整理解雇の要件は 手順や実行時の注意点


解雇にはいくつかの種類がありますが、企業の都合による人員削減を「整理解雇」といいます。そもそも解雇にはどのような種類があるのでしょうか? ほかの解雇と整理解雇との違い、また整理解雇を実行するにあたっての手順や注意すべき点などについて、弁護士法人ALG&Associatesの執行役員弁護士・家永勲さんに伺いました。

 
 

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解雇の種類と内容


雇用主が従業員の同意なく雇用契約を終了することを「解雇」といいます。解雇は、大きく「懲戒解雇」と「普通解雇」の2種類に分けられます。

 
 

◆解雇の種類


・懲戒解雇
懲戒処分による解雇。業務上の地位を利用した犯罪行為や重大なハラスメントなど、労働者が甚大な規律違反を犯した場合に行う
・普通解雇
懲戒解雇以外の解雇。雇用契約違反、業務不履行、能力不足など労働者の責による解雇、疾病などによる労働提供の不十分さを理由とする解雇、企業の都合による解雇などがある。

 
 

整理解雇とは? リストラとの違い


普通解雇の一種である企業都合による解雇を「整理解雇」といいます。経営不振に伴い、事業場の閉鎖や会社の解散などが必要な場合に行う、人員削減を目的とした解雇です。
 
解雇と同義語として認識されがちな言葉に「リストラ(リストラクチャリング)」があります。日本においては、従業員本人の責任による解雇であっても、リストラという言葉を使うことがあります。しかし、リストラとは本来、人員削減を含めた企業の再構築のことです。そのため、事業の効率化や成長部門への集中投資、不採算部門の閉鎖などもリストラに含まれます。つまり、整理解雇はリストラの一つといえます。

 
 

整理解雇をする際の4つの要件


雇用主は従業員の同意がなくても労働契約を終了し、解雇することができますが、企業の勝手な都合で自由に行っていいわけではありません。特に整理解雇は企業都合のため、実行する際には以下の4つの要件を満たす必要があります。

 
 

◆整理解雇の要件

 

  1. 人員削減の必要性(事業を閉じる必要があるか否か)
  2. 解雇回避努力の実施(解雇以外の雇用維持の可能性の検討)
  3. 解雇対象者の人選基準の合理性(人事考課の考慮や年齢、給与の額など)
  4. 手続きの妥当性(整理解雇に至る経緯、解雇回避努力に関する説明、従業員との協議など)


従業員には非がない解雇なので、整理解雇が有効か無効かの判断は、当然厳しくなります。解雇回避の努力をせず、従業員への誠実な説明もなく、突然「経営が苦しい」など曖昧な理由での整理解雇の実行は、無効になる可能性が高いので気をつけましょう。

 
 

整理解雇を実行するまでの手順や手続き


上記の要件を踏まえた上で、整理解雇は慎重に進める必要があります。トラブルを回避するためにも、以下のような手順を踏むことが大切です。

 
 

◆整理解雇の手順

 

  1. 従業員に対して事業閉鎖の可能性および整理解雇の説明をする
  2. 早期退職希望者や異動希望者などを募る
  3. 2を受けた上で、解雇人数や解雇対象者、解雇日など整理解雇の基準を決定する
  4. 解雇対象者への告知と誠実な説明を行い、協議を重ねる
  5. 社内発表後、整理解雇を実行する
  6. 社会保険など、整理解雇後の手続きを行う


「6. 解雇後の手続き」については、「会社都合の退職」として以下を実行します。

 
 

◆整理解雇後の手続き

 

  • 公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出
  • 解雇した従業員に離職票を交付
  • 年金事務所に「厚生年金・健康保険被保険者資格喪失届」を提出
  • 解雇した従業員に年金手帳を返却

 
 

整理解雇を実行する際の注意点


整理解雇における最大の注意点は、4つの要件を満たせるようにしっかりと手順を踏むことです。実行する前に、従業員が納得できる誠実な説明と協議を重ねてください。これを経ずに整理解雇を行った場合、解雇した従業員に不当解雇を訴えられて整理解雇が無効になる可能性があります。
 
企業にとっては苦渋の選択なので、従業員には伝えにくいと考え、再構築のための努力に邁進しギリギリまで結論を延ばしてしまいがちです。もちろん、整理解雇を回避するために最善を尽くすべきではありますが、トラブルを防ぐためには拙速を避けることも大切です。従業員と十分な協議ができる猶予期間を残して決断しましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年7月時点のものです。
 
<取材先>
弁護士 家永 勲さん
東京弁護士会所属、弁護士法人ALG&Associates 執行役員 企業法務事業部長。
多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事し、企業経営に付随して生じる様々な法的な課題の解決にも尽力している。近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」(労働調査会)がある他、労政時報、労務事情等へ多数の論稿がある。
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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