ピープルアナリティクスを採用で使うメリット・デメリットは?

AI・機械学習などのテクノロジーが進化するなか、人事の領域ではデータを活用する「ピープルアナリティクス」の考え方が広まってきています。採用活動ではどのように活用され、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。企業の採用をピープルアナリティクスを活用して支援する株式会社アッテル・代表取締役社長の塚本鋭さんに伺いました。

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ピープルアナリティクスとは

ピープルアナリティクスとは、人事の領域で、「人」にまつわる様々なデータを収集・分析し、それらを活用して成果をあげるための手法です。これまでも、人事においてデータの収集・分析は行われていましたが、ピープルアナリティクスでは、それを意思決定の精度向上や従業員のパフォーマンス向上のために活用するという点が大きく異なります。
ピープルアナリティクスの考え方は、海外の先進的なIT企業から広がりました。日本でも、近年は専門のチームを設置したり、外部に委託したりして、活用する企業が増加しています。
「採用」「配置」「育成」「評価」「退職」など、人事業務での幅広い活用が期待されていますが、特に「採用」は、例えば「面接への参加人数」といったようにKPIを設定しやすく、明確なデータを出しやすい故にピープルアナリティクスを取り入れやすい領域だと言われています。

採用分野におけるピープルアナリティクスの活用方法

採用の中でピープルアナリティクスをどう活用するかは、企業の目的によって異なります。代表的な例としては、活用人材を見極める精度(質)の向上のために使うという方法です。
例えば、大企業など応募者が多い場合に、エントリーシートの内容を機械学習やAIで分析して、評価するといった使い方がなされます。最近では、応募者に動画を撮影してもらい、その内容をAIが解析して評価することも可能です。
 
ほかにも採用面接時、面接官が応募者をきちんと見極められているかを評価する目的で使う方法もあります。例えば、採用された社員の入社後の活躍をABCで評価し、採用時の面接官のABC評価と比較することで、面接官の見極め精度を定量的に明らかにしていくことができるのです。
 
また、あらかじめ社内の部署ごとの活躍人材を分析して適性が高い人材を明らかにし、採用・配置に活用するといった使い方もあります。
 
さらに、1度面接で不合格になった人をAIでスクリーニングをかけて、面接官や採用担当者たちが見落とした活躍人材をピックアップするといった使い方など、目的に合わせて様々な活用方法があります。

採用分野でピープルアナリティクスを活用するメリット・デメリット

◆メリット

(1)勘に頼らない意思決定を実現
 
ピープルアナリティクスでは客観的なデータを活用するため、人間の勘に頼らない意思決定が可能になります。「会社の利益になるかどうか」という点を優先した、効果的な意思決定を行うことができ、組織としての一貫性を持たせられる点もメリットです。また、採用後の配置理由も明確にすることができ、社員に納得感を与えることにもつながります。
 
(2)活躍人材を確保
 
その組織で活躍する人材を分析し、それに合った人材の採用につなげることが可能です。適材適所の人材を効率的に採用することで、企業の生産性向上が期待できます。
 
(3)面接のナレッジやノウハウを共有
 
これまでのように人間の「勘」や「主観」に頼っていた評価システムを可視化させることで、活躍する人材の見極めができている面接官が誰か、判別することができます。また、その人が持つナレッジやノウハウを社内で共有することで、面接官の教育も可能になります。

 

◆デメリット

(1)成果が出るまでに時間がかかる
 
例えば、新卒採用の場合では、入社後の成果を評価するために2〜3年程度かかるのが一般的です。すぐに結果が出るものではないため、長期的な視点で腰を据えて取り組むことが重要です。
 
(2)正しく使わないとミスリードすることになる
 
性別や人種によって不利になるなど、検証を行われていないバイアスのかかった評価モデルを使用してしまうと、誤った判断を下してしまう可能性があります。

ピープルアナリティクスの活用で双方にとって有益な採用に

ピープルアナリティクスにより、適材適所の採用・配置を行うことができれば、入社後に従業員が自分の力を発揮しやすくなり、モチベーションを高く保って仕事をすることにもつながるでしょう。
企業や組織の運営において、「人」が重要という考えが広がる今、ピープルアナリティクスが採用する側、応募する側双方にとって有益に活用されることを期待しています。

 
 
 

<取材先>
株式会社アッテル・代表取締役社長 塚本鋭さん
東京大学・大学院において、機械学習(AI)や大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞(総代)など受賞。2013年にクラウドソーシング会社に参画、2018年に株式会社アッテルを設立。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

 
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