会社説明会の目的
会社説明会とは、ただ単に自社の概要や仕事内容を伝えるだけの場ではありません。採用をマーケティングになぞらえて考えてみると、その目的がわかりやすいでしょう。
企業が自社の商品を売り出したい場合、ターゲットをしぼり、そこに向けて訴求できる適切な広告手法を検討します。採用もこれと同様で、想定ターゲットは求職者であり、どうすればその層にとって魅力的な商品(会社)と感じてもらえるかを、事前にしっかりと分析する必要があるでしょう。
求職者が知りたいのは、会社のホームページやSNSアカウントを見ればわかるような情報ではありません。わざわざ会社説明会に参加したからには、そこでしか得られない一歩踏み込んだ情報を求めているのです。
伝えるべきポイント
では、具体的に会社説明会で伝えるべき情報とは何か。潜在的な応募者を引きつけるには、次のような点を重視して内容を吟味しましょう。
◆社風や雰囲気
事業内容や売上規模などは資料からも知ることができますが、実際にどのような人たちが働いていて、どのような雰囲気を持った組織であるのかは、直接対面しなければなかなか伝わりません。例えば、会社説明会のブースで社員が皆、生き生きと動いているのを見れば、誰しもその会社に対して悪い印象を持つことはないでしょう。ブースを構成するメンバーとそのチームワークもまた、求職者にとっては重要な情報です。
◆多様性
会社案内などの資料では、活躍している社員を例として紹介する手法がよく見られます。しかし、どのような環境に魅力を感じるのかは人それぞれです。会社説明会の場では、若手や中間管理職、営業職やエンジニアなど、多様な立場の社員がそれぞれどのように働き、どのような部分にやり甲斐を感じているのか、幅をもって伝える工夫が必要です。
◆社内の環境
求職者のバックボーンもまた人それぞれであり、たとえば社会に出て間もない20代独身者と子育て中の30代では、それだけで環境に求めるものが異なります。会社説明会ではその点も踏まえ、参加者のターゲットも考慮に入れたうえで、幅広い年齢層や職種の社員を選定し、働きやすさに関する生の声を伝えるのが効果的でしょう。
◆求める人材
自社の特徴を伝えるだけでなく、どのような人材を求めて採用活動を行なっているかを明確に発信することも、会社説明会の重要な役割です。たとえば、募集しているのが営業職の人材であるなら、エンジニア志望の人材を選考する意味はありません。また、職種だけでなく、性格面なども含めた理想の人材像をあらかじめ伝えることで、入社後のミスマッチを防ぐことができるでしょう。
求職者から選ばれるためには
会社説明会に集まる求職者の多くが、自社にとって潜在的な応募者であると言えます。そこで、できるだけ多くの人に選考過程に進んでもらうためには、自社を志望する理由をどれだけ提供できるかがカギとなります。
会社説明会を単なる選考過程の入口と捉えず、求職者の視点に成り代わり、どのような材料をあたえれば選考に臨みたくなるのか、想像力を膨らませながら自社の特徴と魅力をあらためて考えてみてください。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年携わった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務に携わっている。
TEXT:友清 哲
EDITING:Indeed Japan + ノオト
