インターンシップを成功に導く プログラムの設計と学生との接し方

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自社に興味を持ち、採用選考に応募する学生を増やすためにインターンシップを実施しても、成果が上がらないと考える企業が少なくありません。学生を受け入れる部署の負担を減らしつつ、採用にもつなげるにはどんなプログラムを実施すればいいのでしょうか。名古屋産業大学准教授の今永典秀さんが解説します。

 
 

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学生のニーズに応えるプログラムを


――インターンシップを実施しても選考に応募する学生が増えない状況は、どんな原因が考えられるでしょうか。
 
実際にエントリーするかは決めていなくても、インターンシップに参加した時点では、学生は少なからず採用を意識し、今後も企業と良好な関係を保ちたいと思っています。そのため、内容に不満があっても終了後のアンケートで「良くなかった」という否定的な感想は企業に伝えづらいものです。
 
しかし、担当部署の社員が忙しすぎて質問ができないとか、延々と雑用や単純作業をするだけというインターンシップでは、学生は不満を感じてしまいます。
 
一方で、きちんと準備して学生を迎え入れても「もっと現場が体験できると期待していたのに、説明を聞いただけで終わってしまった」とか、逆に「まだ応募していないのに、採用選考の一環のように見られて戸惑った」と言われてしまうこともあります。学生のニーズを汲んで実施することが重要です。
 
――具体的にはどのように進めるといいのでしょうか。
 
「営業に同行」「自社ホームページのリニューアルについての提案」など、プログラムの内容を先に決めてしまうことはおすすめしません。
 
最初に自社の採用戦略や人材育成計画をもとに、何のためにインターンシップを行うのか、学生に何を伝えたいのか、という目標を設定します。設定した目標は人事担当だけではなく、全社で共有しましょう。その上で、学生のニーズに合うインターンシップのプログラムを設計します。若手社員や内定者と意見交換しながら作っていくのも有効です。
 
――では、社員のモチベーションが上がるプログラムは具体的にどのようなものがありますか。
 
学生の満足度が高く、社員もやりがいを感じられる手法の一つに「プロジェクト型」のインターンシップがあります。
 
参加する学生を数人のチームに分け、会社の事業に関わる「課題」を与えて解決方法を考え、提案してもらうというものです。商品の宣伝方法や業務の効率化など何でも構いません。学生の人数や実施日程に応じて、アイデア出しだけにするのか、具体的な実践方法まで提案してもらうのかといった課題の量や難易度を調整します。
 
日程の前半はオリエンテーションや職場見学、後半はリサーチや課題のまとめにあてます。学生には日報や週報などを提出してもらい、最終日の報告会でプレゼンをしてもらい、社員からコメントをする、という流れで行います。
 
学生は、企業の理解が深まり、実際に働くイメージもつかめます。受け入れ側の社員も、報告やプレゼンを受けることで学生の成長や事業に対する新たな視点に気づき、インターンシップの意義を感じてもらいやすいプログラムです。

 
 

人事担当はコーディネーター役に


――他にもインターンシップを実施する際に、企業の担当者が気を付けることはありますか。
 
インターンシップを人事部だけで抱え込まず、全社的な取り組みにしていくことが成功の鍵です。
 
現場は忙しいだろうと遠慮して、人事部内だけでインターンシップを完結させようとすると、社内報の取材や企業紹介のパンフレット作りといったプログラムになりがちです。しかし、学生の興味に応じて営業やマーケティング、開発や製造の部門でもインターンシップができた方が、企業で働くイメージがより鮮明になることから、採用につながる可能性は大きくなります。
 
オリエンテーションや報告会は人事が主導しても、体験やプロジェクトの期間はどの現場でも担当してもらいましょう。お互いに協力し合って進めていく体制づくりが必要です。
 
――人事部が社内でコーディネーター的な役割を果たすことが必要なのですね。
 
その通りです。学生に身近に感じてもらえるだろうと、インターンシップの担当者を若手社員だけにしている企業もありますが、ベテラン社員や経営陣が部署を越えて協力を呼びかけていくことも大切です。
 
また、労働に慣れていない学生は些細なことでも不安になりやすいものです。人事担当は学生の「相談窓口」になりましょう。現場の社員にはできない質問や悩みを聞いて励ますといったフォロー役です。学生を適切にサポートすることができれば、企業や社員への好感度が上がり、入社を希望する度合いも高まります。
 
インターンシップの募集からプログラムや報告会の過程、学生の感想などは、ぜひ企業のホームページやブログで発信してください。次回以降の募集や採用にも役立ちます。
 
――効果的なプログラムを実践し、フォローまで行うことで、企業側の効果をより感じられそうです。
 
インターンシップは必ずしもすぐに結果が現われるものではありません。しかし、採用や人材育成について部署間で意見交換して改善につなげ、社員が学生に会社の魅力や仕事を説明することで成長する機会にもなります。企業として学生に伝えたいことは何か、どうしたら伝えられるかを考え、少しずつ改善しながら実施してみてください。

 
 
 

<取材先>
今永典秀さん
名古屋産業大学現代ビジネス学部経営専門職学科准教授、日本インターンシップ学会理事。インターンシップや課題解決型授業のプロデュースを行う傍ら、企業やNPO法人のアドバイザーなども務める。共著に『企業のためのインターンシップ実施マニュアル』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。
 
TEXT:石黒好美
EDITING:Indeed Japan + 笹田理恵 + ノオト

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