中途採用における給料の決め方
中途採用者の給与は、企業によってさまざまな基準をもとに決められています。主な基準として、以下の3つがあります。
◆企業の人事制度に基づく
最も一般的な給与の決め方として、それぞれの企業の人事制度に基づく方法があります。すでに企業で制度化している等級や評価基準をもとにするため、既存社員の給与額とのバランスを取りやすいのがメリットです。
しかし、少人数の企業やスタートアップ企業などでは、人事制度が確立していないケースもあるでしょう。その場合は、既存社員の勤続年数やスキルなどを参考にします。
◆転職市場を調査する
採用担当者が転職サイトや転職エージェントなどを通して、現在の転職市場を調査する方法もあります。同じ業種や職種における他社の相場を知ることで、自社の金額が適正かを判断できます。
◆厚労省「賃金構造基本統計調査」を参考にする
もうひとつは、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」を参考にする方法があります。「賃金構造基本統計調査」とは、業界や従業員数、学歴・性別ごとに労働者の賃金の実態がまとめられたものです。全国的な給与水準を把握したい方は、参考にしてみてください。
なお、中途採用においては、採用者の経験やスキルを踏まえて給料を決めることも少なくありません。そのため、求人票に記載する段階では「○○~○○万円」など金額に幅を持たせるのが一般的です。その際は、求職者に分かりやすいよう「経験やスキルによって検討」などの但し書きを併せて記載しましょう。
もし募集をかけた後に、応募数が少なかったり、希望するような応募者が来なかったりした場合は、金額の調整も検討しましょう。
給与決定までの主な流れ
中途採用者の給与を決定するまでには、いくつかのステップがあります。給与を決めるまでの主な流れを押さえておきましょう。
◆応募者の現職の年収・希望年収を確認する
まずは給与の判断材料となる、応募時点の年収や希望年収を確認しておきます。履歴書に記載されている場合や、転職エージェントを通して伝えられる場合があります。もちろん、面接中に企業側から確認しても問題ありません。また、選考中に「他社からもオファーを受けている」「現職で○カ月後に昇給予定」などの情報が出てきたら、オファー金額や昇給額を確認しておきましょう。
◆面接時の評価を反映する
面接時の評価も、最終的な給与を決定するためには大切なポイントです。多くの企業では、中途採用で応募者の経験やスキルを重視するはずです。「即戦力となりそうか」「将来的にマネジメントができそうか」などの点も含めて評価しましょう。
また、企業によっては「クレド」と呼ばれる行動指針を設定しているケースもあるでしょう。その場合はクレドと照らし合わせ、求める水準に達しているか判定していく方法もあります。
◆既存社員との給与バランスを見て決定
現職年収や希望年収、選考時の評価など、採用予定者の給与を決める材料がそろったら、いよいよ入社時の給与を決定します。その際、既存社員とのバランスを鑑みることも重要です。優秀な人材だからといって高すぎる給与を設定してしまうと、期待値が上がりすぎて入社後にトラブルが起こる恐れがあります。給与を決定する際は、社内の人事制度が保たれる金額の範囲で設定しましょう。
中途採用者の給料は既存社員とのバランスも大切
中途採用者の給料は、基本的に自社の人事制度に基づいて決めるのが安心です。企業と採用者の両者が納得しやすく、既存社員とのバランスが取れた金額を設定しやすいからです。人事制度がまだ確立していない場合、中途採用を繰り返して試行錯誤する中で早めに整えていくのが望ましいでしょう。
参考:
厚生労働省『賃金構造基本統計調査』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
<取材先>
組織人事コンサルティングSeguros・代表コンサルタント 粟野友樹さん
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
TEXT:稲垣恵美
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 +ノオト