試用期間とは
試用期間とは、長期雇用を見込んだ上で従業員の能力や適正を判断する期間のことです。試用期間というと、「期間中はいつでも解雇できるのでは」と考える人もいるかもしれません。前提として、採用した従業員を解雇することは非常に困難です。合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合にのみ限られています。それは試用期間中の従業員においても同様です。ただし、試用期間はあくまで本採用するかどうかを判断するための期間であるため、本採用した後の期間と比べると解雇が認められやすいといえます。解雇が認められる理由には、勤務不良やスキル不足、健康不良、経歴詐称など、採用時にはわからなかった点が挙げられます。
試用期間中の賃金は、本採用時と同じでなくても問題ありません。試用期間の賃金を低く設定している事業場もあります。ただし、トラブルを避けるためにも応募者にはあらかじめ条件を通知しておくことが重要です。
アルバイトの試用期間を設けるメリット
履歴書や面接だけでは、応募者の能力や適正を見極めるのは難しいものです。そのため試用期間中の働きぶりを知った上で、今後継続的に雇用するかどうかを判断できるのは、雇用側のメリットといえるでしょう。
また、アルバイト雇用における大きな課題の一つとして、仕事のミスマッチによる離職が挙げられます。業務内容はもちろん、勤務体系や職場の雰囲気などが合わず、早期退職に至るケースも少なくありません。試用期間が定められていることで、アルバイト側も合わないと感じたら退職を決断しやすい面があります。試用期間を設ければ、雇用側と従業員がお互いの意思を確認する時間ができるため、結果的にミスマッチによる離職防止につながるでしょう。
アルバイトの適正な試用期間は?
試用期間の長さは、法律で決められているわけではありません。一般的に1カ月~半年、最長でも1年程度とされています。しかし、期間が定められていないからといって、試用期間の長さを明確にしないまま雇い続けることは避けるべきです。採用時には、就業規則や労働契約書などに試用期間を明記するようにしましょう。
アルバイトの試用期間を設定する上での注意点
アルバイト従業員の能力不足による解雇は、試用期間中に多い事柄です。しかし、仕事ができないからといって、簡単に解雇できるわけではありません。繰り返し指導しても一向に改善されなかった場合などに有効だといえます。
解雇する場合は、30日前の解雇予告か解雇予告手当の支払いが必要です。ただし、入社から14日以内であれば解雇予告は不要になります。とはいえ、大きなトラブルがない限りはすぐに判断せず、設定した試用期間が終了するまで指導していくのが適切でしょう。また、試用期間の終了後、これまでの働きぶりを見て本採用を拒否することは労働契約の解約にあたります。つまり、解雇に該当するので、こちらも正当な理由が必要です。
試用期間の役割を理解し、適した人材を採用しよう
アルバイトの試用期間を設けることで、ミスマッチを防ぎ雇用側と従業員の双方にとってメリットを感じられる人材採用が期待できます。しかし、試用期間はあくまでも長期雇用を前提としたものです。簡単に解雇できるわけではないので、採用する際はそれなりに見極めることが重要です。試用期間の役割を理解し、必要であれば上手に活用していきましょう。
※記事内で取り上げた法令は2020年2月時点のものです。