リモートワーク下で組織デザインを行う際のポイント

リモートワーク中のイメージ

リモートワーク時代に入り、どのように組織を運営していくべきか悩む事業者も少なくないでしょう。そこで、リモート環境における「職場」の在り方を研究するVirtual Workplace Lab.代表の神谷俊さんに、リモートワーク下での組織デザインのポイントを伺いました。

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コロナの影響でリモートワークが増加した昨今

総務省が発表した「テレワークの導入やその効果に関する調査結果」によると、これまで日本企業の中でリモートワークを取り入れているのは20%程度。一般的には浸透しているとは言い難く、オフィスに出社するのが前提のワークスタイルでした。しかし、新型コロナウイルスの影響により、日本企業にも半ば強制的にリモートワークが取り入れられることとなりました。

リモートワークのデメリットとは

そんな日本企業において、リモートワークの導入により生じるデメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか。以下では、組織デザインに影響を与えるポイントをいくつか紹介します。

◆仕事環境に個人差がある

自宅と「職場」が近接したことで、仕事環境に大きな差が生まれました。自宅で子育てや介護をしながら仕事をする人、集中しづらい状況で仕事をする人など、自宅の影響を受けやすくなりました。

◆学習機会が減少する

これまでは、オフィスにいれば周りの社員の会話や偶発的な接触などから、知らなかった情報や知識が自然と耳に入ってくるため、知見が得られやすい環境でした。それがリモートワークによってなくなり、学習機会が減ってしまいました。

◆相手との距離感を調節しにくくなる

オフィスで仕事をしていたころは、周囲との関わり方を自分で調整することが可能でした。周囲に孤立を感じていそうな社員がいれば声を掛けたり、自分が周囲との関わりを回避したければ休憩に行ったりできました。一方で、オンラインではその調節が難しくなります。
社員の関わりが減ることで孤独を感じて体調を崩してしまったり、反対に関与され過ぎてしまうことで集中できずに生産性が下がってしまうことがあります。

リモート環境における組織マネジメントのポイント

これからの組織デザインを考える上で重視されるのが、チームやプロジェクトを管理するマネージャー・リーダー層です。メンバーの置かれている状況や個人の事情を丁寧に把握し、組織の方向性や目標と調整していく必要があるからです。
リモート環境では、経営層が社内の状況を把握しにくい状況です。リーダー層が定期的に社員一人ひとりの現状を把握し、これまでとは異なるマネジメントの在り方を構築したり、会社に支援してほしいことを、経営層に交渉していく必要があります。
組織として機能するために、マネジメントに求められるポイントを解説します。

◆指示命令・フィードバックをこまめにする

対面と比べて、リモートではコミュニケーションのズレが生まれやすくなります。業務を指示した側とされた側の認識の違いが生まれやすく、気づいたら指示と全く違う作業を進めていた……といった事態が生じることも少なくありません。このズレを生まないためにも、リーダー層は今まで以上にこまめな指示命令・フィードバックをすることが求められます。

◆「職場」環境のメンテナンスを行う

リーダー層は、メンバーが仕事をしている環境に対して意識的になるべきでしょう。家庭の事情によっては、会議の時間帯を考慮することも重要です。
また、机やいす、通信環境やパソコンのスペックなどを確認し、パフォーマンスを上げられる環境なのかを考えることも大切です。ときには会社から補助をもらえるように交渉するなど、執務環境にも目を配ってマネジメントすることも必要です。

◆組織を意識させる

リモートワークではチーム内のやりとりが主体となってしまい、組織全体の「カルチャー(組織文化)」が薄まってしまう恐れがあります。社員一人ひとりに「チーム」ではなく「組織」の一員として働いているという意識を醸成することも、リーダー層の役割の一つといえるでしょう。

◆リラックスできる時間や環境も設ける

リモート環境では仕事とプライベートの切り替えが難しく、常に「オン」の状態になってしまう傾向が強いです。そのため、リラックスできる時間や、息抜きの大切さをチームのリーダー層が社員に伝え、健全な環境づくりに取り組むことが望ましいでしょう。

これからの組織デザインは、現場と組織の協力関係が必要

リモート環境でパフォーマンスをあげるためには、現場のマネジメント機能が何よりも重要です。一方で、組織としてもマクロな視野で組織全体を捉えて、施策を投下していくことが求められます。たとえば経営層や人事部が定期的に社内アンケートを取り、組織の状況を把握し、現場のマネジメント機能をより強化するための方策を見出していくことが大切です。
 
 
 

<取材先>
Virtual Workplace Lab. 代表/株式会社エスノグラファー・代表取締役
神谷 俊さん
2016年株式会社エスノグラファー創業。企業や地域をフィールドに活動。定量調査では見出されない人間社会の有り様を紐解き、多数の組織開発・製品開発プロジェクトに貢献してきた。2020年4月からは、リモート環境における「職場」の在り方を研究する“Virtual Workplace Lab.(バーチャルワークプレイスラボ)”を設立。学術的な知見を基盤に「分断・分散」を前提に成立する組織社会の在り方を構想する。
 
 
 
TEXT:稲垣恵美
EDITING:Indeed Japan + 成瀬瑛理子 + ノオト

 
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