リクルーターの役割
リクルーターとは、採用活動に携わる社員のことを指します。リクルーターの役割は企業によって様々ですが、応募者と直接コンタクトをとって採用活動の支援・調整を行うことや、個別の面談に対応をするケースが一般的です。人事部ではなく、現場の社員から任命されることもあります。
リクルーター制度を成功させるコツ
会社説明会や面接の場だけでなく、日頃からリクルーターと応募者がコミュニケーションをとりながら採用活動を進めていくことを「リクルーター制度」といいます。リクルーター制度をスムーズに運用し、効果を得るためには、次の4つのポイントに留意すべきです。
◆リクルーターを選ぶ基準
社内で評価が高い人材を選ぶことは大前提です。仕事面で充実している様子が伝われば、それは会社全体の魅力として応募者に評価されます。この時、できるだけ応募者と近い年代(2~3年先輩)からリクルーターを選出するとより効果的でしょう。
また、理系には理系の人材を、文系には文系の人材をリクルーターに任命するなど、応募者と近い属性の人選をすることで、会社への共感度を高めることができます。
◆リクルーター研修
リクルーターは、会社を代表して応募者と直接コミュニケーションをとる立場です。任命した社員に対して、事前に研修や説明会を実施し、リクルーターの役割や目的を明確に伝えておくことが大切です。応募者に自社での働き方を具体的にイメージしてもらうために、会社としてどんな情報をどう伝えてほしいのかを、あらかじめレクチャーしておきましょう。
◆求める人材要件の共有
リクルーターは初期選考を担当する立場でもあります。そのため、自社が今どのような人材を求めているのか、リクルーターと共有しておくことも重要です。求める人材要件にどこまで合致しているのか、初期段階でリクルーターが評価できるようになれば、その後の選考過程の効率化にもつながります。
◆予算
リクルーターと応募者が対面する場は様々です。たとえば喫茶店などで面談を行う場合は飲食を伴うことが多いため、あらかじめ予算についても伝えておく必要があるでしょう。コーヒー代程度なのか、それとも食事が出る場を設定してもいいのか、飲食にかけられる予算によって、リクルーターはよりコミュニケーションのとりやすい場をセッティングできるようになります。
リクルーター制度のメリット
初めて顔を合わせる面接官よりも、日頃からコミュニケーションをとっているリクルーターのほうが、応募者はリラックスして会話をしやすいでしょう。応募者の自然な状態を知ることができるのは、リクルーター制度を取り入れるメリットの1つです。
加えて、リクルーターに選ばれることは会社の代表として認められることに等しく、リクルーターを担う社員のモチベーションを向上させることから、人材育成の観点でもメリットがあると言えます。企業側は、リクルーターという任務を通して、社員を育む視点を持っておきましょう。
企業側が注意すべき点
リクルーター制度が効果を発揮するか否かは、リクルーターの能力や人柄、振る舞いに委ねられるところが大きいのは事実です。リクルーターの態度や発言により、期待していた応募者が辞退してしまうようなことも起こり得るでしょう。
若手が担当するケースが多いリクルーターは、時に応募者との距離感が近くなりすぎてしまい、友人と接するような態度が相手に不快感をあたえることがあるので注意が必要です。たとえ雑談に花が咲いたとしても、家庭環境などの個人情報に踏み込むような発言があってはなりません。あくまで採用活動の一貫としてコミュニケーションをとっていること、選考に関して不用意な発言をしないことを徹底してもらうことが大切です。
また、リクルーターを送り出す部署との協力関係がなければ成り立たないのもこの制度の特徴です。リクルーターを担う人材が気兼ねなく手腕を発揮できるよう、社内での調整も大切な準備の1つといえるでしょう。
<取材先>
採用・面接アドバイザー 川村稔さん
人材開発会社にて30年間、SPI型適性検査のコンテンツ開発や職務適性分析(営業、SE職、技術職、地方自治体などの行政職他)、各試験(個人、集団、討議などの面接と筆記、適性検査、論文)の設計を務める。現在は駒澤大学経済学部非常勤講師、採用面接官指導と面接官受託を中心に、新人、中堅職員、管理職、コミュニケーション、対人分析、OJT、マネジメント、人事考課者面談などの研修講師を務め、自らの採用面接官指導経験を伝承するサイトを開設し、後進の指導も行う。株式会社ミナアス・障がい者就労支援事業運営法人顧問。
TEXT:友清 哲
EDITING:Indeed Japan + ノオト