採用面接の回数は、目的に合わせて設定する
採用面接の目的は、企業と応募者がお互いをよく知った上で「一緒に働きたいかどうか」を確認することです。そもそも、採用活動の場において企業と応募者は対等であり、企業側は「応募者を選ぶ」立場だけではなく「応募者から選ばれる」立場でもあります。
応募者一人に対する採用面接の回数は、企業の考え方次第でしょう。複数回行なうのは「応募者の母集団が大きく、その数を絞り込みたい」「何度も面接することで、常識とマナーを確認したい」といった理由があるはず。明確な目的もなく、ただ漠然と面接を繰り返しても、応募者をいたずらに呼びつけるだけになってしまいます。ですから、面接での評価の観点を明確にした上で、面接の回数を検討しましょう。
採用担当者は各面接の目的を面接官と共有することが大切です。たとえば、一次面接は「社会人としてのマナー」を、二次面接は「スキルの高さ」を判断するために設けたとします。しかし、それを面接官に伝えていなかったら、一次の面接官は「マナーはあるけど、スキルが高くないので評価できない」と考えるかもしれません。そうなれば、一次面接で評価したい人を通過させられず、面接を複数回に分けた意味がなくなります。面接官を務める社内スタッフとの意思統一を心がけ、有意義な選考を運営しましょう。
一次面接では、応募者のプラス面を見出す
中小企業の採用面接を複数回に分けて実施する場合、一次面接でチェックしたいポイントは、応募者のプラス面と将来性です。「良い」と感じられる部分をたくさん見い出しましょう。
そもそも、最初から細かなマイナス面ばかりを見つけて、応募者を次々と落とそうとすれば、自社に合う人材を見落す可能性が高くなります。たとえば、「ネクタイが曲がっているからNG」と落とした人に、今回の採用で重視したい「分析力」があるかもしれません。
そうならないように、応募者の表面的な部分ではなく、言動から伝わる論理性や思考力、人柄などから判断することが大切です。応募者のプラス面を深堀りしつつ、「この人にマーケティングの仕事を任せたら、5年後には成果を上げるかもしれない」など、“将来の姿”を想像しながら評価していきます。
二次面接では、一次面接の評価ポイントを疑う
二次面接では、一次の面接官が評価したポイントを疑うことや、不安に感じたポイントを深堀りしてみましょう。
たとえば、ある応募者は「学歴通りの聡明な印象だった」と一次の面接官から評価されました。その面接官は「一流大学に入学したのは、地頭がいいからだろう」と思い込んで面接に臨んでいた可能性があります。しかし、必ずしもそうとは言い切れません。
意義のある二次面接を行うためには、一次面接と立場の違う社内スタッフが面接を担当し、一次面接で評価されたことについて深堀りしていくのがポイントです。それによって、応募者の本当の姿が見えてくるでしょう。
各面接の目的を明確にし、人材を絞り込む
面接を複数回に分けて行う場合は、各面接の目的を設定し、採用担当者や面接官と共有した上で進行します。一次面接で応募者のプラス面をチェックし、二次面接で深掘りすると、応募者の能力や自社との適合度をより慎重に見極められます。
理想の人材を採用するには、選考で見るべきポイントを実施前にきちんと検討・設定することが大切です。採用担当部署は、面接が進むにつれて採用したい人材を確実に絞り込む仕組みづくりに取り組みましょう。
<取材先>
株式会社シンクエー 代表取締役 井上則男さん
TEXT:流石香織
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