解雇予告手当はパート・アルバイトも必要? その理由と必要な手続きを解説

パート・アルバイトで働く女性のイメージ

会社が労働者を解雇する場合、30日以上前に予告する必要があります。30日前に伝えられなかった場合は、解雇予告手当として30日分の平均賃金を支払わなければなりません。
 
解雇予告手当は正社員だけでなく、パートやアルバイトでも一定条件を満たせば支給します。解雇予告手当の基礎知識とパートやアルバイトに支払う際の条件について、寺島戦略社会保険労務士事務所代表で社会保険労務士の寺島有紀さんに伺いました。

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解雇予告手当とは

会社が労働者を解雇する際の手続きは、労働基準法第20条で定められています。解雇予告は30日以上前に行われる必要があり、会社が30日前に解雇を予告できなかった場合に30日分の平均賃金を支払わなくてはなりません。これを解雇予告手当といいます。

 

◆解雇予告期間とは

解雇予告期間とは、解雇予告の翌日から解雇日までを指します。会社はこの解雇予告期間が丸30日となるように予告しなくてはなりません。たとえば、9月30日が解雇日の場合、8月31日までに予告が必要です。

◆解雇予告期間中の労働について

予告期間中も労働関係は存続しているため、雇用主は労働者に労働を提供する義務があります。その際には、働いた分の賃金と解雇予告手当の両方を支給します。

◆解雇予告手当を支払わなかった際の罰則は?

6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。

 

パートやアルバイトへの支給条件

パートやアルバイトでも基本的には解雇予告手当が支払われます。しかし、以下に該当する場合は対象外です。
 

  • 日雇いの者(1カ月を超えて引き続き雇用される場合は解雇予告の支払い対象となる)
  • 2カ月以内の期間を決めて雇用される者(定められた労働契約の期間を超えて引き続き雇用される場合は解雇予告の支払い対象となる)
  • 季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者(例:海水浴場やスキー場などに勤務)
  • 試用期間中の者(14日を超えて引き続き雇用される場合は解雇予告の支払い対象となる)

 

解雇予告手当の計算方法

解雇予告手当の計算方法は、「平均賃金1日分」×30日です。この平均賃金とは、「算定事由発生日(解雇を予告した日)以前3カ月間の賃金の総額」÷「算定事由発生日3カ月間の総日数」で算出されます。

(例)
給与:30万円
給与体系:月末締め翌月25日払い
解雇日:9月25日
 
平均賃金1日分は、「6月〜8月に支払われた給与の総額」÷「6月1日〜8月末までの総歴日数:92日」。つまり、30万×3÷92日=9782.60円(銭未満端数切捨て)となります。
 
この数字から30日をかけて解雇予告手当の金額を計算すると、9782.60円×30日=293,478円の支給が必要となります。


一方で、支給額の計算の対象外になる賃金や労働日数もあります。

 

◆計算から除外する賃金

  • 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、退職金など)
  • 賞与などの3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与であっても3カ月ごとに支払われる場合は算入する)
  • 労働規約で定められていない現物支給(定期券など)

※労働協約によらない現物給与は違法

 

◆勤務の総日数から除外する日数

  • 業務上負傷、または疾病にかかり療養のために休業した期間
  • 産前産後休業期間
  • 育児・介護休業期間
  • 使用者側の都合により休業した期間
  • 試用期間

 

◆パートやアルバイトの解雇予告手当の計算方法

時給制や日給制で働くパートやアルバイトの場合、解雇予告手当は以下の方法で算出されます。
 
「直近3カ月分の賃金総額」÷「実労働日数」
 
算出金額は、平均賃金の6割を下回ってはならないと定められています。

 

解雇予告に手続きは必要?

解雇予告通知は通常書面で行うケースが多く、通知と同時に解雇予告手当を支払います。手渡しや振り込みなど会社によって支払い方法は異なりますが、後々のトラブルを防ぐためにも手渡しの場合は受領印、振込の場合は内容証明郵便を送るなどして記録を残す必要があります。

 

◆解雇予告までのプロセス

解雇予告をする際に、必要な手続きはほとんどありません。しかし、解雇をめぐって労働者とトラブルに発展する可能性もあり、会社にとってはリスクの高い選択です。いきなり解雇を決める前に、他の方法がないか検討しましょう。また、どうしても解雇せざるを得ない場合は、会社としてどう労働者と関わってきたか、そのプロセスが重要になります。ここでは、解雇に至るまでの一般的な流れを紹介します。

 

(1)面談による改善指導・目標設定

会社から労働者に対して改善してほしい点や目標を伝えて、それを文面化した改善指導書などを発行。双方で達成すべき目標を明確にして教育を行います。目標達成までに複数回の面談を行い、その都度議事録や改善指導書を残しておくことがポイントです。最終手段として解雇を選択する際に、会社がいかに改善指導を行ったかの証拠となります。

 

(2)配置転換・減給・降職など

(1)で改善が見られない場合、配置転換をして適正のある業務を探るか、業務負荷を減らして、それによる減給・降職を検討します。

 

(3)面談による改善指導・目標設定

配置転換や業務負担の軽減を行った後も業務のパフォーマンスが上がらない場合も、引き続き面談の機会を設けて改善指導を続けます。

 

(4)退職勧奨

(1)〜(3)のプロセスを経て、雇用の継続が難しいと判断した場合は、退職勧奨を行うケースもあり得るでしょう。退職勧奨とは、企業側が従業員に対して退職を促すことをいいますが、選択権は労働者側にあります。
 
労働者が退職に合意する場合は、解雇ではなく合意退職となります。ただし、雇用保険上は「会社都合退職」として、労働者の雇用保険の基本手当に有利な取り扱いがなされます。解雇と比べてトラブルなどのリスクは減らせるものの、会社都合退職を選択すると厚生労働省からの助成金の受給に影響を及ぼす可能性があるでしょう。

 

(5)解雇

(1)〜(3)で改善が見られず、(4)の退職勧奨で労働者が合意しなかった場合の最終手段として解雇を行います。
 
パートやアルバイトの場合、解雇予告を選択するケースはあまり多くありません。通常は契約期間満了として退職することが多く、この場合も1カ月前までの通知が必要です。
 
解雇は会社にとっても労働者にとっても大きな選択です。リスクや踏むべきステップを理解した上で、解雇予告に踏み切るのが賢明といえそうです。
 
(参考)
厚生労働省「解雇には30日以上前の予告が必要です」

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-1.pdf
 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2020年9月時点のものです。
 
<取材先>
寺島戦略社会保険労務士事務所代表
社会保険労務士 寺島有紀さん
 
TEXT:畑菜穂子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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