人事部の目的
人事の仕事の目的は、人材を採用し、育成し、動かしていくことによる企業の活性化です。商品を作ったりサービスを提供したりする会社には、必ず人が介在しています。会社の業績は、そこで働く人にかかっているとも言えるでしょう。そのため、人事は経営に深く結びつく部署であり、企業にとって重要な役割を担います。
人事部の主な仕事 採用・教育・人事・労務
人事部の業務は、会社の規模や人事部の人員構成によって異なります。ここでは、人事部の基本業務である「採用」「教育」「人事」「労務」について、それぞれ紹介していきます。
◆人事部の「採用」にまつわる業務
1.人員計画を立てる
まずは会社(全体あるいは個別の事業部)が現在、どのような能力・適性を持った人材を何人くらい必要としているのか、これを明らかにしましょう。人員構成、年齢構成、出向・転籍予定、退職予測などを、中長期的な視点で分析し、必要な人材を確保するための人員計画(要員計画)を立てます。
2.募集活動をする
人員計画にしたがって具体的な採用方法を模索し、実際に応募者を集めます。雇用形態や職種、採用時期に応じて募集媒体を検討したり、選考方法や採用基準を決定したりして、採用活動を成功に導きます。
◆人事部の「教育」にまつわる業務
1.教育計画を立てる
会社の事業計画を達成するために、社員のどんな能力を伸ばすべきかを分析し、教育計画を立てます。社員の勤続年数や役職、また語学研修などの目的に応じて、適切な教育方法を検討します。
2.教育訓練を行う
教育計画に基づき、職場内の日常的な仕事を通じて行うOJT(On the Job Training)や、職場を離れて社外で研修を行うOff-JT(Off The Job Training)、個人が自主的に行う自己啓発(スキルアップを目的とした書籍購入・通信教育の受講など)の支援を行います。
◆人事部の「人事」にまつわる業務
1.人材の配置・異動をする
事業計画や人材育成の観点で組織を見直し、採用した労働者を適材適所に配置します。また、社員の適性や能力を最大限に活用できるよう、配置転換、昇進・昇格、出向・転籍の人事異動も行います。
2.人事考課を行う
公平・公正な人事評価ができるように考課者(評価する人、上司)をサポートし、昇給や昇進、昇格、配置、教育訓練などに反映する人事考課制度を運用します。最適な人事考課が行えるように、考課者訓練を実施することもあります。
◆人事部の「労務」にまつわる業務
1.就業規則、諸規程を整備する
労働者の権利と義務を明らかにし、職場の秩序を維持するルールを作ります。法改正などに応じた改訂・届出手続き、人事ルールのブラッシュアップなどのメンテナンス、さらにこれらの規則・規程の周知と管理も行います。
2.勤怠管理をする
労働者の健康管理と正確な給与計算のために、社員の勤怠管理を行います。日々の労働時間はもちろん、時間外労働や休日労働、遅刻、早退、有給休暇など、タイムシートや勤怠管理システムを用いて各種手続きが適切に行われているかを管理します。
3.各種保険の手続きをする
社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(雇用保険・労災保険)の加入・退会を手続きします。労働者の入社による健康保険証の発行、退社による離職証明書発行ほか、扶養手続き、保険料の徴収と納付手続き、保険事故にあった場合の請求手続きといった業務もあります。
4.安全衛生管理体制を整備する
労働者の安全や健康を維持するため、快適な職場づくりを推進します。労働安全衛生法が定める安全衛生管理体制を整備したり、定期健康診断を手配したりします。
社員と触れ合えることが人事部の魅力
人事部は会社の総合窓口としての業務が多いため、社員と接する機会が多くあります。採用や入社手続きに関わった社員が成長していく姿を見守ることができたり、社員からキャリアや生活などの相談を受けたりする場面もあるでしょう。そうした、社員の活躍に貢献できること、経営と現場の架け橋となることにやりがいを感じられるのが、人事部の魅力の一つではないでしょうか。
人事の仕事は幅が広いため、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。しかしながら、それらの仕事は会社の成長に大きな影響を与えます。人事部に配属された場合は、こうした魅力を感じながら仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。