中途採用を始めるときに確認しておきたい9のポイント

握手をする男性

経験豊富で即戦力となる人材を確保するために、中途採用の実施を検討している企業が多く見られるようになってきました。
企業が中途採用をする背景は、メンバーの退職などによる人員補充から事業拡大のための体制強化まで、目的は様々です。加えて対象となる人材も、実務経験者などのスキル重視から、とにかく企業文化との相性重視まで、多様なケースが考えられます。
採用の時期も特に決まっておらず、社内でニーズが発生した時に必要な人材を募集する、という点も中途採用の特徴です。
会社ごとの状況やニーズによって考え方が大きく異なり、明確な手法が確立されていないため、いざ中途採用を始めようと思っても、何から確認するべきか分からないという人事担当の方も多いのではないでしょうか。
今回は、中途採用を始めるにあたり押さえておきたい基本的なポイントをご紹介します。そもそも中途採用とはなにか、中途採用に適したスケジュール、求人票の書き方などを詳しく解説します。

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そもそも「中途採用」とは

「中途採用」についておおよそのイメージはお持ちでも、明確に説明できる方は多くはないのではないでしょうか。中途採用とはどんな人材をどんな目的で採用するものなのか、そしてどんなメリットがあるのか、ビジョンが曖昧なままでは、自社の情報が正しく届かないということにもなりかねません。効果的な活動を進めるためにも「中途採用」が何を指すのかをしっかりと理解することが必要です。

◆中途採用の特徴

中途採用とは、一定の経験や特定のスキルを持った人材を新たに雇用することを指します。欠員補充や事業拡大のための増員など、自社の状況に合わせて必要な要素を見極め求人を行います。
採用する企業にとっては、以下のようなメリットが挙げられます。

①採用時期を自由に設定できる
②人材育成の手間と教育コストを削減
③新しい知見の獲得で会社が成長する


「第二新卒」や「既卒」との違いなどその他の中途採用の特徴や、採用におけるポイントについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
中途採用のメリットは?留意点や新卒採用との違いを再確認

中途採用における「時間」の考え方

◆中途採用をスタートする時期は?

求人を開始するタイミングは、中途採用の成功を左右するポイントのひとつです。自社はもちろん他社の動向や、求職者の動きも確認しながら、最適なスケジュールを考える必要があります。
 
Indeedが2020年に実施した、「求職者の『仕事探しの時期』に関する調査」の内容を踏まえると、おすすめのタイミングと言えるのは1月〜2月頃となります。3月には多くの業界で採用活動がスタートし、求職者も4月に向けて本格的に転職活動に取り組み始めます。これらのようなピークに重なることなく、余裕のあるタイミングで日程を調整できるということなどから、その少し前のタイミングである1月〜2月頃がベターでしょう。
 
業界別の特徴や長期休暇期間を踏まえた求職者の動きなど、企業や求職者の動向についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
求人が多い時期は避けた方がいい? 中途採用を始める最適なスケジュールとは

◆面接日の設定、面接に最適な時間帯は?

働きながら転職活動に取り組む求職者の場合、業務時間後や休日に面接をしたいというニーズは多くあります。とはいえ、業務時間後となると、必然的に面接官の帰宅時間も遅くなり、時間外労働を助長してしまうことにもなりねません。もちろん、求職者の希望と調整しつつにはなりますが、なるべく早い時間帯に設定した方がベターでしょう。
 
近頃はフレックスタイム制を導入している企業も多く、場合によっては午前中や朝の時間帯に面接を設定することもできます。面接時間を決める前に、求職者の就業時間を確認しておくと良いでしょう。
 
また、面接日程時間の連絡が遅れたり、日程調整のためにメールのやりとりを何往復もしたり、といったことはできるだけ避けましょう。求職者からネガティブなイメージを持たれてしまう危険があります。
 
求職者との選考日程のすり合わせにおけるポイントについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
中途採用の面接、最適な時間帯は? 迅速に面接日を設定するためのポイント

◆「採用計画」とは?

採用活動は期間が長くなるほど、また対応する求職者の数が多くなるほど、やるべきことやスケジュール調整など進捗の管理が難しくなります。「採用計画」は、より大規模な採用や、より長期的な採用活動を検討する際に、人材を効果的に採用するためにタスクやスケジュールなどを把握するための手法です。

・採用計画の一般的なフロー5ステップ

採用活動を以下のようなフローをベースに考えると、流れを理解しやすくなります。それぞれのタイミングでどのようなアクションが必要かの計画を立てていきます。

①スケジューリング
②ゴールの設定
③採用に関する情報発信を実行・改善
④選考準備・候補者とのスケジュール調整
⑤内定・入社準備

採用計画を立てるにあたり、タスクやスケジュールなどを可能な限り可視化できるようにすることが重要です。そしてそれを社内で共有できるよう、資料化しておきましょう。資料化にあたり、Web上で配布されているフォーマットやテンプレートを使用することをおすすめします。特に「スケジュールシート」「分析シート」「計画書・予算管理表」などはあると非常に便利です。
 
5ステップの詳細やフォーマットの使い方などについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
採用計画はどう管理すればいい? フォーマットを用いた管理方法を解説

自社に合った人材を獲得するには

即戦力となることを期待して取り組む中途採用募集ですが、たとえ十分な実績やスキルを持ち合わせていたとしも、新たな環境ですぐに実力を発揮できるとは限りません。即戦力となる人材を採用するにはどのような点に注意すれば良いのでしょう。

