第二新卒の定義
第二新卒とは、一般的に学校を卒業後に一度就職して約3年以内で離職し、転職活動をする若い求職者のことを指します。卒業後、約3年以内という定義ですので、年齢で見ると大卒であれば25歳程度まで、高卒であれば21歳程度までとなります。ただ、企業によって捉え方は異なるので、厳格な基準があるわけではありません。
かつて、第二新卒に当たる求職者は「すぐ会社をやめた人」というマイナスの印象を持たれることもありました。しかし、新卒よりも社会人として少しでも知識や経験を持つ若手を採用することがコストの削減につながると考える企業が増えたことで、第二新卒に価値が見いだされるようになりました。
第二新卒を採用する利点と考慮するべき点
◆第二新卒を採用する利点
・新卒と比べて人材育成のコストが低い
社会人経験がある第二新卒は、すでに前職で新人が経験する最低限のビジネスマナーなどの研修を経験している方が多いです。その分、まったく経験のない新卒と比べて人材育成にかかるコストが低くなります。特に社員教育に手間をかけることができない中小企業は、第二新卒の採用を有効に活用するメリットは大きいでしょう。
・転職の目的が明確で就労意欲が高い
社会人経験がない新卒の場合、「文系なら営業かな」など、なんとなくのイメージで会社を選んでしまいがちです。ただ、実際に仕事をはじめてみると、「イメージと違う」とギャップを感じることもあります。そんな経験を1度している第二新卒の方は、失敗を2度と繰り返さないようにと考える方が多いです。その結果、しっかりと目的を持って転職活動に挑み、就労意欲も高い傾向があります。
・新卒と同等のフレッシュさを持っている
以前の勤め先での就労期間が長くないので、前職での文化に染まりきっておらず、ある程度、新卒と同じようなフレッシュさを持っています。仕事に対する先入観にとらわれていないため、自社の文化や風土になじみやすいと言えるでしょう。
◆第二新卒の採用で考慮するべき点
・スキルが成熟していない
一度、他社で勤めたことがある第二新卒は、大きな枠で捉えれば中途採用ということになります。しかし、経験や技術を期待される一般的な中途採用と比べれば、社会人経験が少なく、テクニカルスキルも成熟していないので、ある程度の指導が必要となります。
・前の職場と比較をされやすい
多少の社会人経験があるので、前職よりも今の環境が自分にとって、より良くなったかを比較することができます。その比較から、会社が自分にとって合っているかどうかをあらためて判断し、ギャップやストレスを感じてしまうこともあります。
・早期離職のリスクがある
一般的には、新卒と比べて早期離職のリスクは低いとされています。しかし、前職を早期に離職して、その後の転職活動で成功したという成功体験があるので、「もう一回、早めに転職してより良い会社へ」と考えて、退職されるリスクもあります。
第二新卒の採用スケジュールと方法
採用のスケジュールは中途採用と同じく通年採用となります。中途採用の市場が活性化するのは、多くの企業の賞与が支払われた後の1月~2月、そして6月~7月の2回です。
また、第二新卒を対象とした求人サイトでは4月入社と10月入社を勧めることが多く、この時期を目指して転職活動を行う第二新卒も一定数いるようです。企業側にとってメリットがあるのは、新卒入社の社員と同じ時期に入社させることです。理由は新卒入社の社員と一緒に様々な初期研修を実施することができるからです。
採用方法は基本的に中途採用の採用媒体を用いて募集を行います。また最近では20代や第二新卒をターゲットにした媒体もあるので、選択肢として検討する必要もあるでしょう。
第二新卒採用の注意点
第二新卒は新卒よりも社会人経験があります。ただ、中途採用と比べるとポータブルスキルやテクニカルスキルが成熟していません。新卒や中途とも異なる第二新卒を採用する際に「何を」「どのレベルまで」求めるかを、しっかりと各部署で話し合う必要があります。
そして新卒や中途とは異なる第二新卒のための合否基準も設定する必要があります。実際に面接を行う際は、「何を」「どのレベルまで」と具体的に設定した基準を、しっかりと面接官に伝え、採用の意図や背景を理解させておく必要もあるでしょう。これによって、採用のミスマッチや入社後の現場とのギャップを防ぐことができます。
また、即戦力ではない第二新卒には入社後に一定のフォローが必要になります。研修やOJTを含め、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」教育していくかを検討して、準備をしておきましょう。
<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
TEXT:大久保太郎
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト