新卒採用でミスマッチを防ぐ面接での質問とは

社会人経験がある中途採用とは異なり、新卒採用では面接で見るべきポイント、聞くべき内容が異なります。ミスマッチを防ぎ、実際に会社で活躍できる人材かどうか見極めるには、どうすればよいのでしょうか。組織人事コンサルティングを手がける株式会社新経営サービスの大園羅文さんに伺いました。

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新卒採用の面接と中途採用の面接の違い

新卒採用は「ポテンシャル採用」とも言われ、応募者には将来的な活躍を期待します。毎年新卒採用を行うことで、安定的に若い人材を確保し続け、組織の年齢バランスを適正に保ちたい、人材をストックし続けたいといった目的で行われます。
 
一方、中途採用は即戦力募集が基本です。業界未経験者を募るケースであっても、社会人経験がある分、新卒採用者とは求めるものが異なります。新卒採用には会社側に育てていく姿勢が求められますが、中途採用の場合は必ずしも教育に重きは置かれません。
 
このように採用したい人材像が違うため、採用基準にも違いが生じます。中途採用では、過去の実績や経験などビジネススキルやテクニカルスキルに焦点が置かれますが、新卒採用では人間性や価値観、将来性や本人の素養といった点が基準となります。

新卒の面接で最低限聞くべきこととその理由

面接で聞くべきことは、自社がどういった人材がほしいかによって内容が変わってきます。その中で、共通してぜひ聞いておくべきことは次の3点です。

 

◆学生時代に力を入れたこと=「ガクチカ」

「ガクチカ」とは、ここ数年で学生たちの間で使われ出した言葉で、「学生時代に力を入れたこと」を意味します。その候補者のモチベーションの源泉がどこにあるのか、どれだけ継続してがんばれる人なのかといったことを、学生時代のエピソードから判断します。
 
例えば、候補者から「チームリーダーとして、こういう結果を残した」と語られた場合、チーム制の仕事でリーダーを務めることによりモチベーションが上がるタイプなのかもしれません。エピソードを通して見えてくる素養と会社が求める人材像とを照らし合わせていくのです。

 

◆最も大きな困難と、それを乗り越えた経験

入社後、新卒者は多かれ少なかれ何かしらの壁に当たります。過去のエピソードから働く中で困難を迎えたときにどんな対応をする人材なのか想定します。

 

◆企業選びの軸とその理由

企業選びの軸とその理由を聞くことで、候補者が大切にしている価値観や考え方を確認します。加えて、応募者の強み・弱みといった個性や価値観と、企業選びの軸との間に矛盾が生じていないかをチェックしましょう。

ミスマッチを起こさない質問設定の注意点やポイント

入社後にミスマッチを起こさないためにも、面接時には「求める人材要件を設定すること」「1つのテーマや観点を掘り下げて質問すること」を心がけましょう。

 

◆求める人材要件を設定すること

求める人材要件の設定をする際は、具体性に欠ける設定にならないよう注意が必要です。たとえば、「主体性のある人」と言っても、主体性の解釈は人によって異なります。「わが社が求めたい主体性」を社内ですり合わせた上で、見極められる質問を考えましょう。

 

◆1つのテーマや観点を掘り下げて質問すること

職務経歴書で具体的にスキルを明示できる中途採用者とは異なり、新卒者のスキルはわかりづらいものです。話された内容を鵜呑みにして優秀だと思い込むと、ミスマッチを起こす恐れがあります。
 
特に面接では、よく思われようとして良いことしか言わなかったり、誇張したりしがちなものです。本当は周りの優秀な人間に支えてもらったにも関わらず、つい自分だけの手柄のように話してしまう人もいるでしょう。
 
だからこそ面接では「なぜ」「何を」「いつ」「誰が」「どこで」「どうやって」の問いを重ね、情報を深めるようにしましょう。

面接でやりがちなNG質問

一般的にやりがちなNG質問には下記のようなものがあります。

  • 家族のこと:「ご両親は何をやっているの?」「ご兄弟はいるの?」
  • 思想のこと:「愛読書は?」「尊敬する人物は?」
  • キャリアのこと:「結婚の予定は?」「産後も働き続けたいですか?」

これらの質問は、「学生の素養を見る」という面接の目的において必須情報ではありません。企業側としては軽いアイスブレイクのつもりでこれらの話題を振ったとしても、選考に落ちた学生は、「親のことを話したからかも」と気に病んでしまう恐れもあるのです。
 
そのほかの面接時に配慮すべき事項や法的にNGな質問に関しては、厚生労働省や都道府県労働局から発信されています。面接を行う前に一度、チェックしておきましょう。

学生は回答を準備してきているものと認識し、面接では本音に迫る質問を

中途採用をするときと同じく、まずは自社にどういった人材がほしいのかを見極めた上で、新卒者に合わせた観点・質問で面接に臨みましょう。
 
学生の中には面接対策マニュアルなどを使い、事前に準備してきている人もいます。明るくハキハキ話す学生を魅力的に感じるかもしれませんが、それは練習の賜物という可能性もあるのです。だからこそ、ミスマッチを起こさないためにも、学生の本音を引き出す面接を心がけましょう。

 

<取材先>
株式会社新経営サービス 経営支援部 コンサルタント大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
 
TEXT:卯岡若菜
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ+ ノオト

 
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