アルバイトを始められる年齢とは
人材不足が問題となっている近年、高校生などの未成年者をアルバイトに雇用することは、貴重な労働力を確保する手段となっています。しかし、未成年者の雇用には制約も多いため、トラブルを避けるためにも雇用に関する知識が必要です。
未成年者をアルバイトとして雇うときにまず注意したいのが、本人の年齢です。労働基準法では、労働者として雇うことができるのは、原則として中学卒業後、満15歳になった後の4月1日以降と定められています。15歳になっていても、中学を卒業する前の中学生以下の児童をアルバイトとして雇うことは違法になります。
まれに、子役や新聞配達員など、15歳未満でも労働が認められているケースがありますが、それは家庭や学校の許可を取っている特別なケースです。
未成年者をアルバイトとして雇用するときに注意すること
◆18歳未満の年少者への制限
アルバイトとして雇用するにあたって、未成年者の中でも、特に18歳未満の年少者は制限が多いので注意が必要です。主に下記の制限があります。
- 労働時間は週40時間、1日8時間を超えないこと
- 22時~翌5時までの深夜時間帯の労働は禁止
- 危険または有害な業務については、制限もしくは禁止
例)
・重量物を取り扱う業務
・有害物または危険物を取り扱う業務
・酒席に侍する業務
・バーやキャバレークラブなどでの業務
など
これらに違反した場合、事業主側は罰則として6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金を課せられます(労働基準法・第119条1)。
年齢を偽って働こうとする年少者に会社側が気づかなくても罰則は発生します。雇用の際は、年齢がわかる証明書を確認するなどしてトラブルを予防しましょう。
◆アルバイト禁止の学校かを確認する
法的にはアルバイトとして雇用できる年齢だったとしても、生徒が通っている学校が校則でアルバイト禁止を掲げている可能性があります。この場合は、アルバイトをしていることが学校に知られて急な退職が決まり、人員が不足するなどのリスクがあります。採用面接時にその旨を確認しておくことが大切です。
◆無理のないように本人と面談をする
未成年者は、心身ともに成長途上にあります。法的な制限には触れていなくても、事業主側は本人が心身に支障の出ないよう、また学業との両立が図れるよう配慮する必要があります。労働時間が長すぎないか、試験前や試験中に勉強に打ち込めるかなど、必要に応じて本人と相談しながら無理のない範囲で業務に当たれるよう、日頃から注意しましょう。
未成年者との契約に保護者の同意が必要なのか
未成年者がアルバイトを始めるにあたって、親権者の同意が必要であるとは法的に定められていません。しかし、次の2つを満たす場合は、本人の意思に関わらず親権者が雇用契約を解除できます。
- 雇用契約が本人に不利であると親権者が判断した場合
- 雇用契約を解除することが未成年者の保護のために必要な場合
本人が親権者に内緒でアルバイトを始めてしまい、後に親権者と本人との間でトラブルになることもあります。雇用する際は、親権者の同意書や身元保証書を提出してもらうことで、揉めごとを未然に避けられる可能性があります。
2022年4月より、成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられますので、親権者が雇用契約を解除できるのも18歳未満の場合となります。
参考
高校生等を使用する事業主の皆さんへ(厚生労働省)
※記事内で取り上げた法令は2021年8月時点のものです。
<取材先>
監修:うたしろFP社労士事務所 社会保険労務士 歌代将也
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト