。