アルバイトスタッフのSNSには要注意! 炎上リスクを回避するためにできること


現場を取り回すアルバイトスタッフたちは、いまや企業にとって必要不可欠な戦力です。しかし、従業員のSNSで何気ない投稿が大きな波紋を呼び、いわゆる炎上してしまった結果、個人のプライバシーが暴露されたり、お店や企業イメージを大きく失墜させたりするケースはこれまで何度も繰り返されてきました。
 
アルバイトスタッフのSNS利用について、雇用主側はどのような教育や指導をすればいいのでしょうか。「バイトテロ」という言葉が定着しつつある中、炎上リスクを避けるための対策について、情報リテラシー教育の専門家である高橋暁子さんにお聞きしました。

 
 

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いまの若い世代は「バイトテロ」を知らない


――アルバイトスタッフが店の商品や設備を使って悪ふざけする様子を撮影し、SNSに投稿する行為が炎上する事件はこれまで数多く発生しています。なぜ繰り返しこういったことが起こってしまうのでしょうか?
 
驚かれるかもしれませんが、意外と若い世代は、世の中でこういった同世代によるトラブルが頻発していることを知らないんです。大学などでSNSの危険な点などをお話した際も「このニュース、すごく世間で騒がれたよね」と具体的な事例を紹介しても、多くの学生はキョトンとすることが多くて。
 
――えっ、知らない、と言いますと?
 
たとえば「バイトテロ」という言葉は、雇用側だけで流行っているワードなんです。つまり、雇用される側はそのワードを知らないことが多い。
 
――あんなにニュースになっているのに?
 
雇用側が情報収集に使うメディアと、雇用される側が情報収集に使うメディアは、世代差もあって大きな乖離があります。たとえば、9~15時台に放送されているバラエティ色の強いテレビの情報番組では、一時期よく「バイトテロ」という言葉が出てきました。でも、大学生や高校生の多くは学校の授業時間ですから、こういう情報に触れる機会がほとんどありません。
 
そもそも一人暮らしの学生は、テレビを持っていないことも多いんです。インターネットが普及し、いつも手元にスマホを持つようになってからというもの、みんな自分の知りたい情報だけを切り取って入手できるようになりました。20代の若者は、社会ニュースに関心を持って自ら触れていかない限り、自分自身でこういった問題に気づけてすらいないのです。
 
実際、学生たちに「アルバイトがこんなことをして大問題になった事件があったんだけど、知っているかな?」と問いかけてみても、知らない子たちの方が圧倒的に多いんです。だから、いくらバラエティ番組などで騒がれても、類似の事件はいくらでも起こります。それって結局、若い人たちが知らないからなんです。

 
 

若者の軽率さは今も昔も変わらない


――こうした問題を起こすのは、現代の若者に特有の現象なのでしょうか?
 
若い世代は社会的な責任を追っていないので、たしかにある種の軽率さはあります。でも、これは今も昔も変わらないでしょう。「最近の若い奴は……」なんて、一括りにしてしまうのはよくありません。
 
――昔だって軽率な行動をしてしまう若者はいましたよね。
 
そうなんです。むしろあらゆるルールが明文化されていなかった分、軽率な言動のケーススタディは昔の方が多かったかもしれません。いわゆる「やりすぎ」という人々は、どの年代にもいました。ただ、不特定多数に知られることがなかったから、広範囲で問題にならなかっただけです。
 
たとえばバイト先で度を越したいたずらをしても、昭和の時代であればそれは現場にいる人々だけで完結していたから、他者に漏れることはありませんでした。しかし現代は、SNSへの投稿によって不特定多数に広まってしまいます。つまり、度を越した軽率さが広く社会に表面化しやすいわけです。

 
 

24時間どころか、10年以上残ることを伝える

 
情報リテラシー教育の専門家である高橋暁子さん
 

――アルバイトスタッフのトラブルに関するニュースを見ていると、日頃からあまりに個人情報をネットに晒す人たちがいて、「そんなの特定されるに決まってる!」と驚いてしまいます。
 
SNSが登場したばかりの時代、多くのユーザーは警戒心をもって匿名性を自分で守っていました。しかし、学生アルバイトたちはSNSが日常のありふれたものになっているため、危機感がとても希薄なんです。
 
――たしかに、いまの30〜40代が共通認識として持っているような「インターネットには怖い面がある」という考えを、同じように10代が持っているかというと違う気がします。なぜでしょうか?
 
2010年前後に思春期を迎えた世代は、物心ついたころからSNSがありました。クラスメイトとLINEグループで会話をする、同級生の近況をInstagramで確認するなど、SNSでのコミュニケーションが日常のものとなっています。そのため、SNSは不特定多数の知らない人々も閲覧できる場所なんだという意識がほとんどなく、深く考えずに自分の個人情報を晒してトラブルにつながることがあるんです。
 
ネット上のコミュニティもリアルなコミュ二ティの延長であると思い込みがちですが、実際はそんなことありませんよね。だから、「友達しか見ないと思っていた」「フォロワーしか見ないと思っていた」画像や動画が投稿者のコミュニティを超えて拡散されてしまう。特に高校生・大学生以降は、そのリスクが跳ね上がります。行動範囲も広がりますし、大学やバイト先の大手チェーン店などに所属することも増えるため、外部からの注目度が上がるのも原因です。
 
――なるほど、高校生・大学生になるとコミュニティや行動範囲も広がりますもんね……。
 
Instagramでふざけた投稿を上げたとしても、今まではごくわずかな友達しか見なかったから問題にならなかったけれど、大人になるにつれ友達のその知人など、コミュニティ以外の人たちが見て拡散してしまう、と。
 
SNSのプロフィールに学校名やゼミ名を書いている学生は多いですが、こんなアカウントはすぐ個人を特定されます。さらに悪意を持って個人を特定する人は、何気なく投稿された画像の背景、友達とのリプライを何年も遡って個人情報の手がかりを探します。それに留まらず、友人のアカウントにも探りを入れてくることもある。
 
――そして安易な気持ちで投稿した内容が、拡散されてしまうわけですね。
 
いまはInstagramのストーリーズが危ないですね。投稿した動画が24時間後に自動で消える仕様だから、悪ふざけの動画も「まあいいか」と上げてしまいがちです。どうせ友達しか見ないだろう、と。でも、Instagramのストーリーズはアップされている間に動画を保存できますから、友達の友達、あるいはさらにその友達を発端として大問題になることもあるんです。
 
――友達の友達に、悪意を持って動画を拡散してやろうと思う人がいないとは言い切れませんよね。
 
そうですよね。ですから雇用側、もっというと家族や教育機関も含めた「大人」がその危険性について、若者たちにきちんと話してあげることが必要なんです。「バイトテロ」という言葉が生まれてもうすぐ10年経ちますが、検索すると10年前に問題になった画像がいまでも引っかかる。若い世代はその危険性を知らない前提で、雇用主がリスクを教える必要はあると思います。

 
 

雇用側もネットリテラシーやセキュリティを高めよう


――とはいえ、雇用側がそもそもSNSの情報発信について疎い場合がありますよね。
 
店舗によっては、SNSの運用が必要な場合があります。やはり多くの人がSNSを通じて繋がりを持つ昨今、雇用主側もSNSの情報発信に関する知見を広めておくことは必要です。使いこなすまではいかなくても、いま若年層のコミュニケーションツールがどういったものであるかを把握しておくことは、リスクヘッジにも繋がります。
 
事前に知り、学び、注意喚起を徹底すれば、炎上自体を回避できます。どのような投稿をすればどんなリスクがあるのか、どのような投稿がいけないのか、アルバイト店員に対してしっかりと伝える機会を持ちましょう。こういった姿勢は、とくに個人経営者にとっては必須ですね。事業が小規模な分、お店や会社になにかあれば、莫大な損失が発生しますから。
 
そして、炎上リスクを回避するには、職場のセキュリティを強化させるのも一つのアイデアです。たとえば、厨房内のスマホ持ち込みを禁止する、等々。私の知人の店には、スマホを入れるためのポケットがない制服を採用しているところもあります。
 
――それは、とても具体的な危機管理ですね。
 
一方、個人のアカウントではなく、アルバイト店員が店舗のSNS運用に携わる場合もありますよね。そのようなケースでは、たとえば店内のPCでのみ投稿するようにして、アプリなどからは投稿しないルールにしましょう。これによって、自分のあずかり知らぬところでアカウントが不適切な発言をして……といったトラブルや、店員による誤爆投稿を防げます。また、運用に携わる店員が退職をしたら、その都度パスワードを変更し、外部アクセスを遮断しておくことも大切です。
 
いずれにしても、いまやSNSを使用しないアルバイトスタッフなんてめったにいませんよね。雇用側も雇用される側もSNSに潜む危険を知り、安全な形で運用していくための情報共有を欠かさないこと。そのためには、大前提としてアルバイト従業員たちと店長・経営陣との信頼関係をきちんと築いておくことに尽きるかなと思います。

 
 
 

<取材先>
高橋暁子さん
ITジャーナリスト。元小学校教員。LINE、Instagram、Twitter等のSNS、10代のSNS利用、情報リテラシー教育が専門。『ソーシャルメディア中毒』『できるゼロからはじめるLINE超入門』等著書、メディア出演多数。

 

TEXT:ヒラヤマヤスコ(おかん)
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 

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