定期採用とは
定期採用は毎年同じ時期に選考を行い、新卒の学生を採用する方法です。決められた採用情報の解禁日にあわせて、企業は新卒採用を開始します。元々は就職活動が学業の妨げとならないよう、経団連(日本経済団体連合)が採用活動の解禁時期や手法などを制限したために主流となりました。
2022年卒の学生の場合、2021年3月から採用情報が解禁され、6月より選考が行われます。
定期採用の主なメリット・デメリット
定期採用は一度に集中して採用活動に取り組むことができます。企業にとってはスケジュールが管理しやすく、まとまった人員を確保できるのが大きなメリットです。同じタイミングで採用するため、入社後の研修を同時に行えるので、教育コストを抑えながら育成計画も立てやすくなります。
しかし、学生からすると、短期間で多くの選考を受けるのは負担になっていました。また、留学生や帰国子女は選考期間が決められた定期採用を受けにくい点も問題でした。昨今は留学生や帰国子女の秋採用も多く見られ、第二新卒や中途採用の需要が高まっています。
そういった背景もあり、定期採用を廃止して通年採用を行う企業も登場しています。通年採用とは、新卒や中途を問わず、年間を通して採用活動を行うことです。定期採用と異なり、企業は必要なタイミングで新しい人材を採用できるようになります。採用期間が限られていないので、企業も余裕を持って選考を進められるのもポイントです。
定期採用から通年採用へ切り替えるべき?
経団連は昨今の需要を踏まえ、2019年には新卒学生の通年採用を拡大する方針を発表しました。そこで、企業は徐々に通年採用に移行しようとする動きを見せています。
しかし、自社の選考を安易に通年採用へと切り替えるのは考えものです。なぜなら、通年採用と定期採用では獲得できる人材のタイプが異なるからです。
たとえば、転職してきた社員が早期離職する原因の一つに、前職とギャップを感じてしまうことが挙げられます。仕事の進め方や社内の雰囲気などが期待していたものと違うため、「この会社とは合わない」と判断してしまうのです。一方、新卒で入った社員の場合、最初に働く企業なので自社のやり方にも適応しやすいでしょう。もちろん、新卒社員を教育するのは時間や労力がかかります。新卒を育成する企業体力がないために、最初から中途に絞って採用を行う場合もあるでしょう。
つまり、採用のやり方は、どのような人材を求めているのかによっても変わります。すでにスキルや能力がある人材の採用を重視したいなら、通年採用を行うメリットは多いです。一方、長く働いてくれる社員を育てたい場合は定期採用を続けた方が良いでしょう。単にどちらを選択すべきかと考えるのではなく、組織全体を見て採用手法を判断しましょう。
<取材先>
アルドーニ株式会社・代表取締役 永見昌彦さん
外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。
TEXT:成瀬瑛理子
EDITING:Indeed Japan +ノオト