現役採用人事の本棚 私の3冊(第3回:freee)


エンジニアや営業など幅広い職種の採用から、社内の人間関係の相談役まで、採用人事の担当者の業務は多岐にわたります。業務に役立つ知識や考え方を体系的に身につけるには、本を読むのも一つの選択肢です。現役で活躍する採用人事の担当者におすすめの3冊を聞く、連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」。第3回目に登場するのは、freee株式会社の採用チームです。

 
 

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採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?


「事業の成長と人事戦略が一致しているのがfreeeの強みだと感じます。そうした人事的な戦略を支えているのが採用チームです。今回はチームのメンバー3名がそれぞれおすすめする本を紹介します」(人事採用本部 部長 栗林由季さん)

 
 

◆『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』

(アンドリュー・S・グローブ著/ベン・ホロウィッツ序文/小林薫訳/日経BP)
おすすめする人: 新卒採用マネージャー 上赤祥貴さん
 
米・インテル社の元CEOアンドリュー・グローブ氏が1983年に書いた、マネジメントをテーマにしたビジネス書です。30年以上、世界中の経営者や管理職に読み継がれてきた「名著」だと言われています。
 
ミドルマネジャーとして為すべきことや、組織で生産性を上げるための取り組みなど、著者の豊富な経験から得た教えが事例とともに体系立てて整理されています。著者は「今日のギャップを認識してそれを埋めるために、懸命に意思決定しようとしている人々があまりにも多い」と指摘し、「しかし、今日のギャップは過去のいつかの時点で計画したときの失敗を表している」と断言します。特に印象に残っているフレーズです。
 
この本を読んだ当時、私は常にリソースが足りずに目の前の業務をこなすだけで精一杯でした。このフレーズに触れたことで、業務を俯瞰的に見て何がボトルネックであるのかを把握し、改善する意識が醸成されました。
 
どのタイミングで読んでもいいのですが、特に目の前の業務に忙殺されている時こそ、この本を読むと「どこにレバレッジをかけ、どのように人を巻き込んでいくべきか」が見えてくると思います。採用ばかりでなく、成果を出すために必要なメソッドを理解できるでしょう。

 
 

◆『作るもの・作る人・作り方から学ぶ 採用・人事担当者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』

(中島佑悟・高濱隆輔・千田和央著/翔泳社)
おすすめする人: エンジニア中途採用担当 吉村美音さん
 
採用に必要な技術用語を解説した「ITエンジニアリングの教科書」といえる本です。初めてエンジニア採用に取り組む担当者が、専門用語の概念を体系的に理解するため、最初に読む本としておすすめです。
 
私がエンジニア採用に関わり始めた当時は、ITエンジニア関連の用語が全く理解できず、わからない単語が出るたびに検索しながら社内のエンジニアから話を聞く毎日でした。インターネット検索の結果やエンジニアからの説明によって、ひとつひとつの単語は知ることができたのですが、どうしても自社が使う技術に知見が偏りがちでした。自社で使っていない技術や用語との関連性が掴みきれなかったんです。
 
本書は複数の採用サービスから出現数の多い用語を選定し、「採用のためのエンジニアリング知識」に絞って紹介しています。この本を読んだことで、言語や開発環境を正しく捉えることができました。
 
以前は選考で応募者に質問しても、回答を自分が理解できないのではと不安でしたが、今は技術的な話が出てきても気軽に質問できるようになりました。エンジニアが何を話しているのか、その前提を推測できるようになると、社内外のエンジニアと話すことがそこまで怖くなくなり、採用業務がスムーズになりますよ。

 
 

◆『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』

(古野俊幸著/日経BP)
おすすめする人: 人事企画 田中知佳さん
 
人間の潜在的な強みを、「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5因子で分析し、その多寡と順番を通して把握する「FFS(Five Factors and Stress)理論」。この理論を、漫画『宇宙兄弟』のキャラクターを用いて紹介する本です。宇宙兄弟のキャラクターを通じて、対人関係のエピソードが多数織り交ぜられているので、自社の状況と重ね合わせながらライトに読み進められます。
 
この本では、自身の強みの生かし方はもちろん、ストレスに対処する方法から、他者の特性を理解し補い合う方法までが網羅されています。
 
FFS理論を活用すると、個々の社員の特性や社員同士の関係性、最適な組み合わせを考えることができます。採用アトラクト(応募者に自社の魅力を感じてもらうこと)や人員配置、社員育成、ストレス対処など、人事領域で幅広く役立ちますよ。
 
また、人事の担当者は、組織内の人間関係について相談を受けることが多々あります。よくよく話を聞くと、「異なる特性の相手についてストレスを感じる」という悩みに行き着きがちです。
 
たとえば、組織を1台の自動車に見立てると、アクセル・ブレーキ・ナビ・ハンドルなど色々なパーツ(社員)が互いに補い合うことで走行できています。とはいえ、アクセルの役割を担う社員からすれば、ブレーキ役の社員は「水を差す存在」と感じることもあるでしょう。
 
それでも、冷静になれば、互いの存在があってこそ自身の強みが生きると理解できるはず。こうした理論をシンプルかつ的確に理解させてくれる1冊だと思います。全人事パーソンにおすすめしたいです。

 
 

【現役の採用担当者に聞く】会社の成長に合わせた採用人事の心構えとは?


人事採用本部部長の栗林さんに、これまでの歩みや、採用人事の心構えについて聞きました。

 
 

◆20人から500人に拡大した自社を支える


私は国内での営業職を経て、イギリスで働いていた時代もあります。人事の仕事に携わったのは帰国後です。大手情報通信会社の子会社で、中途採用を担当していました。
 
より「わくわくできる場所」を求めて、創業2年目だったfreeeに転職。社員数が20名ほどだったfreeeで、人事以外にも様々な業務を担当してきました。おかげさまで社員数も500名近くに増えました。
 
私は部長として、採用戦略や運用、チーム作りにも力を入れています。そのほか、採用ブランディングやマーケティング活動、スカウト・面接の実施、選考設計・KPI管理など、採用に関わる業務全般を統括しています。
 
採用の仕事は、自社の未来を作ることにつながります。企業規模が急速に拡大するなか、妥協のない組織作りと、メンバーの採用に本気で取り組むことにやりがいを感じますね。

 
 

◆採用担当者に大切なのは丁寧に伝えること


社員が20名だった時代は、ただひたすらfreeeを知ってもらいたくて、採用担当者として色々な人に声をかけていました。直接お会いしたりメールでご連絡したりと、アプローチ方法も様々でしたね。
 
規模が大きくなるにつれ、freeeという会社の認知は高まったと思います。しかし実際のfreeeと候補者が思い描くfreeeは必ずしも同じではありません。どんな規模であっても、まずは会社や社員のことを候補者に丁寧に伝えることが大切だと思います。
 
転職は誰にとっても大きな決断のタイミングです。選考結果に関わらず、候補者にとって良い選考体験を提供し続けることが採用担当に求められていると感じます。

 
 
 

<取材先>
freee株式会社 人事採用本部
栗林由季さん 上赤祥貴さん 吉村美音さん 田中知佳さん
 
TEXT:合戸 奈央
EDITING:Indeed Japan +ノオト

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