会社説明会の資料に必要なこと
会社説明会に参加する求職者が求めているのは、設立年や沿革、従業員数といった、ホームページを見ればわかるような表面的な概要ではありません。わざわざ足を運んだからには、ホームページからは伝わらない会社の実態を知りたいと考えています。
つまり、会社説明会の資料に盛り込むべき要素は生の声。たとえば社風や人間関係など、社内の雰囲気を伝えるには、実際に働いている先輩社員の実体験をベースに、インタビューなどで構成するのがいいでしょう。
資料の構成で意識すべきこと
書類でもスライドでも、自社についての説明資料を作成する際には、大きな視点の話題から順に構成していくと、求職者にとって理解しやすい流れになるのでおすすめです。たとえば次のような順序です。
(1)会社理念
企業として目指すものを最初に掲げることで、インパクトを演出します。
(2)事業内容
上記の理念を実現するために何をやっているのか、事業の内容と企業戦略について説明します。それに合わせて業界内でのポジションや、どのような課題を解決するビジネスモデルなのか、詳細を具体的に伝えましょう。
(3)仕事内容
入社後の職種や仕事内容は、応募者にとって重要な情報です。ここで先輩社員の体験談を実例で見せられれば、自身が働く姿をよりリアルにイメージしてもらえるでしょう。
(4)求める人物像
ここまでの内容を踏まえた上で、自社がどのような人材を必要としているかを具体的に明記します。
押さえておきたいポイント
求職者が求めているのは、「この会社に入社するとどのような生活が待っているのか」という疑似体験です。そこで、次のようなポイントを押さえて資料作成を行えば、応募への意欲を後押しすることができるでしょう。
◆研修制度やキャリアアップに繋がる制度
終身雇用が過去のものになりつつある昨今、求職者が次の仕事に求めているのは自己成長です。その会社で働くことで、どのようなスキルが身につくのか、どのような経験ができるのか、具体的な育成プランを提示しながら解説しましょう。
◆社会への貢献意識
国連総会で採択されたSDGsや、環境・社会・ガバナンスを考慮したESG経営といった言葉が重視されるなか、事業を通してどのような社会貢献を行っているかも、求職者に対する有効な訴求ポイントになります。
◆ストーリー性
過去の実績や事業内容がいくら充実していても、それをただ継ぎ接ぎするだけの資料では、求職者の心には響きません。自社がこれまでどのように成長し、これからどこへ向かおうとしているのか、1つのストーリーとして意識するのは大切なことです。
◆選考フロー
この会社説明会を経て応募に至った場合、どのような選考フローが待っているのか、あらかじめ示しておきましょう。
このほか、待遇面や条件面などでよくある質問については、FAQを用意しておけば、自社のことをよりスムーズに理解してもらえるでしょう。読み手(求職者)の視点から、便利で効率的な資料づくりを心掛けるのも大切なことです。
<取材先>
クレド・ライフクリエイション株式会社 代表 深堀一雄さん
北海道札幌市出身。大学卒業後、百貨店外商部勤務を経て外資系生命保険会社にコンサルタントとして入社し、人材開発に関わる多くのプロジェクトに携わる。2018年にクレド・ライフクリエイション株式会社を設立。「ひと」の潜在能力開発とパフォーマンス(成果につながる行動)発揮を専門領域とする。
TEXT:友清 哲
EDITING:Indeed Japan + ノオト