無断欠勤が続いている従業員、突然連絡が取れなくなった場合はどうすれば?

電話をかける女性社員のイメージ


従業員の無断欠勤が突然続いて、しかも連絡が取れなくなってしまったら、企業としてはどのように対応するのが正しいのでしょうか。社会保険労務士法人アウルスの社会保険労務士である濱澤智子さんに、従業員の安全を守り、トラブルを避けるための方法を伺いました。

 
 

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無断欠勤している従業員に対し、企業の初期対応は

 
 

◆まずは従業員の安否確認を


企業は従業員に対して、安全に働く環境を提供する法的義務を負っています(安全配慮義務 労働契約法第5条)。たとえば、従業員に無断欠勤があった場合に企業から何の連絡もせず、従業員が何らかのトラブルに巻き込まれていたり、病気になっていたことがわかったりした場合、企業は安全配慮義務を怠ったとして法律違反に問われる可能性があります。
 
従業員が無断欠勤をした場合は、まずは電話やメールなどでできる限り従業員に連絡を取ります。本人と連絡が取れない場合は、配偶者や保護者などの緊急連絡先にも連絡をします。それでも本人の所在が確認できない場合は、事故や怪我、事件などに巻き込まれている可能性を考慮して、当日の夕方くらいまでに上司や人事労務担当者が自宅への訪問を行うのが望ましいでしょう。

 
 

◆反応がなければ手紙を郵送する


電話や訪問でも本人と連絡が取れない場合は、手紙を郵送します。内容には、企業側から連絡をしたが本人の所在が確認できなかったことと、何日(就業規則などで定めた日数)以上所在不明が続いた場合は「自然退職」となることを明記します。
 
また、以前に無断欠勤を繰り返していた場合や、本人が退職の意思を示していた場合などは、退職届を同封するケースもあります。
 
郵送する際、連絡を取った記録を残しておくことが重要です。郵便物が到着した日にちがわかる内容証明や特定記録郵便を利用しましょう。

 
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自然退職として取り扱うために就業規則に定めておくべきこと


自然退職とは、就業規則や雇用契約書に定められている事由を満たした場合、労働者や企業の意思表示がなくとも労働契約が終了し退職となることを指します。無断欠勤でそのまま従業員が出社しなくなった場合には、自然退職として取り扱えるようにあらかじめ就業規則で定めておきます。
 
就業規則には「会社に連絡なく欠勤が〇日以上続き、企業が従業員の所在を確認できない場合は自然退職として取り扱う」旨を明記します。
 
自然退職扱いとなる無断欠勤の日数は、3日など短い場合は「急病などで連絡が取れなかった」などを理由に、退職後に不当解雇としてトラブルになる可能性もあるため、14~30日程度と規定する企業が多いようです。
 
自然退職となった場合は、念のため退職通知書を郵送し、企業の規定により自然退職となった旨を通知しておくとよいでしょう。

 
 

私物の整理や退職金、未払賃金の精算事務はどのようにする?

 
 

◆私物の整理について


従業員の私物を本人に無断で処分をした場合、トラブルに発展する可能性があります。まずは電話やメール、郵便などで、本人に取りにくるよう連絡をします。それでも連絡がつかない場合は内容証明などで「〇月〇日までに私物を取りにこない場合は自宅に郵送する(あるいは企業で処分する)」旨を記載します。それでも反応がない場合は、期日を過ぎた後に本人の自宅に郵送あるいは処分をします。期限は郵送から1カ月程度が妥当です。

 
 

◆未払い賃金と退職金は支払う


自然退職となった従業員への賃金の未払い分と退職金については、未払いのままにしておくとトラブルにつながる可能性があります。未払い賃金と退職金の清算はその従業員の最終労働日を退職日として計算し、従業員に支払うのが望ましいでしょう。

 
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自然退職の注意点


様々なトラブルを防ぐためにも、自然退職の規定は、従業員に事前に知らせておくことが不可欠です。
 
また、自然退職後はほかの退職と同様、雇用保険被保険者離職証明書を資格喪失届と共にハローワークへ提出することを忘れずに行います。
 
無断欠勤に対して、企業が行わなければならない安全配慮の義務の把握や、そのような事例が起こりうるかもしれないと予測して、就業規則にあらかじめ定めておく必要があることを理解しておきましょう。

 
 
 

※記事内で取り上げた法令は2021年9月時点のものです。
 
<取材先>
社会保険労務士法人アウルス 社会保険労務士 濱澤智子さん
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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