組織デザインとは
合理的かつ効率的な組織運営をおこなうためには、個々の働きがうまく連動して機能するように調整しなくてはなりません。そこで重要になるのが「組織デザイン(Organization Design)」です。
組織デザインとは、その名のとおり、最高のパフォーマンスを発揮するべく組織をデザインすることです。各社員が持つ能力を生かしながら、それぞれが組織の一員として機能し、企業活動を活性化する仕組みを構築します。経営戦略のひとつの手段と言い換えることもできるでしょう。
組織デザインをゼロベースから設計することは稀です。多くの場合、モデルとなる組織があったうえで、自社が直面する問題に適応できるようにアレンジを加えるのが基本的なプロセスとなります。
採用活動を通して、能力の高い人材を獲得できたとしても、組織の中でうまく機能させることができなければ、採用が成功したとはいえません。採用活動を実施する上でも、組織デザインは肝心なのです。
組織デザインの重要性
市場のグローバル化や働き方改革など、企業を取り巻く環境が大きく変化する昨今。時代の流れに合わせて組織構造を刷新する必要性はさらに高まるといえます。
組織デザインを行うにあたって、「明確なビジョンや戦略」「リーダーの存在」「企業文化の改善」を考える必要があります。
たとえば、はっきりしたビジョンがないままに組織デザインを進めると、「売上が前年比○%アップ」のような数値でしか成果をはかれません。また、どんなに優れた組織デザイン案があったとしても、強力なリーダーがいなければ、計画は一向に進まないものです。そして、企業文化が時代にマッチしていなければ、仮に剛腕のリーダーがいたとしても、避けられてしまいうまく機能しない恐れがあります。
つまり、組織デザインを行う際は、「明確なビジョンや戦略」「リーダーの存在」「企業文化の改善」の3つをバランス良く設計することが重要です。
組織デザインを実施する際のポイント
組織デザインは、単に組織の設計・調整をするだけではなく、企業活動を活性化するための仕組みをつくる必要があります。新しく採用した人材の潜在能力を最大限に引き出し、既存メンバーと良いチームワークを発揮できる組織を構築するためにはどうしたら良いのでしょうか。
組織デザインを実施する上で、以下のポイントを考慮しましょう。
◆最適な組織構造をつくる
企業にとって最も適切な組織構造をつくることが大切です。たとえば、組織内の業務を専門・分業化して作業効率をアップさせたり、関連業務と担当部署を連携させたりすることで生産性の向上につながります。無駄のない組織構造になっているのかチェックしましょう。
◆各社員の働き方を見直す
個々のメンバーが仕事の目的を明確にし、働き方を見直す必要があります。まずはチーム単位でやるべきことや改善点をリストアップしましょう。より効率的に業務をこなせるような仕組みへ転換するためには、人材の教育方法を含めて体系化することも大切です。
◆わかりやすい人事評価
仕事の成果や組織への貢献度合いなどは、評価・測定しやすい基準であることが大切です。組織改革を進めるためには、業務の分担・役割・成果を整理し、人事評価の仕組みが機能しやすいようにしておく必要があります。
人事評価は、週1回、月1回、半年に1回……という具合に、各職場によって適正なサイクルで運用し、人事評価に関わる情報は評価根拠も含めてデータベース化することで定着と育成に活用します。
◆人材の管理・育成を見直す
組織デザインを行う上で欠かせないのが、高いスキルを持った人材です。事業の繁栄に貢献してくれる人材を集め、成長させていくには、人材の管理・教育方法を見直さなくてはなりません。
また、メンタルケアを含む健康サポートについても、施策を打つ必要があります。これは病気を予防するためだけでなく、仕事の効率や効果を高める意味でも重要です。
◆意思決定のプロセスを確認
意思決定には、トップダウンとボトムアップの2つの方法があります。経営者や上層部が決めたことに現場のメンバーが従うのがトップダウンスタイル、現場の提案を取り入れながら決定していくのがボトムアップスタイルです。
ときには意思決定のプロセスの見直しも必要です。現場に権限委譲(エンパワーメント)することで、社員の能力を開発したり、組織の生産性を向上したりすることにつながります。誰に、どの段階で、どの程度の権限委譲をするかについては、プロジェクトの難易度や社員のスキルに合わせて適切に判断しなくてはなりません。
◆情報管理システムを導入
情報を集めて処理するシステムを導入するのも必要です。システムで様々な情報を適切に管理することができれば、組織のパフォーマンスを見える化したり、戦略づくりに役立てたりするなど企業の生産性向上につながります。
組織デザインを見直すことで、高い生産性を実現
企業における人事の重要性が見直されつつあります。採用した人材が潜在能力を活かし、組織が高い生産性を実現するためには、明確なビジョンや戦略に基づいた組織デザインの見直しが欠かせません。社員一人ひとりが一体感をもって働き、新しい時代に適応しながら成長し続けられるような組織づくりを目指しましょう。