アウトソーシングと人材派遣の違いとは? 使い分けを解説

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アウトソーシングと人材派遣、どちらも「業務を委託する」点では共通していますが、それぞれに異なるメリットとデメリットがあります。企業としてはどのようなニーズ別に使い分ける形が適切でしょうか。
 
アウトソーシングと人材派遣の違いやそれぞれの特色について、人材ビジネスマーケティングLLC合同会社代表で経営コンサルタントの野口司さんに伺いました。

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アウトソーシングと人材派遣の違いは?

 

◆アウトソーシング

アウトソーシングは、社内の業務の一部を外部へアウトソース(業務委託)することです。請負者が仕事の完成を約束し、注文者がその仕事を完成したら、支払いを約束する契約形態です。依頼する業務全般の管理や指示、指導はすべてアウトソース先の責任者が行います。

 

◆人材派遣

人材派遣は、人材派遣会社から必要な人材を手配することです。派遣社員への指示や指導は、派遣先企業の従業員が直接行います。アウトソーシングと異なり、法的契約期間の定めがあるのも人材派遣の特色です。

業務委託の採用準備からアフターフォローまで一挙解説。ガイド記事を読む。

アウトソーシングのメリットとデメリット

アウトソーシングを行うことによって、企業には次のようなメリットとデメリットがあります。

 

◆企業側のメリット

  • 外部環境の目まぐるしい変化、景気の後退等で需給が変動する中で雇用リスクを回避できる
  • 人的コストの削減
  • 採用難の中での採用活動の労力、人員の確保、定着の心配から解放される
  • 勤怠管理等の手間を削減できる
  • 教育の手間とコストを削減できる
  • 時給ではなく、契約に基づく成果物に対して支払うため、品質が安定する(請負契約時)

 

◆企業側のデメリット

  • 人材派遣と異なり、現場での指揮命令(作業指示)が出せない

 

人材派遣のメリットとデメリット

人材派遣を導入することによって、企業には次のようなメリットとデメリットがあります。

 

◆企業側のメリット

  • 実際の作業内容や自社の要望に合った人員を確保できる
  • 急な欠員補充や需給変動に合わせて、必要な人員を迅速に確保できる
  • 一時的、時期、季節で業務量が変動する場合に必要な人員を確保できる
  • 現場で指揮命令(作業指示)が出せる
  • 派遣先に指揮命令権があるため、必要な人員を確保するために複数の派遣会社を利用しやすい(スタッフ管理の手間は変わらないため)

 

◆企業側のデメリット

  • 派遣先に指揮命令権があるため、スタッフを管理する手間がかかる
  • コスト面でアウトソーシングに比べ割高になる場合がある
  • 新しいスタッフが入るたびに、現場で教育の手間がかかる

 

アウトソーシングに向く業務

アウトソーシングと人材派遣、自社でどちらを導入すべきかを迷ったときには、それぞれの特色を踏まえて判断してください。一般的にアウトソーシングには次のような業務が向いています。
 

  • 専門的な判断を伴わない定型的業務(製造工程、物流作業、事務、清掃、コールセンター)
  • 専門的なプロジェクト業務(システムの保守や運営などのIT業務)
  • 社内で設備投資、体制等の準備が難しい業務

必ずしも社内でノウハウを蓄積する必要がない業務や、IT業務のように技術がめまぐるしく進化を遂げている業務は、専門的なスキルを有する企業にアウトソーシングするほうが合理的です。また、新たな業務のやり方を始めたり、生産性アップを期待したりする場合も、アウトソーシングのほうが適しているでしょう。

 

人材派遣に向く業務

一方で、次のような業務の場合は人材派遣が向いています。
 

  • 販売・接客業
  • 研究開発
  • マーケティング業務

人材派遣は派遣された労働者を、自社で管理・教育する契約です。そのため、自社社員の指示・管理のもとで行うことが望ましい業務、企業の研究開発や意思決定に深く関わる業務の場合は、アウトソーシングよりも人材派遣が向いています。
 
また、自社の従来のやり方を維持したい、社内で業務を行いたい場合、指揮命令(作業指示)を社内で出したい場合なども同様です。業務内容やミスの発生、品質面などで作業指示の必要がある場合は、まずは派遣契約を選ぶのが適切でしょう。
 
ちなみに次の業種に関しては、労働者派遣法によって人材派遣が禁止されているため注意が必要です。

 

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 病院等における医療関係業務

 

アウトソーシングと人材派遣、契約の注意点

人材派遣の場合、派遣労働者は派遣元企業の就業規則が適用されます。これは労働者が雇用契約を結んでいる相手が、派遣先ではなく派遣元企業であるからです。
 
一方でアウトソーシングの場合、「請負契約」と「準委任契約」の2種類の契約形態があります。

 

◆請負契約

成果物が完成して初めて検収・支払いが行われる契約形態であり、システム開発のように成果物がわかりやすい業務に適用されます。

 

◆準委任契約

一定の事務処理行為を履行することによって成り立つ契約です。コンサルタント業務のように成果が明示されづらい業務は準委任契約が適用されるケースが多いでしょう。
 
2種類の契約方法は、あくまで業務内容によるものであり、どちらかが有利不利であるということはありません。
 
アウトソーシングと人材派遣、いずれかの導入を検討中の企業は、自社の現状と課題を踏まえた上で、どの業務をどのような形で委託すべきかをよく社内で協議しましょう。

 

※記事内で取り上げた法令は2022年11月時点のものです。
 
<取材先>
人材ビジネスマーケティングLLC合同会社 代表 経営コンサルタント
野口司さん
 
商社、日本最大級の経営コンサルティング会社勤務を経て、2017年に人材ビジネスに特化した経営コンサルティング会社として人材ビジネスマーケティングLLC合同会社を設立。同一事業領域、地域1社の経営コンサルティングを中心に、人材派遣、人材紹介、営業、コーディネーター研修等、多岐にわたるコンサルティングを行う。
 
TEXT:阿部花恵
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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