求める人材像・人物像の決め方は? 注意点も解説

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自社に合う人材像(人物像)を言語化して社内で共有することは、自社に合った人材を獲得するうえで欠かせません。求める人材像を設計することのメリットや必要なプロセスなどについて、企業の人事に詳しい、株式会社人材研究所の代表・曽和利光さんにお話を聞きました。

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企業が求める人材像(人物像)を設計するメリット、デメリット

 

◆求める人材像(人物像)を設計するメリット

採用に関わるメンバーが採用基準となる人材像(人物像。以下、人材像で統一)を設計すると、採用の方向性が決まり、採用面接の妥当性を高めてミスマッチを回避しやすくなります。
 
もし自社が求める人材像を設計せずにあいまいな状態で採用を行うと、「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれる無意識の思い込みや偏見によって、面接官個人の好き嫌いで採用・不採用が決定してしまいます。
 
求める人材像を設計したとしても、個人の思い込みをすべて排除するのは困難ですが、メンバー内で方向性の共有がなされていることである程度の信頼性を確保しやすくなります。

 

◆求める人材像を設計するデメリット

求める人材を設計するデメリットは基本的にありません。ただし、誤った決め方で採用基準を設けてしまうと、結果的に採用がうまくいかなくなってしまう可能性が高くなります。設計の段階でしっかりと作り込んでいくことが重要です。

  
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自社が求める人材像を設計するには?

企業が求める人材を設計するには、以下の2つの方法が有用です。

 

◆自社の現状から求める人材像を抽出する

1.社内で影響力を持つ人物の意見を集める(主観的データ)

経営者やリーダー、高度なスキルや業績を持つハイパフォーマーに対して、次の意見を聞いて、求める人材像の設計の材料に用います。

  • 自社にどのような人材が必要だと思うか
  • 好業績を収めるにあたってどのような方法を取ったか
    など

 

2.ハイパフォーマーの行動特性やパーソナリティテストを行う(客観的データ)

客観的なデータには、次の内容が該当します。

  • ハイパフォーマーの行動観察によって、どのような行動特性があるのかを分析する
    (例:営業同行など)
  • SPIなどのパーソナリティテストを社内で行い、自社に合った特性について分析する


1の結果のみで人材像を作成している企業が多く見られますが、それだけでは主観的な設計に偏りがちになるので注意しましょう。

 

◆理論に基づき求める人材像を設計する

世の中では、古くから様々な職務適性理論が研究されています。
 
たとえば、働く人々の特徴を次の6つの性格や特性で分類し、人と職業や職場のマッチングをはかる「RIASEC(リアセック)理論」などが有名です。

  • 現実的(Realistic)
  • 研究的(Investigative)
  • 芸術的(Artistic)
  • 社会的(Social)
  • 企業的(Enterprising)
  • 慣習的(Conventional)


求める人材像の設計にこうした理論を用いることで、従来は採用していなかったタイプの人材がハイパフォーマーに成長するケースも多々見られます。
 
これらの方法はいずれかを用いるのではなく、どちらも偏りなく行うことが重要です。自社の分析から抽出した人材像と、理論から導き出した人材像が重なる部分はそのまま組み込み、それぞれの結果にギャップが生じた場合は、議論を重ねて設計を練ります。時には、これまで求めていなかったタイプの人材の採用を実験的に試みることも必要です。多面的に人材像の設計に取り組んでいく意識を持ちましょう。

  
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求める人材像の作成と採用のポイント

 

◆言葉は一義的に表現する

求める人材像の要素の一つとして「コミュニケーション能力が高いこと」を挙げるとします。しかし、一概にコミュニケーション能力といってもそれが「ものごとを表現する力」なのか「論理的思考ができる能力」なのか、あるいは「場の空気が読める敏感性」なのかは人によって解釈が様々です。言葉の抽象度が高いほど人材像があいまいになるため、求める人材像の設計においては、特性や能力を表現する言葉は一義的にするよう意識しましょう。

 

◆面接後は必ずすり合わせを行う

自社が求める人材像の作成後、実際に採用試験を行う際には、面接後のすり合わせがとても重要です。応募者との面接に同席した面接官同士で、求める人材像と比較してどれくらいマッチしていたかなどを細かくチェックします。1次面接と2次面接で別の面接官が担当した場合も、同じ応募者と接した人物であれば同様です。すり合わせを続けていくことで、面接官同士が目線を合わせられるようになり、より人材像の精度が高まります。

 

◆「自社で育てていく」という考え方を持つ

人材像の設計にあたって、知識や保持している資格などのスキル、経験年数など、一見してレベルのわかる要素は議論の余地がありません。もちろん業務に必要な条件として一定の基準を設けることは必要ですが、こだわりすぎるといつまでも人材が獲得できなかったり、ミスマッチが起こりやすくなったりします。
 
性格や価値観、能力など人物のベーシックな要素に着目して採用を行い「スキルや経験は自社で育てていく」という中長期的な視点で人材像の設計や採用を行うことが大切です。
 
自社に合った人材の採用には、求める人材像の設計が指針となります。設計後も定期的に見直しをはかってブラッシュアップをしていきましょう。


※記事内で取り上げた法令は2021年10月時点のものです。
 
<取材先>
株式会社人材研究所 代表 曽和利光さん
リクルート人事部ゼネラルマネジャーなど人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験、2011年に株式会社人材研究所を設立。多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務める。人事歴は約20年で、これまでに面接した人数は2万人以上にのぼる。
 
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト

 
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