◆選考時にチェックすべきポイント、企業側でやっておくべきこと

中途人材が、入社後に実力を発揮できるか否かに関しては、コミュニケーション力や、会社の理念への共感、既存社員からのアドバイスなどを素直に受け入れる姿勢の有無なども影響します。
それらの点が求職者にあるか確認するために、選考の際にチェックすべきポイントとして以下の4つが主なものとしてあげられます。

・企業文化の理解をチェックする
・業務の手法に対するこだわりの度合いを確認する
・人間性や性格に注目する
・仕事に対する考え方を確認する


また、魅力的な人材の採用には、企業側にも万全の体制が求められます。採用した人材が力を発揮し、すぐに企業に好ましい影響をもたらすために、あらかじめ以下の5つの点を確認しておくと良いでしょう。

・欲しい人材をきちんと固める
・人材が力を発揮しやすいような環境づくり
・面接官を吟味する
・採用基準を明確にする
・落ち着いた雰囲気をつくって選考する

それぞれのチェックポイントの詳細など、選考の際の準備について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
即戦力となる人材を見抜く中途採用のコツ

◆求人情報の書き方

ターゲットに届く求人情報を作成するためには、「募集を始める前」と「求人情報の作成時」、それぞれのタイミングで確認するべきポイントがあります。

・中途採用の募集を始める前に準備すること

募集をスタートする前に、どれだけ準備をしておくかが、採用活動の結果を大きく左右します。特に中途採用は新卒採用に比べるとスピード感が必要となるので、選考をスムーズに進めるべく、事前に以下の点を確認しておくことをおすすめします。

・採用理由をもとに、求める人物像を明確にする
・採用基準を共有する
・採用人数、期限、コストを決める
・応募者の入社意識を上げる環境を整える

・求人情報に記載が必要な事項

求人情報は、求職者と採用担当の最初の接点となるものです。企業として伝えたい情報も大切ですが、求職者が知りたいと思っている情報がなければ興味を持って見てもらえません。曖昧な表現は避け、求職者が入社後に働く姿を明確にイメージできるような内容を意識しましょう。

・事業内容と将来性
・募集背景と求める人物像
・仕事内容や採用するポジション
・給料や年収、休暇制度、福利厚生
・採用要件と応募資格
・キャリアパス

中途採用の場合、求職者はこれまで勤めてきた企業と比較・検討することでしょう。転職理由となったポイントは解消できそうか、この企業で得られる新たなメリットは何か、など求職者の目線を意識して内容を検討すると良いでしょう。
 
それぞれの項目の詳細や内容例など、求人情報の書き方について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
中途採用の募集をする際に押さえておくべき求人票の書き方

その他の確認するべきポイント

◆採用1人あたりのコスト

これまでの内容でも、「中途採用の募集を始める前に準備すること」で採用にかかるコストを把握していくことを挙げました。
採用市場はここ数年「売り手市場」の傾向が続いていました。即戦力を期待してもなかなか求める人材が見つからない、それ以前に採用コストが上がってしまい思うように採用活動を進めることができない……などの悩みも、採用担当者や経営者から多く聞かれます。
 
採用活動を進めているのに思うように成果が上がらない場合、市場の傾向や求職者の価値観の変化など、周りの環境を誤って捉えているケースが考えられます。自社の状況だけでなく、周囲の環境を見極めるための第一歩として、中途人材1人あたりの採用コストを把握しましょう。
 
主な業界の平均採用コストや、コスト計算のための考え方について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
中途採用のコストを見直すポイント。採用1人あたり、いくらかかる?

◆アルムナイ(元社員・退職者)採用

自社に合った人材の採用にあたり、これまで解説してきたような、“採用市場でまだ見ぬ新たな人材と出会う”という考え方のほか、最近では“自社の元社員を改めて迎い入れる”という考え方も注目されています。
 
そうした、“ある企業を離職した元社員”のことを「アムルナイ」と言い、以前までは、同じ企業に離職した社員が復職することは大変珍しく、基本的には採用的な側面として考えられていませんでした。
 
しかし最近では、元社員は「自社の視点とノウハウを持ちながら、新たな経験やスキルを身に付けた人材」としてポジティブに捉え、また改めて関係性を構築するといったケースも見られるようになっています。
 
アルムナイには以下のようなメリットとデメリットがあるため、検討する際には、自社の状況に合わせ、職場の環境づくりを改めて意識するようにしましょう。

・メリット

→自社をよく理解した人材を獲得できる
→採用や育成にかかるコストを抑えられる
 

・デメリット

→在籍社員の退職へのハードルを下げる可能性がある
→今の環境の職場に再び馴染める保証はない


その他の特徴や、制度の背景などについて、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
アルムナイ(元社員・退職者)採用とは? そのメリットとデメリットまとめ

それぞれのポイントを意識して効率的な中途採用の実現を

中途採用には、即戦力となる人材の確保やノウハウの蓄積、新たな人脈の獲得など、会社の成長につながる多くのメリットが挙げられます。
売り手市場と言われる中、自社に本当に合った人材を採用することは簡単ではありませんが、それぞれのポイントを意識することでそうした人材と出会える確率を上げることは可能です。
今回紹介した内容を参考いただき、効率的な採用活動につなげてください。

 
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