就職氷河期世代とは 定義と対象年齢
厚生労働省では、バブル崩壊後の1990年代から2000年代に就職活動を行った世代を「就職氷河期世代」と定義しています。1975年から1985年ごろに生まれ、2022年時点で30代後半から40代の人が該当します。
「就職氷河期」という言葉は雑誌「就職ジャーナル」に掲載された造語で、1994年には流行語大賞の審査員特選造語賞にも選ばれました。
就職氷河期世代のキャリアにおける問題点
就職氷河期世代が抱えているキャリア上の問題には、以下の2つが挙げられます。
◆正社員としての経験を持つ人材が少ない
バブル崩壊後、大企業も含めた多くの企業が採用を見送り、雇用が大きく失われました。しかし、正社員雇用が叶わない状況であっても、何らかの形で働く必要があります。時代の流れとともに非正規社員や派遣社員として働く方法が整備されてきたことを受け、ひとまず非正規社員の道を選んだ人が就職氷河期世代には多く存在しているのです。
総務省が2019年に公表した35歳から44歳の就業状況では、正規雇用の仕事がないために不本意ながら非正規雇用の仕事に就いている人が50万人ほど存在すると示されています。
そうした事情がある一方、企業側にとっては正規雇用の経験がない人への印象はあまり良くなく、なかなか非正規雇用から正社員になれないといった悪循環も起こりました。
正社員として働く人自体が少ないことから、従業員数500人以上の企業に勤めている人の割合も、他の年代と比べて極端に少なくなっています。
◆理想のキャリアが積めていない
優秀な人材であっても、雇用の枠がないためにフリーターとして働かざるを得なかったなど、自分の思い描いていたキャリアを歩めなかった人が就職氷河期世代には多く存在しています。
そのため、同じ30代であっても、就職氷河期世代が30代で築いたキャリアと別世代が30代で築いたキャリアを比べると、どうしても知識や経験に見劣りするところが出てきます。就職氷河期世代よりも下の世代が優秀だと感じられることがあるのは無理のないことでもあるのです。
就職氷河期世代の有能人材を採用するために注意すべきことは
就職氷河期世代の人を採用する際には、履歴書、職務経歴書といった一見してわかる材料だけで判断しない姿勢が大切です。
世代を問わず、ネームバリューのある大企業の正社員として働いてきた人が、必ずしも優秀だとは限りません。その逆で、非正規雇用でしか働いたことがなかったとしても、正規雇用の人と遜色のないスキルを身につけている人もいます。特に就職氷河期世代の人には正規雇用のチャンスが極端に少なかったという社会的背景があるため、非正規雇用しか経験がないからといって採用を見送るのは適切な判断とは言い切れないでしょう。
そういった時代背景を踏まえ、職歴に記載されている職種に一貫性が見られない場合や職歴に空白部分がある場合も、即見送るのではなく、面接で話を聞くと良いでしょう。もしかしたら、やむを得ない事情があってのことかもしれません。そのような場合は、履歴書・職務経歴書に書かれた事実だけではなく、求職者のやる気の有無も重視して採用可否を判断しましょう。
就職氷河期世代には、社会情勢的に機会に恵まれなかっただけで、マインドや姿勢、スキルに優れている人が多くいます。しかし、正社員としての経験が浅いがゆえに、即戦力になり得る経験を積めていないケースもあることを理解した上で採用することが大切です。
参考:
厚生労働省「就職氷河期世代の方々への支援について」
https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/about/
総務省統計局「『35~44 歳』世代の就業状況」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/tsushin/pdf/no21.pdf
<取材先>
株式会社新経営サービス 大園羅文さん
現在は、中小企業を対象とした人材採用支援、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。特に、「人材採用力の強化」を得意テーマとしており、『採用活動に時間やコスト・労力を割けない』等の中小企業独自の課題に寄り添った支援を通じて、顧客とともに“勝つべくして勝つ”採用活動を展開。
TEXT:卯岡若菜
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト




