中途採用を準備からアフターフォローまで一挙解説【はじめての採用ガイドブック】
この記事では、はじめて中途採用をするスーパーマーケットの店長Nさんと、副店長Iさんの採用活動を通して、中途採用とはどのように行うべきかを学んでいきます。
はじめての中途採用!採用の流れなど、知っておくべきことは?
とある地方都市の地域密着型スーパーマーケットKは、駅前に1店、駅前から少し離れた郊外に1店、国道沿いに1店の計3店舗を展開しています。地域住民の暮らしを支えており、平日の夕方、休日は特に大繁盛。そんなスーパーマーケットで働くN店長は、頼れるスタッフとともに、忙しいけれど充実した日々を送っていました。
ところが、経理や総務などのバックオフィス業務で重要な役割を果たしていた社員のTさんが、家庭の事情で退職してしまいました。Tさんが抜けた穴は大きく、N店長は早くなんとかしなければと焦っています。
アルバイト・パート採用と同様に、人材募集のポスターを作製し店頭に貼り出すも応募はゼロ……。なにか打開策はないかと、N店長は長い付き合いの副店長Iさんに相談することに……。
中途採用の定義とメリット
そもそも「中途採用」とは、特定のスキルや職業経験を持つ人材を新たに雇い入れることを意味します。選考にあたっては、応募者がこれまで培ってきたスキルや実績、人柄、自社との相性などを確認し、新たな環境で活躍できる即戦力かどうかを見極めます。そして、中途採用には企業にとって次のようなメリットがあります。
メリット①採用時期を自由に設定できる
中途採用は採用する企業側の都合で一年中どのタイミングでも求人を出すことができます。退職者の欠員補充、既存事業の拡大、新規事業の立ち上げなど、人材が必要になった時期に必要な人材を確保するという採用活動が可能です。
メリット②人材育成の手間と教育コスト削減
新卒採用の場合は、一人前の社員に育て上げるまで数年の「投資」が必要です。しかし、中途採用なら、20代の若手でも社会人としての常識やマナーは前職で身につけている事が多く、特定の事業で実績を持つ転職者なら教育コストをかけることなく仕事に取り組んでもらえます
メリット③新しい知見の獲得で会社が成長する
別の環境で経験を積んだ人材がチームに加われば、さまざまなノウハウや人脈などを社内に取り入れることができます。人材の多様化が進めばこれまでに自社になかった知見がもたらされ、取引先の新規開拓や業務の効率化、新たな事業の展開などのスピードアップにもつながる可能性が期待できます。
キャリア採用とは
N店長が「中途採用と意味は同じでは?」と言っている「キャリア採用」ですが、厳密には少し違いがあるようです。中途採用・キャリア採用ともに、就業経験のある人材が対象ですが、前職での経験を基準にしているキャリア採用では、第二新卒を含まないのが一般的です。そのため、今回の二人の採用活動は「キャリア採用」と呼ぶ方が良さそうです。
中途採用のコスト
費用の考え方
中途採用の場合、主なコストとして次のようなものが考えられます。
1.求人サイトに広告出稿をする費用
2.自社の採用サイトを制作する費用
3.人材紹介会社を利用する費用
4.書類選考・面接を実施する費用
他にも、中途採用のアプローチの仕方によって、さまざまな採用コストがかかります。自社にどんなアクションが必要かを明確にし、どれくらいの内部コスト・外部コストをかけるべきか、採用活動を行う前にしっかりと決めておくことがおすすめです。
また、『就職白書2019』(調査:就職みらい研究所)によると、2018年度の中途採用における1人あたりの平均採用コストは84.8万円でした。業種ごとに比較をすると、中途1人あたりの平均採用コストが最も高い業界は製造業の102.3万円、その後に建設業(97.8万円)、サービス・情報業(86.8万円)が続きます。
費用に対する補助
また、地域や時期によっても異なりますが、人材採用のための助成金が利用できる場合もあります。その一部を紹介します。
・中途採用拡大助成金(UIJターンコース)
東京圏からの移住者を雇用する事業主に対し、採用活動に要した経費の一部が助成されるものです。
・特定求職者雇用開発助成金
特定の条件を満たす労働者を雇用した事業主に対して助成されるものです。
特定の条件とは、母子家庭の母、氷河期世代で正規雇用に就くことが困難な人、高年齢者(60~64歳)や障害者などが該当します。
・人材確保等支援助成金
働き方改革を推進する上で、人材の確保が必要な中小企業が新たに労働者を雇用し、一定の雇用管理状況の改善を行う場合の助成金になります。
・事業継承補助金
別の代表者への事業の承継や、M&Aによる事業承継が行われた場合に交付されます。
この他にも様々な制度があり、自社の状況が受け取り条件に該当する場合、非常に有効な手段となります。とはいえ、場合によっては取得後も報告義務があったり、書類の作成で思わぬ手間がかかったりする場合もあります。
事前に相談窓口や社会保険労務士といった専門家に相談してみるのもおすすめです。
N店長とI副店長は今回の中途採用の活動をIndeedで進めていくことにしたようです。
直接求人投稿を掲載するステップは主に以下の3つです。
1.「jp.indeed.com/hire」にアクセスし、「求人を掲載する」をクリック
2.アカウントを作成する
3.求人情報を投稿する
しかし、アカウント登録まではスムーズにいったものの、N店長とI副店長は求人票について、つまずいているようで……?次は求人票の作成方法について詳しく見ていきましょう。
中途採用活動開始!求人票作成のポイントや知っておくべき制度や決まり
N店長とI副店長は求人票を作成することにしました。しかし、うまくいかない様子で、どう書けばいいのか話し合っているようですが……?
求人票の書き方
求人票は、人材を惹きつけるための重要な情報です。次のような点に気をつけながら、採用につながりやすい求人票を作成しましょう。自社のアピールポイントなども含めつつ、丁寧に構築することが重要です。
1.仕事内容を明確にする
2.具体的な数字を用いる
3.十分な情報量を揃える
4.専門用語ばかりを使わない(未経験者応募の場合)
また、今回のように「経理の経験者」を募集する場合であっても、業界が違えば用語も異なります。あくまでも一般的な言葉を用いて仕事内容を説明するようにしてください。
募集要項に必ず記載するべき項目には、以下の5つがあります。
(1)仕事内容
今回のケースでは「経理」「総務」としての募集を行っていますが、一般的な職種名だけでなく、仕事で取り扱う商材やサービスの説明、仕事を進めるための手法・手段などを具体的に記載しましょう。求職者がその職場で働くイメージを持つことができるだけの情報量が必要です。
(2)求める人材
業務を行う上で、どんなスキルや技能、資格が必要なのかを明確に提示しましょう。
(3)勤務時間
出勤と退勤の定時、平均残業時間を記載します。1日の業務の流れを記載すれば、より職場の雰囲気が伝わりやすいでしょう。
(4)交通アクセス
勤務地の住所や最寄り駅からの所要時間を記載しましょう。
(5)給与・待遇・福利厚生
給与は「月給○○万円〜」と下限だけ書くと、高給が見込めないと捉えられる可能性があるので上限の金額も書くことをお勧めします。昇給・賞与などの待遇(福利厚生)は自社のアピールポイントになるので、詳しく記載しましょう。
ちなみに、中途社員の給料は、次のような基準から決定します。
・企業の人事制度に基づく
・転職市場を調査する
・厚労省「賃金構造基本統計調査」を参考にする
また、応募者の現職(前職)の年収や希望年収、面接時で確認できたスキル評価、既存社員とのバランスなども考慮する必要があります。
以上は必要最低限の情報ですので、必ず揃えるようにしましょう。
たとえば、試用期間や募集を行う事業所・個人名、派遣労働者として雇用するのかどうかといった項目も募集要項にはっきりと記載しなくてはなりません。また、固定残業代を支給する場合、裁量労働制の場合などについても、必ず記載する必要があります。福利厚生や有給、産休や育休など、求職者が欲しいと考える情報を不足なく揃えるようにしましょう。
求人票作成のポイント
求人票作成のポイントについて見ていきましょう。
ポイント① 求職者が求めている情報
中途採用において求職者が求めているのは、より具体的な情報です。求人票を作成する時は、採用する側が発信したい情報だけでなく、求職者視点で情報発信をすることが何よりも重要です。求職者が知りたい情報が不足していると、入社後ミスマッチの発生の可能性が高まります。
たとえば、詳細な業務内容に加え、そのポジションを募集するに至った背景などを記載することで、求職者は自身がその職場で働く自分をより明確にイメージできるようになります。
以下のポイントを参考に、求職者目線の求人情報を目指しましょう。
職種・ポジション | 単に「経理」「総務」とするのではなく、「スーパーのバックオフィス業務・経理担当」など担当領域やポジションまで明記することで、求職者もイメージしやすくなる。 |
求める経験・スキル | そのポジションではどのような能力・経験が求められるのか記載する。「経理経験○年以上」「○○資格保有者」といった数字や資格など、わかりやすい指標を用いるのも一つの手。 |
仕事内容 | 仕事内容を詳しく書こうとすると専門的になりすぎたり、社内用語を多用したりすることで社外に通じにくい場合があるため、わかりにくい表現が含まれていないか必ずチェックする。また、同じポジションの社員にヒアリングしたり、1日の仕事の流れをまとめたりすると、仕事内容がより伝わりやすくなる。 |
責任範囲 | 入社した場合、どのような責任範囲が及ぶのか明確にする。たとえばセールスマネージャーの募集であれば、「市内3店舗の管轄」など具体的にどれぐらいの規模の管轄を任せられるのか添えると良い。 |
そのほか、会社の雰囲気や文化といった言語化しにくい内容は、オフィスや職場の写真も併せて掲載するなど、ビジュアルでの発信も重要です。
Indeedにアカウントを作成したら、自社の企業情報を登録。
その後、求人票の基本情報を入力していきます。
入力項目は以下のとおりです。
・基本情報
募集する職種名
職種カテゴリー(プルダウンで選択)
会社名
勤務地
・応募設定
応募の受付方法
電話での問い合わせや応募の可否
応募形式(「Indeedカンタン応募」か「Indeed履歴書応募」)
→「Indeed履歴書応募」とは履歴書の提出が必要な応募を指します。
雇用形態(アルバイトや正社員など)
給与(年収月給など表示単位は選択可)
・仕事内容
仕事内容およびアピールポイント
求める人材
勤務時間、曜日
交通アクセス
待遇、福利厚生
その他
タグ選択(社員登用あり/残業なし/週1日からOKなど、最大3項目選択可能)
次に求職者への質問項目を選択します。
・応募資格
生年月日
氏名のふりがな
職務経験
学歴
勤務地
資格
免許
言語
Indeedへの登録方法や求人情報の入力方法の詳細については以下を参照にしてください。
また、Indeedでは求人情報の掲載に加えて、自社の求人情報がどの程度求職者から見られているかや、自社が募集している職種を志望する求職者がどんなキーワードで検索をしているかなどが分かる「分析機能」を使用することができます。(使用には一定の条件を満たす必要がある場合があります)
求人情報の内容は、掲載後であってもいつでも自由に書き換えることができます。
なるべく早く採用したいとお考えの場合は、一先ず求人情報の掲載をスタートさせ、状況に応じて改善をしていくことで、スピーディーな成果につながることが期待できます。
サポート体制も充実しているので、困ったときは相談することも可能です。
ポイント② 求める人材(ペルソナ)の設定
求職者が求める情報が何であるかを考える際に有効な手法が「ペルソナ」の設定です。ペルソナとは、モノやサービスを利用・購入する「典型的な人物のイメージ」を指すマーケティング用語です。採用においては、自分たちが採用したい人材のイメージということになります。
採用担当者のみのイメージでは、偏りや要素に過不足がある可能性が高まります。そのため、在職中の従業員にヒアリングと分析を行うことがおすすめです。まずは同僚や採用後に上司となる人物と定期的に情報交換を行い、どのような人材が求められているか、採用する予定のポジションにはどのような人材が合っているか深掘りしましょう。
また、直近で採用した社員がいる場合、その人にヒアリングを行うのも有効な方法です。どのように自社のことを知って応募したのか、どのような点に魅力を感じて入社したのかといったことを詳しく聞き出し、既存の採用方法や求人情報の内容で十分なのかを振り返りましょう。
聞き取りした結果を以下のような項目で整理をすると、「自社が採用したい理想の人材像」が把握できるようになっていきます。
年齢
性別
居住地や勤務地
家族構成
興味関心、趣味嗜好
性格……問題解決志向で探究心旺盛など
現在の就業状況と仕事……職種、肩書き、雇用形態など
学歴
経歴……雇用状況/学歴/キャリアパス/希望勤務地/特長・性格
経験……これまでの職位/スキル/プロジェクト経験
目標……キャリア目標/会社に対して関心のある点
モチベーション……転職への影響要因/大切だと感じること
行動…候補者が雇用機会を知る方法(WEB/ネットワーク/デバイスなど)
ポイント③ 「人間力」と「適応力」が即戦力の人材を見出すカギ
中途人材は「即戦力」として採用されることが多いでしょう。しかし、納品形式や書類のフォーマットが前職と違えば、適応にある程度時間が必要です。また、社内外のコミュニケーション、慣例や文化の違いがストレスになってしまう場合は、入社してすぐに活躍することが難しいケースもありえます。
そのため選考においては、コミュニケーション力や規範意識の高さ、会社の理念に共感しながら社内メンバーからの教えを素直に受け入れる姿勢があるかどうかをしっかりと把握することが重要です。
そのため、求人票作成段階では、求める人材像をきちんと固め、必要なスキルや経験だけでなく、自身の職場の雰囲気などもきちんと把握した上で、採用基準を明確にしておく必要があります。選考の際には以下のポイントをチェックするようにしましょう。
・企業文化の理解度をチェックする
・業務の手法に対するこだわりの度合いを確認する
・人間性や性格に注目する
・仕事に対する考え方を確認する
ポイント④ 求人票におけるNG表現、確認するべき注意点
人材採用において、性別や年齢で条件を変更したり、制限を設けるといったことは禁止されているので注意が必要です。
特に下記の3つの法令に基づくNG表現となりますので、必ず確認をするようにしましょう。
・男女雇用機会均等法
特定の場合を除き、募集および採用の際に性別を理由とした差別の禁止
NG例)「男性15名、女性3名採用予定」「主婦歓迎」
・労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(旧雇用対策法)
募集および採用において、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
NG例)正当な理由なしに「25歳まで」と年齢制限を設ける
・若者雇用促進法
固定残業代制を取り入れている場合は、募集要項や求人票に給与を記載する際、下記3つの内容を明示する必要がある。
(1)固定残業代を除いた基本給の額
(2)固定残業代に関する労働時間数とその金額
(3)固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨の説明
NG例)「基本給30万円(固定残業代を含む)」
ちなみに、年齢制限には例外事由があり、風営法で18歳未満の労働が禁止されている職業や、長期勤続によるキャリア形成の観点から若年者の採用をしたい場合は、対象外となる場合があります。
その他の知っておくべきポイントなど
I副店長が言うように、中小企業であっても対応が必要な取り決めは存在します。人材採用や労働環境に関する制度変更などには注意をするようにしましょう。今回のケースには当てはまりませんが、中途採用に関して、知っておくべき制度などの一部を紹介します。
①中途採用比率の公表義務化
2021年4月、改正労働施策総合推進法(労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)が施行され、中途採用比率の公表が義務化となりました。「中途採用比率の公表義務化」(労働施策総合推進法第27条)とは、正規雇用労働者数のうち中途採用者数が占める割合を、企業が公表しなくてはならない制度のことです。義務化の対象となるのは常時雇用する労働者が301人以上の企業です。
公表する際は自社の公式サイトなど、求職者がいつでも容易に閲覧できる方法で行わなければなりません。また、中途採用比率の公表は、少なくとも年1回以上、公表した日を明らかにしたうえで、直近の3事業年度(過去3年分)と定められています。
今後、中途採用比率が求職者の企業選びの基準の一つになるのは間違いありません。中途採用の需要が高まっている昨今、比率の高さは人材採用のアピールポイントになると言えます。
②採用トレンド
求職者の価値観や社会の変化に合わせて、採用トレンドも日々変化していきます。常に新たな情報をチェックしつづけるようにしましょう。
特に、採用・転職活動のオンライン化や働き方の多様化によって、中途採用市場は活性化しています。求人サイト、ビジネスSNSなどインターネットを介して求職活動が行われることが多くなっていますし、育児や介護との両立、副業を解禁する企業の増加などの理由により、自身にあった働き方ができる場所を探す求職者が増えています。
③地方での人材採用
「地方にUターンで戻ってきたい人々はいるはずなのに、潜在層にうまくアプローチができない」「そのためのサイト作成をしたり、アドバイザーの力を借りたりしたいが、なかなかお金をかけられない」……そんな悩みを抱える地方企業の採用担当者の方も少なくないでしょう。
その場合は、採用助成制度について調べてみましょう。地方の産業を活性化させるために国や道府県が行っている地方の中小企業への「中途採用等支援助成金 (UIJターンコース)」という制度があります。各地の自治体の地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して移住支援制度を利用して移住した人(新卒者を除く)を採用した場合に、採用経費の一部を助成してくれる仕組みです。問い合わせや申請手続きは、各都道府県の労働局やハローワーク、申請等受付窓口です。
中途採用への応募が来た!対応から面接、採用可否の連絡までを解説
Indeedに求人情報を掲載したところ、予想以上の反応がありました。周囲のスーパーの募集を分析し、給与を高めに設定したのも大きかったようです。
応募者から連絡が来た場合の注意点
応募者から連絡が来た場合の注意点は次の通りです。
①応募者とのファーストコンタクト
応募が来たらなるべく早く対応しましょう。求人サイトを利用しており、応募通知が来た場合にはお礼の返信(あるいは電話)を、電話での募集の場合はお礼をしつつその場で簡単なヒアリングをします。氏名、連絡先、経験者か未経験者か、希望の勤務条件などを確認し、折り返し連絡する旨を伝えてください。
②履歴書や職務経歴書のチェック
提出された応募用紙や履歴書などを参考にしながら、書類審査や面接を進めていきます。
履歴書
人材を募集する際、大多数の企業が応募者に提出を求める履歴書ですが、これには志望動機、学歴や職務経歴、取得資格、希望する勤務条件(形態や就業場所)といった、基本的事項を確認する目的があります。応募者がどのような人物かを判断するための材料であり、その後、応募者と面談をすることになります。履歴書があると、採用判断の助けになります。
履歴書では、特に過去の経験やスキルを重点的に確認しましょう。また、面接では書類の情報をヒントに、こちらから聞き出すことも重要です。本人がアピールポイントだと意識していないだけで、隠れたスキルを持っている可能性もおおいにあります。
職務経歴書
職務経歴書とは履歴書とは別物で職務についての詳細が記載される書類です。応募者がこれまで携わってきた仕事の詳細を知るために提出してもらう書類で、自社が求めている人材とのマッチングを見極める上での参考になります。企業側が指定しない限り、フォーマットはなく書き方は自由ですが、応募者がどのような内容を記載してくるかも、合否の判断材料になります。職務経歴書の基本的なチェックポイントは次のとおりです。
(1)自社が求めている職種を強調している
(2)採用者の立場に立ってわかりやすく整理されている
(3)在籍期間や退職理由を明記している
自社の求めているスキルと合致する経歴が盛り込まれている場合、基本的なチェックポイントと同時に、内容の信ぴょう性を見抜くポイントも意識することがおすすめです。実績や評価が記載されているか、志望動機が自社に向けての内容になっているかという観点で見るようにしましょう。
この時、 適切な基準で採用者を選ぶためには、何より採用方針を決めることが重要です。方針や基準が統一されていないと、採用業務の担当者ごとに評価がバラバラになってしまいます。自身の職場が求める人材を明確にし、共有するようにしましょう。
面接のポイント
面接のときは次の4つのポイントを押さえましょう。
①面接日時の設定と注意点
日程は早めに設定するようにしましょう。応募者は他の企業の面接も控えている可能性があり、早目のスケジュール確保が有利となります。面接官の選択や日程確保などの社内調整がスムーズに行えるよう準備しておく必要があるでしょう。
N店長の店舗の規模の場合、基本的には店長、副店長が面接官となることが多いと考えられます。そのため、店長、副店長が店舗に出なければならない時間帯は避け、他のスタッフで店舗業務を行うことにも配慮してください。
②面接での質問内容
面接での質問内容はリストにまとめておきましょう。仕事に関係ない内容(家族構成、出身地など)は聞かないよう注意しましょう。主に、次のような過去の経験やスキルについて尋ねます。
これまでの経験について
・経験のある職業、職務
・自分のスキルを発揮できたエピソード
・仕事を進める上で気づいた自分の長所と短所
・前職の退職理由
志望動機
・なぜこの仕事に興味を持ったのか
・普段このような店舗を利用することはあるか
また、途中採用は経験やスキルを重視するものですが、「入社してからどうするか」についても確認しましょう。今後のキャリアプランについて確認することも重要です。
これからの働き方
・店舗で働くことについてどのように考えているか
・健康診断を受けているか(健康に気遣っているか)
・どの程度働くことができそうか
・働く上で気になる点はないか
それから、面接のときは、休憩が必要になるほど長く拘束することは避けましょう。1回あたり30分から1時間程度を目安にすることがおすすめです。店舗内を案内する場合も、その時間を含めて考えるようにしましょう。
③オンライン面接の注意点
人数が多い場合などの一次面接や、遠方からの応募には、オンライン面接も有効です。ただし、スーパーマーケットでの仕事は店舗の状態が大きく関わりますので、採用前に少なくとも一度は店舗の様子を確認してもらう方が確実でしょう。
これまでにオンライン面接の経験がない場合には、Indeedの「Web面接」機能を利用するのがおすすめです。
オンライン面接のデメリットとしては、通信環境によっては音声や映像が乱れて進行が滞ったり、中止になってしまったりする可能性があることです。応募者にはWi-Fi環境など安定したインターネット接続が可能な場所を選んでもらうよう事前に依頼するなど、面接を円滑に進められるように対策をしておきましょう。
また、ビデオ通話では微細な表情の変化がわかりにくいなど、対面との違いを感じることもあるかもしれません。最近では、対面とオンラインを組み合わせた「ハイブリッド面接」を実施する企業も増えています。オンラインと対面でそれぞれ次のようなメリットとデメリットがあります。
中途採用の面接後の対応は?アフターフォローなど
面接を経て、N店長はYさんという女性を一名採用することにしました。YさんはN店長たちと年代が近く、「子育てがひと段落したからフルタイムで働きたい」とのこと。以前はドラッグストアチェーンの経理担当だったそうで、「スーパーマーケットとは近い部分も多いというのがN店長、I副店長が採用する決め手となったようです。
選考結果は早めに伝える
応募への返信同様、選考結果はできるだけ早めに伝えましょう。他の企業の選考を同時に受けている可能性もあるからです。メールや電話など、応募者の特性や伝えるべき内容を考慮しつつ、連絡方法を選択しましょう。
内定者に採用決定であることを伝え、契約書の作成や出社日の決定など話を進めていきます。しかし、求職者は複数の企業に応募していることが考えられるため、内定を出したからといって必ず入社してくれるわけではありません。内定を伝えてからの信頼関係の構築が重要です。
入社までに期間が空いてしまう場合などは、入社意欲の維持や期待感の醸成のため、懇親会や面談の場を設ける工夫も有効です。
(2022年8月現在、感染症拡大の状況も鑑み、懇親会や面談など、直接対面する機会の設定には十分な注意を払うようにしてください)
入社時期は無理のないスケジュールで
入社時期は内定前に求職者と話し合って決定しておきましょう。なんらかの事情で入社時期を遅らせてほしいという要望が出る場合もあります。中途採用では内定者の入社時期が遅れる可能性があると想定しておくべきです。採用計画の時点で無理のないスケジュールを組むようにしましょう。
内定承諾書の準備
応募者が内定を受け入れ入社を決めることを「内定承諾」と言います。内定承諾書、内定誓約書、就職承諾書、入社承諾書といった名称で書面にして、内定者に渡すケースもあるでしょう。法的な拘束力はありませんが、応募者のはっきりとした意思表示となり、連絡なしでの辞退といったトラブルは減る可能性があります。
まとめ
経理担当の社員を雇えたことで、ようやく余裕ができたN店長とI副店長。ふたりはスーパーのバックルームで今回の採用活動の反省会をしました。
「社員の途中採用は、パート・アルバイトの採用とは違う」という気づきから、見事に中途採用を成功させることができました。今後の社員採用はさらに工夫を重ね、よい人材を探し出すことができるのではないでしょうか。
なお、その他の制度についても、外国人の方も対象者に含むものがありますので、厚生労働省のホームページなどで確認するようにしましょう。それぞれの制度、コースにより条件が異なるため、採用する人について把握した上での条件確認が必要です。
Indeedで採用活動をもっと効率的に進めたいという方は、「Indeedスタートガイド」や「マンガで解説 Indeedで求人をはじめよう」にてIndeedの仕組みや使い方について分かりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
* 無料掲載の場合、利用規約・弊社が定める掲載基準・及び使用制限が適用されます。
https://jp.indeed.com/legal?hl=ja#tos