採用選考は履歴書不要でもOK? 不要にする際の注意点やメリット・デメリット

人材募集に履歴書は必須というのが一般的な認識ですが、最近では「履歴書不要」という企業も見かけるようになりました。履歴書不要は法的に問題ないのでしょうか?
 
履歴書や職務経歴書を不要にすることによる企業のメリット・デメリット、また不要にした場合に担当者が気をつけたいポイントなどについて、湊総合法律事務所所長の湊信明さんに伺いました。

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履歴書の提出を求める理由

人材を募集する際、大多数の企業が応募者に提出を求める履歴書ですが、これには志望動機、学歴や職務経歴、取得資格、希望する勤務条件(形態や就業場所)といった、基本的事項を確認する目的があります。
 
つまり、応募者がどのような人物かを判断するための材料であり、中小企業では履歴書の送付を一次選考(書類選考)とするところも少なくありません。
 
一般的にはその後、応募者と面談をすることになります。履歴書があると、それを元により細やかな質疑ができ、採用判断の助けになります。

 
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履歴書を不要にした場合の法的問題

応募者に履歴書の提出をさせるのは当たり前、もしくは決まりと捉えている人は多いと思いますが、法的なルールはありません。履歴書を提出してもらうか否かは企業の自由です。最近では募集条件として「履歴書不要」とする企業を目にしますが、何ら問題はありません。
 
ただし、履歴書は採用後に公的な人事データとして有効な書類です。採用に影響する事項に虚偽があった場合、当該従業員の処罰の根拠になります。もし、不当解雇などを訴えられ法的トラブルに発展した場合、履歴書が客観的な証拠となることも覚えておきましょう。

履歴書を不要にするメリット・デメリット

◆メリット

履歴書を不要にすることで、応募のハードルが下がるため、より多くの人材に応募してもらえるというメリットがあります。昨今の中小企業の人手不足の状況からすると、この点は大きいでしょう。
 
また、採用までの時間短縮や履歴書を返却する手間が省けることなどもメリットの一つです。

◆デメリット

一方、応募者にとっては書類提出の手間が省けるため気軽に応募することができます。志望意欲の低い人や求める能力を有していない人物が応募してくる可能性は否めず、どのような人物かわからないままに採用してしまう危険性があります。
 
また、履歴書不要の場合、面接中に連絡先や選考に必要な事項を聞くことになりますが、聞き忘れが生じる可能性もデメリットの一つです。そのせいで、二度手間が生じたり、自社の事業に合ったスキルを持つ逸材を逃してしまったりするかもしれません。

履歴書不要で人材募集する際のポイント

人手不足の中小企業にとって、履歴書が不要であることは応募者数の増加とスピーディーな採用をはかるために有用な手段といえます。後々トラブルに発展するリスクを避けるためにも、以下のような点に気をつけるとよいでしょう。
 
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◆履歴書不要で人材募集をする際のポイント

  • 職種や業種によって向き不向きがある
  • あらかじめ自社オリジナルの簡易的な記入シートを作成しておく
  • 面接で好印象だった人材には選考途中で履歴書を提出してもらう

履歴書を不要にすると、職種によってはプラスになったり、逆にトラブルに発展したりするケースがあります。人材不足に悩まされている飲食・サービス業界などは採用条件の敷居が低くなることで応募数が増え、短期間で人材を確保できるメリットがあります。
 
しかし、例えば技術資格が必要なSEや語学力が求められる貿易事務といった業種・職種には、履歴書不要はマイナスに働く可能性のほうが高いでしょう。どの程度の能力を有しているかを判断する材料がないまま行う面接は時間の無駄になりかねません。
 
また、デメリットとしてあげた面接での必要事項の聞き忘れを防ぐためには、あらかじめ簡易記入シートを作成し、面接時に応募者に書き込んでもらう方法が有効です。履歴書は記入する項目が大枠決まっていますが、自社独自のシートであれば、重要事項をピックアップでき、情報の管理もしやすくなります。
 
一度採用すると、そう簡単に社員を解雇することはできません。リファラル採用(社員の知人を紹介してもらう採用方法)など信頼のおける人物からの紹介でない限り、採用見込みのある応募者には履歴書を提出してもらい、採用の判断材料(応募者に関する情報)をなるべく多く集めることをおすすめします。


※記事内で取り上げた法令は2021年6月時点のものです。
 
<取材先>
湊総合法律事務所 所長 湊信明さん
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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