人事採用を行う際に知っておくべきこと

面接をしている男性のイメージ


企業の人事担当者は、組織マネジメントに関する幅広い知識やスキルを有している必要があります。人事担当者を採用する際のポイントや育成の方法について、大手企業の採用・人事責任者を経験してきた、株式会社人材研究所・代表の曽和利光さんに伺いました。

 
 

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人事担当者の役割とは


企業の経営活動は「事業のマネジメント」「組織のマネジメント」の2種類に大別されます。その中でも組織のマネジメントで必要とされる「採用・育成・配置・評価・報酬・代謝」という6つの機能についての実務を行うことが、人事担当者の主な役割です。また、従業員規模の大きな企業では、各部門で人事の実務を担っている管理者のサポートを行うこともあります。

 
 

人事担当者が持っているべき知識とスキル


人事担当者として業務を行うには、前項で挙げた6つの機能に関する幅広い専門知識を有している必要があります。例えば、採用の集客チャネルや選考方法、適性検査の知識、育成に関する学習心理学や発達心理学などです。
 
中でも最初に身に付けたいのは、「人と組織を見立てる力」です。これは、人や組織の素養や状態を分析できる能力のことを指します。
 
人と組織を見立てる力を伸ばすためには、数多くの人や組織と接する経験が必要不可欠です。頭の中にある「人と組織のデータベース」の情報量が多ければ多いほど、例えばある人物が人材マーケットの中でどのような価値を持った存在であるかといった相対的な判断がしやすくなるからです。逆に人と組織を見てきた数が少ないと、現実とかけ離れたターゲット設定で採用活動を始めたり、人物の価値判断がぶれたりといったことになりかねません。

 
 

人事を採用するときに見極めたい資質


前述の6つのスキルや「人と組織を見立てる力」は、育成によって後からでも身に付けることができるため、採用の時点で十分備わっていなくても問題はありません。採用時に重要なのは、育成によって身に付けることが困難な資質が備わっているかどうかを判断することです。人事担当者として必要不可欠な資質を2つご紹介します。
 
1つ目は「人や組織に対する心理的バイアスへの自己認識」です。誰しも少なからず偏見や固定観念を持っているものですが、それらへの自己認識が低すぎる、もしくはバイアスが極端に強い場合、いくら知識やスキルがあっても人や組織を適切に見て判断することはできません。心理的バイアスがあること自体は悪くありませんが、それを自身でコントロールするための自己認識と柔軟性が人事担当者には必要不可欠です。
 
2つ目は「ルーチンワーク耐性」です。人事担当者のコアスキルである「人と組織を見立てる力」を養うためには、非常に多くの人と接し続けることが欠かせません。人に会うというと変化に富んだ仕事をイメージするかもしれませんが、実際は意外と地道です。そのため、ルーチンワークが苦手な人には長く続けるのは難しいと考えられます。

 
 

人事担当者を育成するには


人事担当者を未経験から育成する場合、まず内定や異動の判断など個人にフォーカスする業務からスタートし、経験値が上がってきたら、制度の策定や要員計画といった全体設計へと幅を広げていく順序が適しています。
 
人や組織を見てきた量がまだ少ない場合は、採用から担当してもらうことをおすすめします。採用は数ある人事業務の中で唯一「採用しなかった人」にも接することができるため、幅広く人を見る力を養えるからです。社内外を問わず、対面した人の性格・価値観・メンタル状況やモチベーションなどを高解像度で見極められるようになれば、いずれ組織マネジメント全般を担う力を身に付けることができるでしょう。

 
 
 

<取材先>
人材研究所 代表取締役社長 曽和 利光さん
京都大学卒業後、リクルートに入社。人事部のゼネラルマネージャーとして培ったスキル・ノウハウと、2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。その後、大手生命保険会社などで一貫して人事領域で活躍し、2011年に株式会社人材研究所設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)などがある。
 
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子+ ノオト

 
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