高度人材を採用するメリット
高度人材を採用するメリットは、企業規模や採用する目的によって異なります。中小企業の場合、採用競争率の高い日本人材よりも、外国人材の方が採用しやすい可能性があります。また、高度人材を採用すると、社内に多様な価値観が生まれやすいものです。新しい企画を求めている企業なら、これまでにないアイデアが飛び出すことも期待できるでしょう。
高度人材のマネジメント術
高度人材を採用できても、その能力を十分に発揮できるかどうかは、企業のマネジメントに左右されるでしょう。高度人材のマネジメントは、仕事に対する「カルチャー(文化)」の違いを理解できるかがポイントです。
カルチャーのギャップを埋めるために、企業は「異文化受容力」を高める必要があります。異文化受容力を高めるには、「3つの意識」と「5つの行動」が重要です。
◆3つの意識
1.受容する必要性の理解
社内で外国人を受け入れる必要性・意識を理解しているかどうか
2.受容する自信
外国人をうまく受け入れる自信があるかどうか
3.受容する熱意
外国人を受け入れることに熱意を持って楽しめるか
これらは、経営陣だけでなく現場の社員にも十分に理解してもらうことが大切です。特に外国人社員を配属する部署には、事前に説明会や研修会を開催し、社員の意識を高めることが効果的です。
続いて、高度人材を受け入れるための行動は、「環境適応支援」と「業務遂行支援」に分けられます。
◆環境適応支援
1.安心・安全な環境構築
心理的または物理的に安心して働ける環境を構築する
2.個人的な関係性づくり
一人の個人としての関心を持ち、公私ともに付き合える関係性をつくる
環境適応支援とは、働く環境を整えるほか、外国人社員だからと遠慮をせず、ランチに誘ったり仕事の相談に乗ったりと、日本人社員と同様に関係性を築くことです。
◆業務遂行支援
1.コミュニケーションの工夫
業務上の指示をする際に、伝わりやすいコミュニケーションの方法を選ぶ
2.改善に向けたフィードバック
業務に関わる情報共有を積極的に行い、相手の改善につながるフィードバックを心がける
3.意見や提案の傾聴
相手の意見に耳を傾け、仕事に関するアイデアや提案を取り入れる
一方、業務遂行支援を行うポイントは、「物差し」「理由」「メリット」を伝えることです。たとえば、外国人社員から「なぜ会議の開始時間前に集合しないといけないか」と聞かれたとしましょう。ここで「決まりだから」とだけ伝えるのではなく、まずは“日本人は5分前行動という意識を持っている”という「物差し」を伝えます。
次に、“日本では遅刻をすることで相手の信頼を損ねてしまう”という「理由」を伝えます。
最後に、“時間を守ることで仕事が効率化されて、自分自身も時間を有効的に使える”という「メリット」を伝えます。外国人社員に日本の企業のカルチャーを理解してもらいやすくなり、結果的に円滑な業務遂行へとつながるのです。
以上の環境適応支援の2つの点と、業務遂行支援の3つを合わせた5つの行動を心がけましょう。
高度人材を採用する「目的」を明確にするのが重要
高度人材の能力を発揮してもらうためには、「なぜ高度人材を採用するのか」「企業にとってどのようなメリットがあるのか」を企業側が明確にしておくことが重要です。目的やメリットを社員に共有することで、その後のマネジメントもスムーズになります。高度人材の採用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
<取材先>
株式会社エイムソウル・シニアマネージャー 小野公督さん
グローバル採用適性検査CQIの広報・マーケティングを統括。CQIは外国人採用に特化した業界初の適性検査として、サービスリリースから1年強で500社が導入。HRテクノロジー大賞・HRアワードをダブル受賞。また、異文化受容力を測り、改善点を明らかにする診断ツールCQI-Ⅱをリリースし、無料セミナーで外国人材の受け入れノウハウ提供している。
TEXT:稲垣恵美
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト