給与計算するために必要なもの
会社は、定められた時給の金額をそのまま従業員に支払うわけではありません。
給与計算をする場合、基本的に以下の計算式を用います。
支給額(基本給・手当など)- 控除額(社会保険料・税金など)=差引支給額
また、正確な支給額と控除額を算出するために必要なものは以下のとおりです。
1. 勤怠情報計算期間内の労働時間を把握し、基本給を確定させるために用います。その際、勤怠がわかるものを用意します。
【必要になるもの】
- 出勤日や労働時間を記した勤怠管理表やタイムカードなど
2. 従業員情報
各種手当の金額や家族の扶養状況を確認したり、振込を行う際に用います。交通費などの手当の有無や金額、社会保険の扶養の有無などを従業員情報から調査します。
【必要になるもの】
- 確認資料(交通費支給の有無や金額、家族の扶養有無、その他手当がないかなど)
- 振込に必要となる口座番号
時給制なのか歩合制なのか、あらかじめ説明しておく
あらかじめアルバイト・パート従業員に対し、どのような計算方法で給与を支給すると定めているのかを説明しておきましょう。主に、時給や日給などから算出する基本給などの「固定的給与」と、残業代などの「非固定的給与」があります。
◆勤怠管理表やタイムカードなどをもとに支給する場合(固定的給与)
時給や日給を定めている場合が該当します。手元に勤怠管理表やタイムカードなどを用意しましょう。勤務日数や時間の合計に加え、残業や休日出勤などの時間外勤務がなかったかを調べます。欠勤・遅刻・早退に関する規定を定めている場合は、控除する額もあわせて計算します。
◆歩合制、インセンティブを支給する場合(非固定的給与)
業績データを手元に用意します。業績データから歩合給を算出するとともに、インセンティブの支給の有無も確認しましょう。
基本給だけではない! 給与に反映すべき諸手当
以下の3つは法律上必ず支給しなくてはいけない手当です。法律に抵触するため、給与計算をする際は該当する勤務がないかを今一度確認するようにしましょう。
- 残業手当
1日8時間、週40時間の法定労働を超えて労働した場合に支給します。割増率は25%以上です。(※) - 深夜勤務手当
22時から翌5時までの間に労働した場合に支給します。割増率は25%以上です。 - 休日出勤手当
法定休日(週1日または4週間に4日以上)に労働した場合に支給します。割増率は35%以上です。
※2023年4月1日から、月60時間を超える時間外労働割増賃金率が50%に引き上げられています。詳しくは厚生労働省のサイトをご参照ください:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
(編集部追記:2024年3月22日)
給与計算は抜け漏れのないように行うことが大前提
アルバイト・パート従業員の給与計算は時給制や日給制が多いため、月給制よりも細かな計算と手当の金額確認などが必要となります。従業員数が少なければ、アウトソーシングせずに会社側で計算して支払うケースが多いでしょう。その場合、必要な情報を確認しながら抜け漏れがないようにするのが重要です。
計算に間違いがないよう気をつけながら、従業員への給与計算を正しく行いましょう。
監修:汐留社会保険労務士法人
TEXT:富山もえり
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト