接待が違法になるケースは? 法律やコンプライアンスに抵触する場合や注意点


2021年2月、官僚と企業の接待問題が発覚し、世間を賑わせました。ビジネスを円滑にするための「接待」という手段は、どのような場合に法律やコンプライアンスに抵触するのでしょうか?
 
そもそも接待とは何なのか? 接待のメリット・デメリット、法的に問題があるケースなどについて、湊総合法律事務所所長の湊信明さんに伺いました。

 
 

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接待とは?


一般的に「接待」とは、「茶や食事などをふるまい、客をもてなすこと」をいいます。
 
コミュニケーションの場をつくり、もてなす相手と良好な関係を築くことが目的です。ビジネスにおいては、新たな仕事の獲得や進行中のビジネスを円滑にするために有効な手段でもあります。
 
つまり、利害がからむのがビジネスにおける接待の特徴といえるでしょう。そのため、お茶や食事のみならず、酒席やゴルフなど、相手の趣味嗜好に合わせたさまざまな接待方法が用いられています。

 
 

接待のメリット・デメリット


接待の最大のメリットは、相手と親密な関係性が築ける点です。プライベートに近いリラックスした状況で同じ時間を共有することで、よりお互いを知ることができます。結果的に円滑なビジネスにつながるのです。
 
しかし、これは諸刃の剣、つまりデメリットと背中合わせであることも理解しておく必要があります。本来のビジネスから離れたところでつくられる関係性は「なあなあ」に陥りやすく、不正の温床になりかねません。
 
また、失態をおかして相手を怒らせるなど接待に失敗すれば、本来のビジネスに影響を与える可能性もあります。仕事を円滑に進めるための手段が、一転して取引中止などを招く恐れもないとはいえません。
 
コンプライアンス面で社内的な問題に発展することも考えられます。接待は就業時間外(終業時間後や休日など)に行われるのがほとんどです。使用者や上司が従業員や部下に接待を命じる場合は、パワハラや労働基準法に抵触しないよう注意しましょう。

 
 

接待がNGなケース


接待相手として国家公務員や地方公務員(JRやJT、国立大学法人、郵便局など「みなし公務員(※)」も含む)を考えている場合は注意が必要です。公務員が利害関係のある企業の接待を受けることは、原則として禁止されています。官僚と企業の接待問題がニュースで大きく取り上げられたのは、公務員と民間企業という関係性に問題があったからです。

 
※みなし公務員とは、公務員ではないが、公共性や公益性の高い職業に従事している民間企業の職員を指す


公務員が利害関係のある企業から、その職務に関して接待を受けた場合、公務員は「収賄罪」(刑法197条)に、接待した企業は「贈賄罪」(刑法198条)に問われる可能性があります。
また、刑法だけでなく「国家公務員倫理規程」にも「禁止行為」(第3条第1項)が明記されており、これに違反した場合も罰則が科せられます。同条第2項には「公務員が受けることができる行為」も明記されているので、利害関係のある公務員の接待には配慮が必要です。
 
贈賄罪に該当する事実が公になれば、企業のイメージダウンや公的機関とのビジネスに影響が出てくるのは必至なので注意してください。

 
 

民間企業同士で接待を行う従業員に対する注意点


民間企業や民間人同士で行う接待は、とくに法律で禁止されてはいません。取引先の企業の役員や担当者に接待を提供するかしないか、逆に取引先からの接待を受けるか受けないかは、各企業の就業規則服務規程、倫理規定、または経営者や個々の従業員の考えによります。
 
社内的な問題として考えられるのは、従業員が接待にからんで企業に損害を与えるケースです。たとえば、賭けマージャンや賭けゴルフ、企業のビジネスに関係のない合コンなどが該当します。内容によっては、従業員が「背任罪」(刑法247条)に問われる可能性があります。
 
前述したように、接待にはデメリットも伴います。企業側が従業員にコンプライアンスに抵触するような過度な接待を強いるのはもちろん、従業員が取引先と個人的な関係にならないよう、管理する側も注意をはらう必要があるでしょう。

 
 

接待は禁止、もしくは明確なルールを設ける


多くの企業がコンプライアンスに細心の注意をはらっている昨今、甚大なレピュテーションリスク(企業に対するマイナスの評価)から企業を守るためには、接待を禁止するほうがリスクを避けることができます。
 
どうしても接待が必要な場合は、就業規則などに明確なルールを定めましょう。たとえば、「1人では接待を受けたり提供したりしない」「会食をするなら夕食ではなく昼食にする」「アルコールは提供しない」などの線引きが有効です。
 
ひと昔前までは、接待による仕事の獲得が当たり前のように行われていましたが、今はそういう時代ではありません。接待に頼ることなく、「この会社に仕事を頼みたい」「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせる、ビジネス本来の判断基準による仕事獲得を目指しましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年5月時点のものです。
 
<取材先>
湊総合法律事務所 所長 湊信明さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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