新卒採用の面接で「他社の選考状況」を聞くメリット

面接の様子


新卒採用の面接の場で、学生に他社の選考状況を聞くことがあります。学生の答えを企業側はどのように受け取り、採用に活かせば良いのでしょうか。他社の選考状況を聞くメリットや注意点を、クレド・ライフクリエイション株式会社の深堀一雄さんに伺いました。

 
 

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「他社の選考状況」を聞くメリット


他社の選考状況を聞くことはメリットしかなく、むしろ聞くべきであるといえるでしょう。しかし、それはあくまでも聞く目的や意図を把握している場合においてのことであり、ただ何となく聞くだけでは意味がありません。
 
他社の選考状況を聞くことの一番の意味は、学生の志向性、一貫性を探ることにあります。なぜこの会社を受けているのかについて、他社の選考状況の話から深堀りしていくのです。
 
企業側としては選考状況を聞くことで、「内定辞退の可能性を探りたい」という目的を第一に掲げてしまいがちです。しかし、競合他社が多い企業や大手ライバル企業がいる場合は、選考状況を聞いたところで内定辞退を完全に防げるわけではありません。
 
学生は入念に面接の準備をしてきているため、自社の志望動機を聞くだけでは志向性や一貫性の見極めは困難です。他社の選考の話を聞くことで、学生が軸を持って就職活動をしているのか、内定さえもらえればいいと手当たり次第に活動しているのかどうかが見えてきます。

 
 

学生の回答から「就職活動に軸がみられるか」を判断


学生の志望度と志向性を探る話のきっかけとして、選考状況を聞いたとき、「A社とB社が最終面接まで進んでいます」と回答が返ってきたとします。そこで「第一志望はどこか」といったことを尋ねるのではなく、なぜそれらの会社を受けようと思ったのか、内定の受諾に悩んでいるようであれば何に迷っているのかについて、掘り下げて聞いていきましょう。
 
その流れで「社内の職場環境を大切にしたいと思っているが、そこがまだわからず決め切れていない」といった話が聞ければ、その不安を払拭できる自社の情報をアピールするきっかけになります。
 
また、「御社しか受けていません」と答える学生に対しては、言葉を額面通りに受け取って終わらせず、「なぜ当社だけなのか」と質問を重ねましょう。
 
キャリア理論の概念である「キャリアアンカー」の8つの分類を提示して、会社選びにおいて、もっとも大切にしたいものと2番目に大切にしたいものとをダイレクトに聞くのも一つの手です。その回答と自社の志望動機、選考中の他社の志望動機を照らし合わせ、学生の就職活動に軸が見られるのかどうかを判断します。
 
学生の口からすらすらと言葉が出てきているうちは、準備してきた範囲内のことしか聞けていない可能性があると考えられます。表面上の話ではなく、より具体的な話が出てくれば、その学生の志望度が高いと判断できるでしょう。

 
 

他社の状況を聞くときの注意点


他社の選考状況を聞くときには、シンプルに「今回、当社への応募と合わせて他社で選考プロセスに入っているところはありますか」と聞いて問題ありません。
 
しかし、そこから続けて「他社ではどういったフィードバックを受けましたか」「どういった理由で内定が出たと思いますか」といった話を聞くことは避けましょう。そうした質問に対し、学生は当然ながら良いことしか口にしません。かえってバイアスをかけてしまうことにつながるのです。
 
また、他社の選考状況を聞いた上で、「内定を今すぐに出すから、他の会社の選考を全部断ってくれ」と伝えることは決してあってはなりません。こういった行為は選考を終わらせるハラスメント「オワハラ」と呼ばれており、百害あって一利なしの発言です。
 
当然のことながら、競合他社の誹謗中傷も控えましょう。これは企業側だけではなく、学生側も同じことです。選考に通りたいがために競合他社を貶めるような発言をする学生は、良い人材とはいえないでしょう。
 
他社の選考状況を聞く目的は、学生の囲い込みではありません。志向性・一貫性・志望度の高低を確認するためだという認識を持って聞くようにしましょう。

 
 
 

<取材先>
クレド・ライフクリエイション株式会社 深堀一雄さん
 
TEXT:卯岡若菜
EDITING:Indeed Japan + ミノシマタカコ + ノオト

 
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