アルバイト採用の個人情報をどう取り扱うか? 取得・利用から保管、返却まで


アルバイト採用では、履歴書や職務経歴書に求職者の個人情報が含まれているため、取り扱いには注意が必要です。採用選考で配慮すべき点、取り扱いのルール、そして個人情報漏洩による影響について理解しておきましょう。

 
 

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個人情報とはどこまでを指すのか


2005年に施行された個人情報保護法によると、「個人情報」とは下記の2つの要件を満たしていることをいいます。

 

  • 生存する個人に関する情報
  • 氏名、生年月日などの基本情報はもちろん、その他の記述等により特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含みます)


個人情報の具体的な例としては、下記のようなものが挙げられます。

 

  • 氏名
  • 生年月日
  • 携帯番号
  • メールアドレス
  • 顔写真
  • マイナンバー
  • 基礎年金番号
  • 採用試験の結果

etc.
 
ただ、「生年月日」や「携帯電話」は単体では特定の個人まで識別できないので、「個人情報」には当たりません。あくまで、氏名や住所などと紐づけて管理をし、特定の個人が識別できる場合は「個人情報」と捉えられます。
 
しかし、「この前の採用面接にこんな人がいて……」と言った、その人物の知り合いが聞けば分かるような会話などは、個人の名前を出さなくても個人情報の漏洩につながりますので、十分気をつけましょう。
 
他には「abcd123@XXXXXX.jp」といった記号や英数字を羅列したメールアドレスも、氏名や企業と一緒に管理することで「個人情報」になります。なお、「taro_tanaka@ XXXXXX.jp」のように、名前や社名が入っている場合は単体でも「個人情報」に該当しますので、注意しましょう。

 
 

採用において配慮すべき「個人情報」とは?


採用・選考では、先に述べた「個人情報」の他に、「就職差別」につながるおそれのある「個人情報」にも配慮が必要です。都道府県労働局・ハローワークでは、下記の14項目を挙げています。

 
 

◆本人の責任のない事項


(1)本籍・出生地に関すること
(2)家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
(3)住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
(4)生活環境・家族環境などに関すること

 
 

◆本来自由であるべき事項


(5)宗教に関すること
(6)支持政党に関すること
(7)人生観・生活信条などに関すること
(8)尊敬する人物に関すること
(9)思想に関すること
(10)労働組合・学生運動など社会運動に関すること
(11)購読新聞・雑誌・愛読書等に関すること

 
 

◆その他の事項


(12)身辺調査などの実施
(13)全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用
(14)合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
 
ここで大切なのは、「求人職種の職務を遂行するにあたり、必要となる適性や能力」のみを基準に採用・選考することです。もちろん、入社すれば家族・住宅手当などの支給条件を確認するために、「家族構成」「住宅の種類(賃貸・持ち家)」などを聞く場合も出てくるでしょう。しかし、採用面接などでは本人の適性・能力とは関係ない事項ですので、質問項目からは外すようにしましょう。

 
 

個人情報の「取得」「利用」について


履歴書や職務経歴書、インターネットを活用した応募データには、求職者の個人情報が含まれています。その際、個人情報保護法では、企業として守らなければいけない下記の4つの項目を定めています。

 

  1. 個人情報の取得・利用
  2. 個人データの安全管理措置
  3. 個人データの第三者提供
  4. 保有個人データの開示請求


詳しい内容は、個人情報保護委員会の「個人情報保護法ハンドブック」をご参照ください。
 
ここでは、「1.個人情報の取得・利用」の詳しいルールを紹介します。

 
 

◆個人情報の取得・利用


個人情報を取得・利用する際には、下記の5つの項目を押さえる必要があります。
 
(1)利用目的をできる限り具体的に特定する
(2)利用目的を事前に(または個人情報を取得する際に)通知もしくは公表する
(3)個人情報は、目的の範囲内で利用する
(4)既に取得した個人情報を他の目的で利用したい場合は、本人の同意を得る
(5)要配慮個人情報を取得する時も、本人の同意が必要
 
(5)の「要配慮個人情報」は、本人(求職者)に対して不当な差別、偏見などが生じないよう取り扱いに配慮を要する情報です。たとえば、人種、心情、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、障害などが該当します。
 
求人サイトを利用した場合は、サイト上に「利用規約」「個人情報の取り扱い」などがありますが、自社のホームページからの応募や履歴書・職務経歴書の直接発送の場合は、どのように求職者の同意を得ればいいのでしょうか? 多くの企業は、ホームページ上に「採用求職者の個人情報の取り扱いについて」といったページを掲出しています。事前に情報の取得を公開しておくことによって、求職者からの不要な問い合わせを軽減したり、トラブルを回避したりすることができるでしょう。

 
 

履歴書・職務経歴書は返却するべきか?


アルバイト採用において求職者が持参・郵送してきた履歴書や職務経歴書の保管・処理については、不採用の場合でも、法律的には企業側が履歴書を返却する義務はありません。そのため、コストなどを鑑みて企業の責任で破棄し、返却しない場合もあります。
 
ただ、不採用通知と一緒に履歴書や職務経歴書を返却している企業も少なくありませんし、「返却しません」とお断りを入れている企業でも、求職者が返却を希望すれば、対応する場合はあります。
 
履歴書は個人情報が含まれているので、不採用により不要になったものを企業がどのように処理してくれるのかは、求職者としては気になります。やはり、事前に「個人情報の取り扱い」として、ホームページなどにその旨を記載し、公表しておくのが望ましいでしょう。

 
 

違反した企業は社会的信頼を失い、倒産する可能性も


企業が法律に違反して、求職者の個人情報を漏洩すると、処罰の対象になります。
 
個人情報保護法によると、国からの命令に違反した場合は「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」、虚偽の報告をした場合は「30万円以下の罰金」に処せられます。企業の従業員が、不正な利益を図る目的で個人情報データベース等を提供・盗用をした場合は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。これは法人にも適用されます。
 
個人情報の漏洩によって、求職者に何らかの被害が及んだ場合は、被害者に対しての損害賠償責任が発生します。
 
さらに企業にとって一番影響が大きいのは、社会的信頼が失墜してしまうことでしょう。顧客離れ、ネットでの炎上、さらには採用活動にも悪影響を与え、場合によっては倒産にもつながりかねません。
 
個人情報の漏洩は、最初は少しの不注意でも、それが大きな事故へと広がっていきます。企業は個人情報の取り扱いが適正に行われるように、従業員への研修や意識づけの徹底など、社内教育がより重要になっていくでしょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2020年3月時点のものです。
 
<取材先>
志村経営労働事務所 社会保険労務士 小林寛子さん
 
TEXT:西谷忠和
EDITING:Indeed Japan + ノオト

 
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