アルバイトにおける休憩時間の定義
労働基準法では、労働時間・休憩・賃金(給料)などの基準が決められています。法律上、会社と使用従属関係にある者は、正社員・アルバイト・パートなどの雇用形態の違いに関わらず「労働者」という扱いで同じルールが適用されます。つまり事業者は、全ての従業員に規定時間の休憩を与える必要があるのです。
労働基準法第34条において、1日あたりの労働時間における休憩時間は以下のように定められています。
ここで指す「労働時間」とは、企業が定める「所定労働時間」ではなく、労働者が実際に働いた「実労働時間」(休憩を含まない)のことです。所定労働時間が8時間で休憩時間が45分の場合、実労働時間は7時間15分という計算になります。
一斉付与の原則と適用除外される例
事業者が休憩を与えるときは、その場にいる従業員全員に一斉に与えることが原則とされています。しかし、仕事内容によっては一斉に休憩をとることが難しいケースもあるでしょう。そこで適用除外業種が定められています。適用除外された業種は、同時に休憩をとる必要がありません。
◆休憩一斉付与除外業種
- 運輸交通業(旅客または貨物運送など)
- 商業(小売、卸売、理美容業など)
- 金融、広告業(金融・保険、広告など)
- 映画、演劇業(映画製作、映画館、演劇など)
- 通信業(郵便、電気通信など)
- 保健衛生業(病院、社会福祉施設など)
- 接客娯楽業(旅館、飲食店、接客業、娯楽業など)
- 現業以外の官公署の事業(本庁、消防署、警察署など)
また、労使協定を締結すれば、これらの業種に当てはまらなくても例外が認められています。もしも一斉に休憩を与えることが難しい場合は、労使協定を取り交わしましょう。
アルバイトの休憩時間の算出方法・注意点
労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。アルバイト従業員の実労働時間に従って、正確に算出するようにしましょう。
また、休憩時間のタイミングについても決められています。休憩はあくまでも疲労回復を目的にしているので、必ず労働時間の途中で与えなければなりません。業務状況によっては、休憩がとれないケースがあるかもしれませんが、休憩時間を与えない代わりにその分の給与を支払って補填することは認められていません。所定の休憩時間を与えられないほど忙しい職場の場合は、人員を増やすなど別の対策が必要になります。
休憩時間は拘束時間に含まれるため、時給が発生すると考える人もいるかもしれません。しかし、休憩時間はあくまでも自由時間であり、その間は仕事をしていないため、基本的に給料には反映されないのです。
休憩時間のルールをしっかり理解することが肝心
業種によっても多少のルールの差がありますが、どのような職場においても従業員に与えなければいけない休憩時間は決まっています。事業者の判断で休憩時間を減らしたり、またアルバイト従業員が休憩に入るのを断ったりすることもできません。雇用側がきちんと法律を理解していないと、思わぬトラブルが発生する恐れもあります。必ず最低限のルールを覚えておくようにしましょう。
※記事内で取り上げた法令は2024年時点のものです。