中途採用とは
はじめに、中途採用の基本について解説していきます。
◆新卒採用と中途採用の違い
中途採用は、人材のポテンシャルを重視する新卒採用とは違い、スキルや実績、即戦力で実践できる実力がある人材の採用活動のことを指します。
◆中途採用を行うメリット
中途採用をするメリットは主に以下の3つが挙げられます。
- 即戦力の獲得により人材育成の手間を省略できる
- 通年で採用ができる
- 入社した人材の経験やノウハウを社内に取り入れられる
◆中途採用の市場の変化
上記のように、中途採用で獲得できる人材は魅力的ですが、中途採用成功のためには入念な準備が必要不可欠です。
年々、「中途採用における人員が確保できなかった」と感じる企業が増えているように、その難易度は上がっています。中途採用市場自体の人材は減少傾向にあるため、企業間の人材獲得競争が加速しているのです。
また、採用市場だけではなく、就労者側の意識も多様化してきています。やりがいのある仕事を求めてキャリアアップしたり、ワークライフバランスをとる職場を探したりするなど、様々な目的で転職活動をする人が増えてきました。
特に、大学卒業後、新卒で入社した若年層の3割は3年以内に離職するというデータもあります。自分の会社での仕事がキャリアアップにつながらないと判断したり、能力を発揮できないと感じた会社には残らない人が増えています。
こうした背景から、中途採用を積極的に行い、多様性のある組織にしていくことが重要だといえるのです。
中途採用を始める前に必要な準備とは
採用活動を成功させるためには、採用計画が重要です。まずは、採用戦略が立てられる担当者を決めましょう。
◆採用担当者に必要なこととは
採用担当者になる人は、以下の資質を持っている必要があります。
- 人事以外の仕事をしており、実績を出している
- 会社の事業計画や展望、ビジョンを魅力的に語れる
- コミュニケーション能力が高い
- 経営層と連携ができる
面接に応募した求職者が「こんな人と働いてみたい」と思うような、活躍している人が適しています。このような人材であれば、人事は未経験でも問題ありません。
◆採用方針や採用基準を決める
採用担当者や経営層は、どういう人を採用したいか、基準を定める必要があります。職種別にどんなスキルを持った人かを決めるだけではなく、どんな「採用基準」で採用活動を行っていくか、社内で共有しましょう。
◆採用計画を立てる
中長期の経営戦略や事業計画と照らし合わせを行い、人材が必要になる時期の見極めが必要です。また、採用目標も明確にしましょう。職種、採用ポジション、人数、スケジュール、採用予算を洗い出すことが重要です。
中途採用したい人材に出会うためのコミュニケーション3つ
採用計画を立てたら、採用したい人材に自社の求人情報を見てもらうことが重要です。そのためには主に「メディア」「エージェント」「リファラル」の3つの方法があります。ここではそれぞれどんな方法があるのか、解説していきます。
◆求職者に「メディア」経由で情報を見てもらう
本記事での「メディア」は求人検索エンジンや自社の採用情報ページ、採用イベント、SNS、交通広告など幅広い言葉として使っています。
- 求人検索エンジン
- 求人サイト
- 自社の採用情報ページ
- オウンドメディア・ブログ
- 採用イベント
など、採用に有効な方法は様々です。
◆求める人材をエージェントに紹介してもらう
エージェントにはどんな人材を採用したいのか、詳細な情報を共有しましょう。
<共有する情報の例>
- 会社の現状
- 会社の将来の展望
- そのための人材募集の背景
- 自社で大切にしている価値観
- 求職者に提供できる価値
◆従業員の紹介「リファラル」を活用する
リファラル採用とは、自社の従業員に知人や元同僚などを紹介してもらう手法です。リファラル採用はマッチ度の高さが近年注目され、導入企業も増えてきていますが、うまく機能するためには以下のようなポイントをおさえる必要があります。
- 社員にリファラル制度を周知・リマインドする
- 社員に求人情報を理解してもらう
- 紹介インセンティブ制度を設ける
- 社員がリファラル活動をしやすくするための工夫をする
- 社員が自社の魅力を伝えられるようにする
- 紹介された人材が不採用になった場合を想定し紹介者の不安を払拭する
中途採用を効率的に行うために実施したいこと
これらの方法を活用する前に、採用担当者は「ターゲット」を明確化しましょう。これにより採用のミスマッチを防ぐことができるため、結果的に採用活動の負荷を下げることになります。
◆求める人材像=「採用ターゲット」を明確にする
「自社にとって好ましい人材とは何か」を掘り下げて考え、採用ターゲットを明確にしましょう。求める人材像があいまいだと、面接官によって選ぶ基準がぶれてしまいます。すると、自社に本当に必要な人材ではなく、当たり障りのない人材ばかりを採用してしまう、ということも想定されます。
たとえば、現在活躍している人材を明確化し、社内で共有しておく、などの工夫も有効でしょう。これにより、採用のミスマッチを防ぐことができるのです。
また、採用ターゲットが明確になっていると、求人情報を記載するときにも求職者目線に立った、魅力的な求人情報を書きやすくなります。書き終わった後は、第三者にも見てもらって、的確にメッセージが伝わっているか、印象や感想を聞くとよいでしょう。
参考文献:
「中途採用実態調査(2018年上半期実績、2019年度見通し)」
リクルートワークス研究所(2019.2.5)
「若年者雇用対策の現状等について」厚生労働省人材開発統括官
深澤了(2018年)『採用ブランディング』幻冬舎