採用担当者が知っておきたい「労働」に関する法律の基礎知識

採用面接をする担当者

募集から書類選考、面接を経て内定に至るまで、採用活動では様々な法令の遵守が求められます。採用担当者が知っておくべき労働関連法には、どのようなものがあるのでしょうか。採用活動に関係する各種法令、さらに2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」について、ダイジェストでお送りします。

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労働法とは

労働法とは、労働に関する法令の総称です。労働法という名称の法律が存在するわけではなく、「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」を合わせた労働三法が代表的です。これだけではなく、採用担当者が知っておくべき労働法は多岐にわたります。

◆労働法の背景

企業や事業主などの「雇用する側」と、社員や店舗スタッフなどの「雇用される側」が労働契約を結ぶ際、本来であれば両者は対等の立場にあります。どのような労働条件で働くかについても、双方の合意が必要です。ところが、実際の社会では、雇用する側の立場が強くなることが少なくありません。そこで、雇用される側(労働者)を守るためのルールとして制定されたのが労働に関する法律です。
 
ここで記した「雇用される側」とは、正社員だけでなくパート・アルバイトや派遣社員なども含まれます。採用担当者は、それぞれの立場を正しく認識した上で、雇用される側を尊重しなければいけません。自社の立場を守りながら採用目標を達成するべく、業務を進めていきましょう。

 
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採用担当者が知っておくべき主な労働法

求人条件を定めるとき、面接を行うとき、内定を出して労働契約を結ぶときなど、労働法は採用活動のあらゆるシーンに関わります。その内容は多岐にわたるため、今回は代表的な労働法を見ていきましょう。

◆労働基準法

最低限守られるべき労働条件の基準を定めた法律です。主に下記について定められています。

  • 労働条件の明示義務(第15条)
  • 労働賃金支払いの原則(第24条)
  • 労働労働時間の上限(第32条)と、時間外労働をさせる際の申請ルール(第36条)
  • 労働休憩、休日、年次有給休暇のルール(第34条、35条、36条、39条)
  • 労働残業時の割増賃金(第37条)
  • 労働解雇や退職のルール(第19条、20条)
  • 労働就業規則の作成義務(第89条、90条)

また、雇う側がこの法律で定める基準に達しない労働条件を設けた場合、その部分は無効になります(第13条)。

◆労働契約法

労働契約の基本ルールについて定めた法律です。就業形態の多様化により、個々の労働条件を巡るトラブルが増加したことから、2008年に施行されました。労働契約が労使間の合意により成立することを定める(第3条)ほか、就業規則と異なる個別の労働条件の合意形成をどのように行うか、雇う側の安全配慮義務、労働契約の継続および終了時のルールなどを定めています。

◆職業安定法

ハローワークのような公共の職業安定機関や民間の求人サービスにおいて、適切な求人を行うことを目的とした法律です。企業の採用担当者には、募集時の労働条件の明示・変更ルールの理解、虚偽広告を行わないこと、適切な職業紹介事業者を選ぶことなどが求められています。

◆労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(旧雇用対策法)

労働市場政策の基本ルールを定めた法律です。2007年に施行された改正雇用対策法では、募集や採用における合理的理由のない年齢制限が禁止されました。また、パワハラを防止する措置を講ずることや、青少年や外国人に適切な応募機会を設けて雇用管理を行うことなどが定められています。

◆男女雇用機会均等法

雇われる側が性別を理由に差別されることを防ぎ、能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を目的とした法律です。募集・採用時に男女どちらかを優先することや、男女で異なる求人条件を設けること、採用に関する情報提供を男女別で行うこと、合理的な理由なく業務内容や待遇に差をつけることなどを禁止しています。例外として、事実上の男女間格差を是正する目的で女性を有利に扱う措置(ポジティブ・アクション)は認められています(第8条)。

働き方改革関連法とは

2019年4月1日から順次、「働き方改革関連法」が施行されています。国内の生産年齢人口の減少や少子高齢化による人材不足、多様な人材が活躍できる環境整備が求められることなどを背景に、労働基準法や労働契約法、雇用対策法など8つの労働関連法が改正されています。採用人事の担当者が注目したい主なポイントは下記のとおりです。

◆残業時間の上限規制

そもそも企業は、時間外・休日労働に関する協定(36協定)を労働者代表と締結しなければ、従業員に残業をさせることができません。これまでは、残業時間の上限について法律の定めがなかったため、36協定で定めた上限を超えない限り「違法」とは言えず、毎日夜中まで働くような“超”長時間労働を可能にしていました。
 
しかし改正後は、臨時的な特別の事情があった場合も、残業時間は月100時間未満、年720時間以内と定められており、それを超えることはできません。中小企業の事業主については、労働時間の動向、人材確保の状況、取引の実態等を踏まえて助言・指導が行われることになっています。
 
また、月60時間を超える残業をした場合、中小企業の割増賃金率はこれまで25%でしたが、改正後は50%に引き上げられました。

◆同一賃金・同一労働

同一企業内における正社員(無期雇用のフルタイム従業員)と非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の不合理な待遇差をなくすために、規定が整備されます。
 
このほか、年5日の年次有給休暇取得の義務付けやフレックスタイム制度の拡充、高度プロフェッショナル制度の創設、労働者が産業医に相談できる環境の整備などが進められています。

 
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労働法の全体像を知り、コンプライアンスに取り組もう

今回ご紹介した労働法のほか、採用担当者は応募者の個人情報の取り扱い(個人情報保護法)にも気をつける必要があります。また、労働法は時代に合わせて今後も改正される可能性が高いため、常に最新情報をチェックし、アップデートすることが大切です。採用担当者のコンプライアンス(法令遵守)への取り組み姿勢は応募者を安心させ、信頼できる企業というイメージアップにつながっていくでしょう。
 

※記事内で取り上げた法令は2020年2月時点のものです。
 
監修:うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也
TEXT:森夏紀
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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