ピープルアナリティクスを採用に活用する際の課題とは?

ピープルアナリティクスは、海外の先進IT企業からはじまり、日本でも取り入れる企業が増えています。人事の意思決定の精度や従業員のパフォーマンス向上が期待される一方で、課題も見えてきています。問題点やその解決策について、企業の採用をピープルアナリティクスを活用して採用を支援する株式会社アッテル・代表取締役社長の塚本鋭さんに伺いました。

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ピープルアナリティクスとは

人事の領域で、データを収集・分析し、それを意思決定の精度向上や従業員のパフォーマンス向上を実現するために活用する「ピープルアナリティクス」が注目を集めています。
 
その背景には、ビッグデータやAI・機械学習など、様々なテクノロジーの進化とともに、ITの活用で従業員へのアンケートが低コスト・高頻度で取得できるようになってきたことがあります。特に、人数などでKPIが設定しやすい「採用」の領域は、データを分析するピープルアナリティクスを取り入れやすいと言われていますが、一方で活用する際の課題もあります。

採用でピープルアナリティクスを活用する際の課題

採用でピープルアナリティクスを活用する際、特に大きな課題となっているのが、ITツールで集めたデータが対策の立案や成果につながっていないという点です。例えば、「タレントマネジメントシステムを数年前に導入し、従業員のデータを蓄積したもののどう分析して良いか分からない」といったケースが多くあります。社員の性別や異動履歴などのデータは比較的集めやすいものの、次の打ち手へつながる分析ができず、成果につながりにくくなっているわけです。
 
また、面接官の中には、自分の主観や勘が正しいと思っている人が、まだまだ多いことも壁となっています。
 
面接官の見極めについて、入社後の活躍人材の評価と付き合わせてみると、ほぼ正確ではないというデータもあります。それでも企業や組織のトップなどが「自分は大丈夫」と考えてしまうことで、ピープルアナリティクスの導入が進みにくくなってしまいます。

採用における課題の解決方法

まず「何をしたいか」という目的があり、そのためにデータを集めるのがピープルアナリティクスの本来の流れです。「データは蓄積できたけど、どう分析したらいいか分からない」といった課題が生まれる背景には、目的がないままデータ収集をしている現状があります。本来の流れとは発想が逆になってしまっているということです。
 
そこに陥らないためには、まず、「採用において、どういう未来を実現したいか」を決めることが大事です。目的が定まることで、どういった人材情報を収集して数値化すべきかが決まり、さらに、それをどう分析・予測・検証していくかといった、PDCAのサイクルも見えてくるでしょう。

採用でピープルアナリティクスを活用する価値

ある企業では、営業職にコミュニケーションが得意な「外向型」の人材を採用していました。ところが、その会社で活躍している社員をデータ分析したところ、真逆である「内省型」が多いということが判明し、採用基準を180度切り替えたという事例があります。
 
このように、ピープルアナリティクスの考え方を理解して、データを正しく活用することができれば、「活躍できない部署に採用・配属していた」というような、ミスマッチを避けることが可能になります。
 
ピープルアナリティクスは意思決定の精度を上げるとともに、その企業や組織で活躍できる人材を採用し、その後のパフォーマンス向上にもつながります。採用においても多様性が重要視されるなか、データ活用の先にこそ誰もが活躍できる世界があるのではないでしょうか。

 

<取材先>
株式会社アッテル・代表取締役社長 塚本鋭さん
東京大学・大学院において、機械学習(AI)や大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞(総代)など受賞。2013年にクラウドソーシング会社に参画、2018年に株式会社アッテルを設立。
 
TEXT:武田明子
EDITING:Indeed Japan +ミノシマタカコ+ ノオト

 
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