短時間労働者とは
短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満であり、なおかつ以下の1~5すべてに該当する従業員を指します。
(1) 1週間の所定労働時間が20時間(残業時間は含めず)以上である
(2) 1年以上の雇用見込がある
(3) 月の給料が8万8,000円(残業手当、通勤手当、ボーナス等は含めず)以上である
(4) 学生(夜間、通信、定時制を除く)でない
(5) 特定適用事業所、任意特定適用事業所又は国・地方公共団体に属する事業所に勤めている
短時間労働者の保険加入の要件
短時間労働者に対しても、雇用主である事業者は保険に加入させる義務があります。そのひとつが雇用保険です。
雇用保険とは、主に労働者が失業した、あるいは育児や介護などの事情によって賃金が受けられない状態となった場合に、一定の要件を満たしていることを条件に、必要な給付を行なうものです。会社を退職した後に基本手当(通称「失業給付」)を受けることができるのも、この制度のおかげです。この雇用保険は、週の労働時間が20時間以上、かつ31日以上雇用の継続が見込まれる従業員が加入対象となるため、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者も対象に含まれます。
もうひとつは社会保険です。社会保険はフルタイム(週40時間)の正社員のほか、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上のパートタイマーやアルバイトも加入の義務があります。多くの場合、正社員の労働時間は週40時間ですので、週に30時間以上働くパートタイマーやアルバイトも対象内ということになります。
なお、以下の5つの条件すべてに当てはまる場合には、労働時間が正社員の4分の3未満であっても社会保険に加入させなければなりません。
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)賃金が月8万8,000円以上であること
(3)1年以上使用されることが見込まれること
(4)従業員501名以上の勤務先で働いていること
(5)学生でないこと
※定時制や通信制の学生の場合は除く
社会保険の適用拡大後の注意点
社会保険加入の要件は、これまで従業員500人超の大企業のみが対象とされてきましたが、令和4年10月からは100人超の企業、さらに令和6年10月からは50人超の企業に対象範囲が拡大されることが決定しています。
つまり、事業者にとっては自社での社会保険適用対象者が増加することになり、社会保険料コストが増加しますので、留意が必要です。
<取材先>
寺島戦略社会保険労務士事務所代表 社会保険労務士 寺島有紀さん
TEXT:友清 哲
EDITING:Indeed Japan + ノオト